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MWC 2013、日本企業も頑張る!

2013.03.06

Updated by Naohisa Iwamoto on March 6, 2013, 19:28 pm JST

Mobile World Congress 2013(MWC 2013)には、日本からの出展も数多く見受けられた。景気減速に加えてガラパゴスと揶揄されてから一層内向きになっていた日本のモバイル業界は、アベノミクス下の今回のMWC 2013ではどのようなアピールをしていたのだろうか。

日本のメジャーブランドは確かな存在感

すでに個別の企業ブースの展示をいくつかレポートしてきた。

NEC、2画面折りたたみ式スマホが大人気、仮想化EPCの動作を実演
富士通、海外版らくらくスマートフォンを大々的展示、ジェスチャーキーボードも注目
NTTドコモ、「はなして翻訳」に人気、動画圧縮や音波020にも注目

日本を代表するこれらの企業は、大きなブースを構え、グローバルに対して技術や製品、ソリューションをしっかりアピールしていた。もちろん、それが世界の第一線に並んだとは言いがたい。例えば、発表したばかりの「Galaxy Note 8.0」やその他のスマートフォンなどをずらりと並べたサムスン電子のブースは、広大な面積を誇り、常にびっしりと来場者で埋め尽くされていた。エリクソンやノキア シーメンス ネットワークスといったネットワーク機器ベンダーも、まさにビジネスの場として大きなブースを構えている。それらの規模や来場者数と比べるのは酷だけれど、日本企業も堂々と世界に製品や技術をアピールし多くの来場者を呼び込んでいたのは明るい展望につながりそうだ。

▼ソニー モバイルコミュニケーションズのブースでは、Xperiaシリーズとソニー製品の連携の様子などが注目されていたJAPAN001.JPG

日本に本社機構が移ったソニー モバイルコミュニケーションズも、大きなブースを2カ所に設ける力の入れようだ。1つは展示スペース、もう1つはイベントや商談などのクローズドなスペースだった。2013年はMWCに向けた新製品の発表がなかったためにややインパクトには欠けたことは事実だが、「SONY」「Xperia」のブランドには存在感があった。ブースでは、ブランドを統一したスマートフォン「Xperia Z」とタブレット端末「Xperia Tablet Z」をずらりと並べた。両機器のデザインの統一感や機器間の連携などに加え、ワンタッチでソニー製のスピーカーやテレビなどと連携できる新しい使い勝手の世界を提案していた。最新スペックのピカピカの新製品を展示するというスタンスから、Xperiaブランドの製品があるライフスタイルを提案するスタンスにシフトしてきた印象がある。

▼来場者で常ににぎわうアンリツのブースJAPAN002.JPG

このほか、MWCの常連企業としてはアンリツがある。3Gや4G、LTE-Advanced(参考情報)などに対応した計測機器を出展していた。これは個人的な感想なのだけれど、アンリツのブースは例年、「日本企業」にありがちな違和感が少ない印象がある。欧州の展示会にすんなりと溶け込んでいるブースデザインや欧米人中心の説明員のたたずまいなども含めて、日本企業として世界に進出というステージではなく、すでにグローバルの重要企業であることを感じさせる。日本のメジャーブランドがMWCでこういった肩肘張らないブースを設けられるようになったら、グローバルで受け入れられてきたということになるのだろうか。

MWC 2013で日本発の存在感をアピールした企業

日本の端末メーカーとしては、京セラがブースを設けていた。2010年以来3年ぶりの出展とのこと。米国でスプリントが発売を予定している耐衝撃性能を持ったスマートフォン「TORQUE」を大々的に展示していた。防水、防塵、耐衝撃性能などで軍事規格をクリアしているといういかにも丈夫そうな端末に、多くの来場者が立ち止まって触れていった。

