NTTドコモは2012年10月25日、災害時などの長期停電対策として、基地局の非常用電源に燃料電池を導入するなど新しい施策を発表した。燃料電池は2013年3月から導入を開始する。また、遠隔操作で基地局の消費電力を抑制できる仕組みも取り入れた。
燃料電池は、従来の設備よりも小型軽量でありながら長時間の利用が可能になる。これまで基地局バッテリー24時間化のために設置している鉛蓄電池と比べると、重量は約14分の1、容積が約2分の1となる上に、40時間以上の運用が可能になる。一般的に長時間の非常時運用ができる鉛蓄電池を用意すると重量が大きくなり、ビルの屋上などにある基地局には利用できない不具合があった。
▼NTTドコモが導入する燃料電池の外観イメージ
当初は消防法上の危険物に該当しないように濃度を60%未満に抑えたメタノール水溶液を使用する(参考:メタノール水型燃料電池の仕組みと特徴)。将来的にはバイオ燃料の利用も検討し、エコ発電を実現するグリーン基地局の推進につなげることも視野に入れている。2013年3月から関東甲信越の一部基地局に先行導入を開始、2013年4月以降に他地域の導入を進める予定である。
遠隔制御による基地局の消費電力抑制は、非常用電源を長持ちさせるための施策。基地局の装置の一部を遠隔操作でオン/オフできるようにソフトウエアを改修した。非常用電源で運用する際に、サービスエリアを確保したまま装置の一部を停止することで長時間のサービス提供を実現する。これまでは現地に要員が駆けつけて対処していたが、これを遠隔操作で完了させられるようになった。すでに7月に全国の対象基地局に導入を完了しており、この夏の豪雨や台風で実運用しているという。
【報道発表資料】
・基地局における長期停電対策の新たな取り組み
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