[2013年第2週]子ども取り込む施策続々、イー・アクセス買収その後、12月はドコモ復調
2013.01.15
Updated by Naohisa Iwamoto on January 15, 2013, 12:00 pm JST
2013.01.15
Updated by Naohisa Iwamoto on January 15, 2013, 12:00 pm JST
実質的に仕事が本格始動したこの週、さまざまなニュースが飛び込んできた。1つは子供向けの端末やサービスの発表、ソフトバンクによるイー・アクセス買収のその後についての報道もあった。2012年12月の事業者別契約数統計では、NTTドコモが20万件を超える純増を確保して復調を印象づけた。
▼「スマートフォン for ジュニア SH-05E」端末外観
子どものさらなる取り込みを進める施策が相次いで発表された。1つはNTTドコモの発表で、ジュニア層向けに、ペアレンタルコントロール機能の充実したXi対応の「スマートフォン for ジュニア SH-05E」の発売。子供が安心・安全に利用できるように、保護者が電話、メール、インターネット、アプリ、利用時間・通話時間などの機能を制限できるスマートフォンだ。「イマドコサーチ」による位置検索にも対応する。発売時期は2013年2月上旬を予定している。また、この端末専用のパケット定額サービス「Xiパケ・ホーダイ for ジュニア」も提供する。定額料が月額2,980円(税込)のフラット型のパケット定額サービス。当月利用データ量が500MBを超えると、当月末まで通信速度が当月末まで通信速度が送受信時最大128kbpsとなる(関連記事:ドコモ、ジュニア向けスマートフォンと専用パケットプランを発表)。
もう1つはKDDIの施策で、子どもの現在位置が確認できるGPSサービス「安心ナビ」をよりスマートフォンで使いやすくする方向で2013年4月以降にリニューアルする。1つは新機能の提供。従来の機能に加えて、 スマートフォン向けに子どもの足取りを確認できる機能や、位置情報の確認ができなかった場合に次に位置情報を確認できた時点で自動的に情報を保護者にメールで知らせる機能などを追加する。また、保護者(検索者)のマルチデバイス対応、子ども(被検索者)のスマートフォン対応を進める(報道発表資料:「安心ナビ」のリニューアルについて)。
これとは別にKDDIは、子どもの安全・安心をサポートする携帯電話「mamorino3」を1月11日に発売した。防水・防塵性能のほか、MIL規格準拠の耐衝撃性能に対応し、活発な子どもでも安心して使えるように設計した。防犯ブザーは、誤操作を防止するためにスライドスイッチ式に改良した。防犯ブザーと連動した現場急行サービス「ココセコムEZs」も利用できる(報道発表資料:〈お知らせ〉 「mamorino (マモリーノ) 3」の発売開始について)。
===
ソフトバンクの買収劇の第1幕である国内編が、幕を開いた。ソフトバンクとイー・アクセスは1月7日に、2013年1月1日(株式交換効力発生日)をもって、ソフトバンクを株式交換完全親会社、イー・アクセスを株式交換完全子会社とする株式交換を完了したと発表した(報道発表資料:ソフトバンク株式会社とイー・アクセス株式会社の株式交換完了に関するお知らせ)。
完全子会社化の発表直後の1月12日、今度はソフトバンクがイー・アクセスについて、議決権のある株式の約67%を韓国サムスン電子など国内外11社に売却する方針を固めたとの報道があった。株式のうち、議決権のある株式のうち3分の2超を手放すことで、ソフトバンクによる議決権の比率を引き下げる。周波数の公平性の観点から、完全子会社化に懸念が出ていたことへの対応とみられる。ただし、議決権のない株式は全株式の約99%を占めるため、株式の売却後もソフトバンクの出資比率は99%を超えるようだ(関連記事:ソフトバンク、イー・アクセスの議決権株をサムスンなどに売却へ:ロイター)。
ソフトバンクは1月12日に「本日、イー・アクセスの株式に関する一部報道がありましたが、当社が発表したものではなく、同社株式の保有形態については引き続き検討中です」とのコメントを発表している(報道発表資料:一部報道について)
