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ソフトバンクモバイル、気球無線中継システムの実証実験成果を発表

2013.03.01

Updated by Asako Itagaki on March 1, 2013, 23:48 pm JST

ソフトバンクモバイルは、係留気球を利用した臨時無線中継システム(以下気球中継無線システム)の実証実験結果を発表した。この実験は、災害などで通信障害が発生しているサービスエリアを迅速に復旧させることを目的として、2012年5月から10か月にわたって実施してきたもの。

気球無線中継システムは、2.1GHz帯の3G端末で音声通話とデータ通信が利用できる。中継元基地局と気球中継局で構成されており、端末は子機を介して移動体通信網に接続する。アンテナの高さに相当する気球の高度は地上約100m、サービスエリアは郊外で半径約3kmを確保できる。また、中継元基地局と気球中継局の間は、見通し約5kmでの運用が可能。

実証実験の結果、広帯域通信が可能な中継元基地局をを移動体通信網へ直接接続する構成に加え、衛星通信回線を介して移動体通信網に接続する構成を新たに構築した。

▼実証実験で実現した接続構成(報道発表資料より)
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これにより、中継元基地局が災害の影響で通信を確保できない場合でも、迅速に通信を復旧させられる。また、機動性を高めるために、係留気球の大幅な小型軽量化と、地上係留装置の簡素化を実現した。

本実証実験は2013年6月末まで引き続き行う予定。ソフトバンクモバイルでは、本実証実験を踏まえ、災害時の臨時回線としての利用に備え、気球無線中継システムを全国の主要拠点に配備する予定としている。

【報道発表資料】
気球無線中継システムの実証実験結果について

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。

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