WirelessWire News Technology to implement the future

by Category

P2P海外送金がはやりそうな件

2013.03.17

Updated by Mayumi Tanimoto on March 17, 2013, 11:06 am JST

以前このブログでイギリスではP2P金貸しが流行っていて、個人がお金を貸すと利息が5-6%つく、というお話を書きました。金融界で最近別のP2Pがバズっております。

その名もP2P海外送金であります。

ロンドンのtransferwiseという会社提供するこの「P2P海外送金」でありますが、仕組みはものすごくシンプルです。海外送金したい場合に、銀行がやる様に国境を越えてお金を送るのではなくって、送りたい人と受け取りたい人のマッチングを各国でやってしまいます。つまりお金の出会い系ですよ。

例えば、アメリカに留学している人イギリス人がイギリスからアメリカに£を送金したいなあと思います。一方、イギリスに住んでるアメリカ人サラリーマンが、アメリカからイギリスに$をしたいなあと思います。で、transferwiseはオンライン上で双方のマッチングをやってあげるわけです。イギリス人には送金した£相当の$が支払われ、アメリカ人には送金した$相当の£が払われます。国内で決済が完了しちゃうわけです。

簡単にいうと、各国にある地下銀行がやっていたことをオンライン化しちゃったわけですね。(ここはちゃんと審査を通ってるので闇じゃないのですが)

例えばですね、誰かがどっかに移民すると銀行口座が作れません。ビザがないと口座作れないんですね。でも母国には稼いだお金を送りたい。どうするかというと、地元の同じ国の人がやってる地下銀行にいって「何万ドルをワシの実家におくってちょ」とお願いします。地下銀行の皆さんは電話で「どこどこに何万ドルおくってちょ」と母国の地下銀行の人に電話します。母国の地下銀行の方は地元にある何万ドルに相当する金額を実家に人に渡す、という仕組みです。

このサービスの何が良いかというと、手数料がメチャクチャ安くなることです。例えば£1000をユーロで送金すると、銀行の国際送金に比べて50ユーロ位得であります。送金も超楽々でありまして、デビットカードか銀行振込でtransferwiseにお金振り込んで、送金したい口座に「送金してちょ」というボタンをピコピコおせば完了です。

昔留学した時に、日本の某大手都市銀行からアメリカに送金した時には「英語がかけません!!銀行名は何と読むんですか!!あああああ!!」と窓口がパニックになりましたが、あれは何だったんでしょうか。国際感覚では地下銀行に負けておりますな。

この会社注目すべき点は、ヨーロッパのベンチャーオールスター大集合状態で投資してる点です。PayPal の共同創業者の Max Levchin、オンライン決済サービスのSimpleの創業者Shamir Karkal、スーパー高利貸しである Wonga のErrol Damelin、オンラインギャンブルの(イギリスじゃ合法なんですよ)Betfair 元CEO のDavid Yu等々凄い顔ぶれです。若干うさん臭い顔ぶれでありますが、皆さん大成功している顔ぶれなので、将来性がありそうですね。

銀行の海外送金の手数料がなんで高いかというと、送金に関わる人が一杯いて、手間ひまがかかるというのが理由なんでありますが(理由はご自分でお調べ下さい)こういう風に、既存のサービスの「ぜい肉」を削ぎ落す様なサービスを実現することが商売になるとすると、ネットでできることはまだまだありそうですね。

日本ではお役所に色々突っ込み入れられるので難しそうですが。

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。