2012年の年末商戦では、iPhone 5がなくてもNTTドコモが大検討。電気通信事業者協会(TCA)は2013年1月10日、2012年12月末時点の事業者別契約数の統計数値を発表した。それによると2012年11月末時点で前月比4万超の純減となったNTTドコモは、12月には復調し23万を超える純増に転じた。キャリア別の純増数はNTTドコモが23万5100件、KDDI(au)が23万9200件、ソフトバンクモバイルが27万4700件。PHSはウィルコムが4万1500の純増、ブロードバンドワイヤレスアクセスでは、UQコミュニケーションズが7万7600件、Wireless City Planning(WCP)が19万1400件の純増だった(関連記事:ドコモが復調し23万超の純増、2012年12月の事業者別契約数)。
一方、NTTドコモは、LTEサービス「Xi」の契約数が、2013年1月9日に900万契約を突破したことを発表している。800万契約突破からの100万契約はペースアップして24日で獲得した。NTTドコモでは、冬モデルを中心とした端末ラインアップの充実や「Xiスマホ割」などの各種割引キャンペーンによりで購入しやすくなっていることの効果が表れているとしている(報道発表資料:「docomo LTE Xi(クロッシィ)」の契約数が900万を突破)。
===
この週のその他のトピックをまとめる。
総務省の東北総合通信局は、東北放送にV-Lowマルチメディア放送の実験試験局2局の免許を付与した。地上テレビのデジタル化に伴い利用可能になった周波数のうちのV-Lowを使って、新しい放送の検討を行うもの。輻輳が発生しない放送波の特性を生かした災害時の情報伝達などについての検証を行う。試験局は、仙台市太白区に設置する仙台局と気仙沼市に設置する気仙沼局の2局。V-Lowマルチメディア放送の試験局は東北管内で初めての免許となる(関連記事:V-Lowマルチメディア放送で東北放送に実験局本免許、災害時の情報伝達など検証)。
ソニーモバイルコミュニケーションズは、本社機能をスウェーデンのルンドから東京に移したことを発表した。1月7日付けで日本法人のソニーモバイルコミュニケーションズがグローバルな事業運営などグローバルの本社機能を担うことになった。一方、ソニーモバイルコミュニケーションズは国内でNTTドコモやKDDIなどに端末を納入する事業を展開している。こうした国内の通信事業者向けの事業は、ソニーモバイルコミュニケーションズが100%出資して新設するソニーモバイルコミュニケーションズジャパンが担う(関連記事:ソニーモバイルが本社機能を東京に、国内事業者向けの新会社も設立)。
そのソニーモバイルコミュニケーションズは、春に発売予定のスマートフォン新製品「Xperia Z」を発表した。Xperia Zは、5インチと大型でフルHD解像度に対応した「Reality Display」を搭載したAndroidスマートフォン。高精細な大画面ディスプレイと映像の表現を自動的に調整する「モバイルブラビアエンジン2」により、映像コンテンツの品質向上に注力する。カメラにはソニーが開発した積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS for mobile」を採用する。グローバルだけでなく国内でも発売する予定だ(関連記事:ソニーモバイル、薄さ7.9mmで5インチフルHDディスプレイの「Xperia Z」)。
データ通信用の端末の発表もあった。ソフトバンクモバイルは、AXGP方式の「SoftBank 4G」に対応し、下り最大110Mbpsのデータ通信が可能な法人向け端末2機種を発表した。モバイルルーターの「ULTRA WiFi 4G SoftBank 102HW for Biz」と、USBスティック型端末の「SoftBank 203HW」(いずれもHuawei製)である。両機種とも下りSoftBank 4Gによる最大110Mbpsの高速通信に対応する。SoftBank 4Gエリア以外では、下り最大42Mbpsの「ULTRA SPEED」、下り最大14Mbpsの「3Gハイスピード」を利用でき、広いエリアで高速なデータ通信が可能という(関連記事:ソフトバンク、最大110Mbpsの高速モバイルルーターなどを法人向けに発売)。
昨年の第2週のできごと
・ドコモが21カぶりの純増首位へ
・さまざまな局面で利用できるように
・ハードウエアに新顔
・iPad向け法人ソリューションなど
おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)
登録はこちら日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。