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ソフトバンク、イー・アクセスを完全子会社化、iPhone 5の1.7GHz帯LTEは2013年春から

2012.10.02

Updated by Asako Itagaki on October 2, 2012, 00:05 am JST

10月1日、ソフトバンクとイー・アクセスは、同日、イー・アクセスをソフトバンクの完全子会社とする株式交換契約を締結したことを発表した。年内の完全子会社化を目標とする。ソフトバンクモバイル(以下SBM)は従来からMVNOの形でイー・アクセスのネットワークを利用したサービスを提供してきたが、子会社化によりイー・アクセスの1.7GHz帯(BAND 3)のLTEサービスを自社ネットワークに統合する。また、SBMの2.1GHz帯、900MHz帯のネットワークをイー・モバイルでも利用できるようになる。

▼握手するソフトバンク 孫正義社長(左)とイー・アクセス 千本倖生会長
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1.7GHz帯(BAND 3)は、欧州、香港、韓国などでLTEサービスに割当てられる帯域で、国際的には1.8GHz帯と呼ばれることが多く、SBM向けのiPhone 5でもハードウェア的にはサポートされている。SBMは、アップルとの調整および1.7GHz帯でもCSフォールバックを実現するための基地局・ネットワークの設定などが済み次第、iPhone 5でも1.7GHz帯のLTEを使えるようにする。時期は2013年春頃になる見込み。2013年3月時点でSBMのLTE基地局は、全国で2.1GHz帯が約2万局に加え、1.7GHz帯が約1万局の合計約3万局になる予定。

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テザリング開始は2012年12月15日から、パケット定額の「1.2GB規制」も撤廃

「このタイミングでの経営統合となったのは、テザリングがきっかけ」とソフトバンク孫社長は語った。iPhone 5発売と同時にテザリング解禁を決めたライバルのauに対し、当初は「テザリングは提供しない」としていたSBMだったが、ユーザーの声に押される形で2013年1月15日からのテザリング解禁を発表。しかし実際のところは、ネットワークのキャパシティに不安が残る状況だったという。この経営統合で、データ通信に特化したキャリアとして、テザリングについても既に経験を積んでいるイー・モバイルのネットワークも利用できることになり、「テザリングを安心して受けられる構えができた」(孫社長)とする。

この決定に伴い、SBMは、従来は2013年1月15日からとしていたテザリングサービスの開始日を、2012年12月15日に1ヵ月前倒しする。ただし、1.7GHz帯のLTEが使えるようになるのは2013年春以降となるため、当初iPhone 5のテザリングで利用できるLTEの帯域は2.1GHz帯のみとなる。

また、孫社長は、"パケット定額 for 4G LTE"の速度制限条件について、「1GB/3日間を超過時は、速度制限をかける場合もある」というルールに、即日改めるとした。このルールはNTTドコモのXi、auの4G LTEと同じ。従来定められていたパケット定額 for 4G LTEの通信速度制限は「1ヵ月で1.2GBを超過した場合は翌々月の1ヵ月間速度制限をかける場合もある」というもので、「パケット定額サービスの"通信量は制限しない"というサービス内容と矛盾している」という指摘を受けていた。この点について孫社長は、「データトラフィックが急激に増えたときに通信量をおさえられるように保険の意味で書いていたが、誤解を受ける書き方だったのでこれはやめます。しかしなんらかの速度制限の安全弁は必要なので、他社と同じに統一します」とした。

auを抜いて業界第2位へ

株式交換にあたっては、イー・アクセスの株式の評価額を1株52,000円に設定。現在の市場価格15,000円に比べるとおよそ3.5倍となるが、ソフトバンクとしては「設備投資額が簿価で2,260億円あり、現在の顧客であるモバイル420万契約、ADSL140万契約の顧客獲得コストを計算すると合計で3,620億円になるので決して高くはない」(孫社長)とする。

さらに、シナジー効果として、2.1GHzと1.7GHzの2つの周波数でLTEサービスが可能になる「LTEのダブルエンジン」(孫社長)による商品力強化・解約率低減による顧客基盤の強化、バックボーン共用によるコスト削減、基地局インフラ共用による基地局展開の効率化、その他の合理化によるシナジー効果で合計3,600億円が見込めるとした。

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孫社長は「もう一つ注目して欲しいこと」として「4+3=2」というスライドを提示。2012年8月末現在、業界4位のイー・モバイルのユーザー数と、3位のSBM(ウィルコム含む)のユーザー数を足すと3,911万人となり、auの3,589万人を抜いて業界2位になる(孫社長)とした。

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また、2010年10月に発表した「201X年 4000万回線構想」についても、今年度中に達成を宣言した。

イー・アクセス千本会長「ソフトバンクはDNAが共通した会社」

イー・アクセス株式会社 代表取締役会長 千本倖生氏は、日本のインターネットを変えたいという思いで12年前にゼロからはじめたベンチャーであった頃から、孫社長とはライバルだったとふりかえった。「(ソフトバンクとイー・アクセスは)どちらも大きな組織的な会社ではなく、ゼロからリスクをとって高い目標に志を持って挑戦していくというDNAが共通している。1.7GHzの最も優れた我々のLTEネットワークと、ソフトバンクが誇るiPhone 5が合致したら、おそらく我々が自らの力だけで成長するよりもはるかに高い価値を生み出すことになるのではないかという結論に至った」と述べ、今後はソフトバンクグループの一員として、ソフトバンクの大きなモバイルブロードバンド戦略のなかで、我々も革命の道をおしすすめていきたいとした。

なお、株式交換後も、イー・アクセスの「イー・モバイル」ブランドでのモバイル事業は継続する予定。モバイル事業と固定通信事業を含めたイー・アクセスの事業基本方針にも変更はない。

イー・アクセスの700MHzはソフトバンクがそのまま使用する意向

また、既にイー・アクセスが割り当てを受けている700MHz帯の周波数について(参考記事:700MHz帯はドコモ、KDDI、イー・アクセスに、ドコモは2015年に提供開始)、孫社長は「ドコモとKDDIはプラチナバンドにそれぞれ800MHz帯の15MHz×2を持っており、さらに加えて新たに700MHz帯に10MHz×2の割当てを受ける。我々は900MHz帯に15MHz×2の割り当てがあるが現在まだ5MHz×2しか使えない状態であり、ここにイー・アクセスの700MHz帯の10MHz帯×2が加わってもイコールフィッティングよりも不利な状態」と述べ、イー・アクセスに割当てられた700MHz帯の周波数帯については、公平性の観点からソフトバンクがそのまま使用できることが妥当であるという見解を示した。

【報道発表資料】
ソフトバンク株式会社による株式交換を通じてのイー・アクセス株式会社の完全子会社化に関するお知らせ 兼 ソフトバンクモバイル株式会社とイー・アクセス株式会社の業務提携のお知らせ[PDF]

2012年6月に決定した700MHz帯の割当てについてはこちら

先に900MHz帯の割り当てを受けたソフトバンクモバイルが申請を見送ったため、700MHz帯についてはドコモ、KDDI、イー・アクセスの3社に10MHzずつ割当てられることはほぼ決定していた。700MHz帯のLTEサービスは、KDDIとNTTドコモは2015年1月、イー・アクセスは2015年12月のサービス開始を予定。

700MHz帯の割当が決定、MiddleバンドはNTTドコモが獲得

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。