そろそろクリスマス休暇で路上で酔いつぶれている人が大量に出没しているイギリスです。年末ではありますが、イギリス政府、日本だったら「はあああ?」とびっくりする施策を発表いたしました。
イギリスでもリーマンショック後に、中小企業への貸し渋りが社会問題となっておりましたが、なんとP2P金貸しサイトに政府が出資し、中小企業はそっから金を借りてくれ、と発表いたしました。
主導しているのは、ビジネス&イノベーションスキル省(微妙に胡散臭い役所名ですな)という役所です。ここが用意したBusiness Finance Partnershipという資金から、約26億円をFunding Circleに、約13億円をZopaに出資することにしました。
どちらもイギリスではメジャーなP2P金貸しサイトでありますが、ビジネス向けにもお金を貸してますので、中小企業の利用者が結構多いんであります。
このP2P金貸しサイトでありますが、イギリスではかなりメジャーな金を借りる手段になっております。2014年からは政府により規制される予定です。役所に「有効な金貸しのモデル」と認められたわけで、業界的には規制歓迎、という雰囲気です。
つまりですね、こういうサイトがうまく行く様になりますと、サラ金がいらなくなるわけですね。
この商売、政府以外の方々も注目しておりまして。今年の12月にはあのロスチャイルドさんがやってるファンドがマネーを突っ込んでいます。商売の規模が年に55%増えてるそうですので、ロスチャイルドさんが目を付けるのもわからんでもありません。
ちなみに、ワタクシもZopaで金を貸しております。貸してると言っても2万円ぐらいで微々たる物でありますが、それを分割して50人ぐらいに貸しております。貸したお金に付く利息は6−8%の間ぐらいです。貸した人からは毎月毎月50円とか200円とか300円がちょびちょび返って来ます。
借りる人が払う利息は人それぞれですが、例えばZopaの基準でクレジットヒストリーのランクが最も高い人が60万円を三年間借りた場合利息は5.7%ぐらいです。同じ人が郵便局からお金を借りると8%程度、クレジットユニオンから借りると12−15%ぐらいなので、Zopaはなかなかお得なわけです。
借りる人が払う利息の比較はこんな感じです。
ちなみに実際貸してみて驚いたのですが、貸し倒れは今の所ないばかりか、期日より早く返しちゃう人が多いのであります。世の中クズばかりではなく、案外真面目人が多いのかと、微妙にイギリスを見直したのでありました。
Zopaによると、貸した金の焦げ付きは0.2%だそうですので、殆どの人は真面目に返済しているようです。
で、このサイト、ちょっと前までは、通常の審査を通らなかった人のプロフィールとか写真を一般公開して「この人に金貸してください」と晒す機能があったんですよ。(今はこの機能なくなってしまいました)
お金を貸せる人の数と利息が決まっていて、定員に達すると終了です。要するに、クラウドファンディングの金貸し版です。
これが結構面白くてですね
• 救急隊員ですが救急車買いたいから金貸してください
• 中卒のシングルマザーで夫はDVで逃げました。新しい彼氏できました。でも子供が4人いて悲惨です。車買いたいか ら金貸してください
• 家のトイレを何々に改装したいから金貸してください
• 学校行きたいから金貸してください
という、何だかアレな人が実顔を晒して掲載されているわけです。どうして金を借りたいか、という理由の他に、その人の月収とか今借りてるお金の金額とか、月の出費はいくらかというのも掲載されちゃってました。
かなり正直に書いている人が多かったので「おお、この仕事でこの地域だとこのぐらい給料がもらえて、生活費はこのぐらいで、食費にはこのぐらい使ってるのか」なんてわかって面白かったです。
お金を貸してくれる人が集まるのはイケメンとかお若い女性でありました。お若い女性だと一日かからないで金が集まります。不細工だとお金集まんないんですよ。
まーあの例の「なんとかギフト」に似てますよね、なんとかギフト。
質問セクションで「何の下着が好きか?」とか「彼氏いるの?」とか、「なんでお前自分で金稼がないの?」「家をどうやって改造するの?」下世話な質問が多いのもなかなか香ばしく面白かったんですけどねえ。
いやあ、世の中厳しいですね。
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登録はこちらNTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。