▼京セラは耐衝撃性能を持ったスマートフォン「TORQUE」を大々的に展示JAPAN003.JPG

説明員によれば、京セラのMWCへの出展は、同社が進出していない欧州などでの製品提供に向けての企業アピールが主眼とのことだ。そのため、LTEやAXGP、CDMA、PHSなど各種の方式に対応した端末をラインアップしていることを周知する展示が主になっていた。またM2M(参考情報)や車載の通信用途などで使われる通信モジュールの分野では、LTE対応の新しいモジュールを出展していた。

▼ホール8の入口脇に陣取った「JAPAN Pavilion」JAPAN004.JPG

日本貿易振興機構(JETRO)の「JAPAN Pavilion」も活気があった。少なくとも筆者が赴いた2011年と2012年の旧会場では、JETROのブースは正面入口から最も遠いホール8の、さらに奥の隅に寂しく存在していた。今回は会場が移っても一番遠いホール8には変わらないのだが、ホール入口のすぐ脇にブースを構えられたことが奏功したようだ。大きく「JAPAN IS BACK」と書かれた造作が目につく上、立地の好条件もあってか常に来場者が絶えない状況で、昨年までよりも注目の度合いが高まっていると感じた。

JAPAN Pavilionで目についた展示を2つ紹介する。

▼電話をかける手の形で操作するブリリアントサービスのウェアラブルコンピュータJAPAN005.JPG

1つはメガネ型のウェアラブルコンピュータを出展したソフトウエア開発会社のブリリアントサービス(本社大阪市北区)。自社開発のヘッドマウントディスプレイ対応OSを使って、実際に目の前にさまざまな情報を表示させるデモを行なっていた。例えば、ヘッドマウントディスプレイを装着して上を向くと時計が現れ、下を向くとコンパスで方位を整えた地図が表れる。手を目の前にかざすことで、手の形を認識して電話をかけたり、画面をクリアしたりといったコマンド入力を試すことができた。説明員は、「展示としては大好評で、多くのメディアにも取り上げられた。MWCでは、実際にメガネ型にまで装置を小型化できるメーカーを探していたが、成果が得られそうだ」と語った。

▼モルフォの「Morpho Defocus」で、撮影した画像の背景だけをきれいにぼかしている様子JAPAN006.JPG

もう1つは、画像処理技術の研究開発をするモルフォ(東京都文京区)。出展していたのは、スマートフォンでの採用を目指した画像処理ソフトである。複数画像を撮影して、後からボケの効果を自在にかけられる「Morpho Defocus」、スマートフォンの動画撮影で強力な手ぶれ補正効果をソフトウエアだけで実現する「Movie Solid」、スマートフォンのカメラで撮影する写真や動画にさまざまなエフェクトをリアルタイムでかけられる「Morpho Effect Library」--これらのデモで来場者の関心を引いていた。専用のハードウエアを必要とせずに高い画像処理の効果を得られる技術で、端末メーカーや通信事業者などが興味を持って見学していたという。

すでにリポート済みだが、MWC初出展というエレコムのブースも異彩を放っていた。日本発のスマートフォン周辺機器がところ狭しと並べられたブースには、来場者が面白そうに手に取っていく姿が見られた。

エレコム、MWC 2013で日本発の周辺機器を世界にリーチ

このほか、NHN Japanの「LINE」が、ノキアの低価格帯の携帯電話「Asha」に搭載されているデモもノキアのブースで見ることができた。NHN Japanとノキアとの戦略的業務提携によるもので、Ashaの注力市場である東南アジア、中南米、中東、アフリカなどの新規市場でLINEの普及を目論んでいるとのことだ。

▼ノキアのブースでは、低価格機種「Ashaシリーズ」の端末で「LINE」を試せたJAPAN007.JPG

会場が変わって、心機一転したMWC 2013。ブースの場所取りも、旧会場の定位置とは関係なく一新された。これを機に日本企業がこれから毎年、一層上手にMWCを利用できるようになっていく可能性の芽吹きを感じたMWC 2013だった。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。