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3年後には世帯カバー率91%・5年後には端末5000万台を目指すモバキャス

2011.10.11

Updated by Asako Itagaki on October 11, 2011, 16:00 pm JST

10月6日、CEATEC JAPAN 2011キーノートトラックの中で、株式会社mmbi 代表取締役社長 二木治成氏は、「モバキャス(モバイルマルチメディア放送)のサービス開始に向けて」と題し、モバキャスの概要と、10月4日にサービス名が発表された「NOTTV(ノッティーヴィー)」の概要について紹介した。

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リアルタイムと蓄積を柔軟に切り替えられるモバキャス

まず最初に二木氏は、mmbiの事業について説明した。mmbiは地上波アナログテレビが使用していた周波数帯「V-Highマルチメディア放送」の事業を行う会社だが、この事業については、「使用する周波数帯域が14.5MHzと限られている中、多様な放送事業者の参入を可能とする」という総務省の方針により、ハード・ソフト分離設計となっている。そのため、鉄塔や放送局設備などのハードウェアは、mmbiの子会社であるジャパン・モバイルキャスティングが建設しており、mmbi自身はソフトウェアを提供する。

ジャパン・モバイルキャスティングが行うV-Highマルチメディア放送サービスが「モバキャス」。アナログテレビ放送で、10〜12チャンネルで使われていた帯域を、33のセグメントに分割して提供する。mmbiはそのうち13セグメントの大規模枠を申請中。「スマートフォンで楽しむ放送」をコンセプトに、2012年4月の放送開始を目指して現在準備中である。

▼利用周波数帯と制度整備
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モバキャスの放送は、ワンセグの方式である「ISDB-T」を拡張した、ISDB-Tmmという方式が用いられる。この方式では「リアルタイム型放送」と「蓄積型放送」の2種類が提供される。リアルタイム型放送は、従来のテレビと同様に、ライブでみられるテレビ。蓄積型放送は、放送波を介してコンテンツを受信機に送信し、一時蓄積後に視聴・利用する「シフトタイム視聴」に対応。また、蓄積型放送を利用して、電子書籍やゲームなどのデジタルコンテンツも提供する。リアルタイム放送と蓄積型放送でそれぞれで利用する帯域は時間帯によって柔軟に変えられるので、複数セグメントを持つmmbiでは、需要に応じて柔軟な編成が可能になる。

また、「モバキャスのデバイスには、放送(チューナー)と通信機能の両方がはいっているから連携できる」(二木氏)という通り、3GやLTEなどの放送ネットワークと連携して、ネットコンテンツとの連動やSNSとの連携など、番組を視聴しながらコミュニケーションをがのしむこともできる。スマートフォン以外のチューナー搭載端末でもサービスが利用でき、またスマートフォンをWi-Fiで接続して、他の端末で利用するなど、より柔軟な放送の形を提案する。

mmbiではこうした放送サービスを、月額数百円程度の有料サービスとして提供する予定。さらに、プレミアムコンテンツとして、追加料金で利用できる番組も提供する。

▼モバキャスの画像品質。ワンセグに比べて2倍のフレームレート、縦横それぞれ2倍の解像度。蓄積型放送ではハイビジョン品質での放送も可能。
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「モバイル・スマートTV」をコンセプトにしたNOTTV

NOTTVは、モバキャス上でmmbiが提供する放送局で、3チャンネルを想定している。二木氏によれば、「『テレビにできないことをする、テレビを超えたテレビになる』というコンセプトをストレートに表現したネーミング。出資者のテレビ局からは、最初はテレビを否定するのかと言われたが、最終的には皆さんにおもしろいと受けいれていただいた」とのこと。キャラクターの口はスマートフォンのディスプレイを表しており、「あまり変哲のないロゴだが、キャラクターで親しみを持って欲しい」と語った。

▼NOTTVのロゴとキャラクター
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NOTTVが目指すのは、「VODともテレビとも違う、スマートフォン向けに、電波をダイレクトに受けるテレビ」である。その特徴を二木氏は「見るだけではない、双方向のソーシャルなテレビ」「時間や場所に縛られない、ライブで高画質なテレビ」「見たい番組が自動で届く、楽ちんなテレビ」と表現した。

NOTTVはモバイル・スマートTV。はリアルタイム型放送・蓄積型放送・移動体通信の3つを組み合わせたサービスを提供する。リアルタイム型放送と移動体通信を組み合わせたソーシャル連携・インタラクティブ連携、リアルタイム型放送と蓄積型放送の組み合わせによる関連コンテンツの一時蓄積、蓄積型放送を移動体通信を組み合わせることで、蓄積型コンテンツのデータを移動体通信で補完する。

NOTTVの立ち位置として「パーソナルテレビの再定義」を掲げた。放送による話題のきっかけづくりと、通信(ソーシャルメディア)による視聴者の共有、共感づくりで、スマートフォンが楽しくなるテレビを目指す。

▼他メディアと比べたNOTTVの立ち位置
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ここで二木氏は、パイロット番組のイメージを動画で紹介した。画面を分割してサッカーの複数の試合を放送し、スタジオの解説者はソーシャルメディアのコメントを見ながらインタラクティブに解説を行う。いずれかの試合でゴールがあれば画面が切り替わり、大画面でゴールシーンを楽しむことができる。

他にも、インタラクティブ連携の例として、視聴者が応札するオークション番組の例をあげた。また、リアルタイム放送と蓄積型放送の連携としては、放送中にボタンを押して関連データや楽曲を蓄積しておき、後から楽しめるような例を紹介した。他にも、アプリケーションを紹介する番組と連動してアプリを蓄積型放送で提供する、グルメ番組で紹介した店のクーポンを一斉配信するなどが考えられる。

災害発生時の情報提供にも、モバキャスは有効であると二木氏は述べた。通信と比べた放送の大きな利点として、「輻輳がない」ということが挙げられる。地震があったときには緊急地震速報や速報ニュースに迅速に対応し、あるいは蓄積型放送で後からニュースを確かめることもできる。「携帯と同じ端末なので、モバキャスを見ていない時でも(キャリアからの)緊急地震速報を受けた後スイッチを入れて放送で情報を見ることができる」(二木氏)と有用性を述べた。

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普及に向けた取り組み

スタート時点での世帯カバー率は東阪名を中心に60%。3年めには全国主要都市に展開し、世帯カバー率は91%となる見込みだ。受信機は現在開発中であり、スマートフォンとタブレットに受信機能を搭載する。「新しい端末のためには、牽引する装置が必要。5年後には5000万台の普及を目指し、ドコモにもこのペースでの展開を要請している」と二木氏は述べた。マルチデバイス展開としては、パソコン、テレビ、音楽プレイヤーなどにチューナーを搭載するケースと、スマートフォンを介してWi-Fi経由で楽しむケースの2つの方向性を考えているとのことだ。

▼モバキャス対応端末普及計画
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二木氏は、まずはエリア展開、次いで端末と考えているが、コンテンツに魅力がなければ普及も進まないので、この3者の連携が重要であるとの考えを示した。「ジャパン・モバイルキャスティングがインフラを提供し、mmbiがサービスとコンテンツを提供する。端末はドコモや、他のキャリアでも同じ仕様で製造していただければいい。役割分担しながら連携してポジティブなサイクルを回すことで、サービスを展開していきたい」と述べ、2012年4月の開業に向け、意欲を強調した。

CEATEC JAPAN 2011

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。