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ドローンを配送に使用するための実証実験が盛んになってきていますが、フランス郵便局は、世界初の試みとしてドローンを配達に使用します。

 

週一回、フランス郵便局(Le Groupe La Poste)傘下のDPDgroup のドローンが、南部プロバンスのSaint-Maximin-La-Sainte-Beaume とPourrièresの間15キロを飛び、山間部や湖等、配達が難航する地域の企業へ機械類を運搬します。

DPDgroupは南部フランスのスタートアップであるAtechsysと共同で2014年からドローン配送の実証実験を行ってきたわけですが、600回の飛行テストのあと、2015年9月にはドローンが荷物を配送しながら自律的に運行できることを証明しています。

フランスが世界初となったことは驚きですが、そもそもフランスは今年の初めからドローン投資にはかなり積極的で、2016年前半にはベンチャーキャピタルによるドローンへの投資額で世界一となっています。

フランスはドローンメーカーのParrot、ドローン向けのソリューション提供会社のDelair-Techの本拠地でもありますが、元々航空産業や軍事産業が強いので、ドローン投資が盛んになったのも、なんとなくわかるわけですが、重要なのはフランスは国としてドローン市場をバックアップしていく構えであるという点です。

今年に入ってからは商用利用されるドローンの規制を強化し、違反者の罰金を値上げし、安全対策に関する試験や規制を強化しています。そのかわりに、商用利用を活性化し市場を盛り上げようという方向性で、国としてドローンの商用利用というニッチな文化で産業を活性化させようという動きです。

そもそもドローンというのは軍事技術なわけで、元々軍産業が盛んな欧州で、特に軍事に熱心なフランスがドローンを商業の方でも売ろうという魂胆もあるのも見え見えなわけです。

ところで、ドローン以前に、フランスにおいては、普段の宅急便や郵便配達がメチャクチャで、客が家にいてもいなかったことにして家に帰ってしまう配送人が多数であります。

休暇を取って家にいても、不在者配達表が来てしまうので、別の日に、半分泣きながら郵便局で長蛇の列に並ぶわけですが、お前の荷物なんて来てないとか言われ、探してもらうこともできず、実は隣の郵便局の倉庫に眠ってましたということが判明しても、担当者はバカンスにいってしまうので数週間放置という修行が待っていたりします。

こんな調子なので、Amazonで物を頼むのも恐ろしく、プライムナウとか美味しいの状態でありますが、ドローンを許可というのは、要するに配達人がダメすぎるので、機械で置き換えようという魂胆なのではないかなあという気もするわけです。

ドローン打ち壊し運動が起きないといいですね。

 

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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