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ドコモ、従来の半分に動画データを圧縮できる「HEVC」復号ソフトをライセンス提供

2013.02.04

Updated by Naohisa Iwamoto on February 4, 2013, 18:42 pm JST

NTTドコモは2013年2月4日、国際標準規格の新しい動画圧縮方式「HEVC」で圧縮した動画を復号するためのソフトを、国内外の事業者向けに2013年3月中にライセンス提供すると発表した。スマートフォンでのフルHD動画の再生に対応し、動画サービスの高画質化やネットワーク負荷の軽減につなげたい考えだ。

HEVC(High Efficiency Video Coding)、ITU-TおよびISO/IECの標準化団体がそれぞれH.265、23008-2として2013年1月25日に承認したばかりの新しい国際標準規格。現在広く使われているMPEG-4 AVC方式の次世代規格であり、MPEG-4 AVCと比較して同じ品質の動画を約半分のデータ量に圧縮できる。ドコモによれば、フルHD(1920×1080ドット、30fps)の動画であれば、動画再生に必要な通信速度がMPEG-4 AVCでは3200kbpsだったのに対して、HEVCでは1500kbpsに抑えられるという。

ライセンス提供する復号ソフトは、スマートフォンなどのモバイル機器やパソコンなどで利用できるもの。スマートフォンでフルHD画像を、パソコンではフルHDの4倍の解像度を持つ4K動画を、それぞれ遅延やコマ落ちのない「実時間再生」で視聴できる。ドコモはこれまでHEVCの標準化を推進し、仕様や技術を提案するなど規格策定に力になってきた。

このHEVCの復号ソフトをライセンス提供することで、ドコモを始めとした国内外の事業者によるHEVC方式の導入開発を促進する。HEVC方式の導入により、スマートフォンやタブレット向けの動画サービスで、同じ通信速度でも高画質なコンテンツを提供できたり、高品質な動画を従来の約半分の時間でダウンロードできたり--といったメリットが得られる。NTTドコモでは「dビデオ」や「dアニメストア」などの同社の動画サービスにHEVCを採り入れる検討を進めている。

【報道発表資料】
新動画圧縮方式の復号ソフトライセンスを提供開始

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。