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タックスヘブンを気軽に使うイギリス人

タックスヘブンを気軽に使うイギリス人

Updated by 谷本 真由美 on May 20, 2013, 07:57 am JST

谷本 真由美 mayumi_tanimoto

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

先日、ロンドンのIT業界で20年ぐらいノマド(個人事業主やインデペンデントコントラクター、フリーランス)をやっている方とのお話の続きです。

技術がある人だと、年に770万円から3800万円ぐらい稼げるというお話でありましたが、特に高額を稼ぐ技術者にとっての悩みの種は税金です。何せイギリスは年収が£41451(620万円程度)を越えますと、所得税、健康保険&国民年金もろもろで収入の40%を持っていかれるというお国です。年収£150,001 (2200万円程度)越えると45%です。手取りは60ー55%。そこから交通費(自費)や個人年金が引かれます。消費税もお安くはありません。

そこで節税対策のために有限会社にしたりする人もいるわけですが、中にはカリブ海等々にあるタックスヘブンに会社を作って色々やって節税している方もおります。また、イギリスの税金を嫌って、海外に引っ越してしまう方もいたりします。引っ越した先で、イギリスにいた時の様にノマドをやって、さらに色々な国を点々としていたりするわけです。大橋巨泉さんが大量にいるとイメージして頂けれればよろしいでしょう。

日本だとタックスヘブンを使っているとか、海外を点々としているという人は「なんだか胡散臭いその筋の人」とか「大企業で凄腕の会計士がついている」みたいなイメージがある方が少なくないわけですが、ここではそんなことはなく、その辺にいる「庶民」の皆さんが、タックスヘブンに銀行口座やら会社を持っていたり、海外を点々としていたりします。ちっとも珍しくありません。

そんな感じですので、ロンドンだとその辺に詳しい会計士さんや税理士さんがゴロゴロおります。さらに、その辺の普通の銀行でも、ケイマン諸島やらカリブ海に支店をもっていて、普通の人がかなり気軽に口座を開くことが可能です。なんと、コープ銀行(生協銀行。ここの生協は野菜を配達するとか共同購入で300円得しますみたいなことではなく、銀行をやっているんです)までオフショアアカウントサービスがあるんです。

で、こういうのは最近のお話というわけではなく、もう何年も前から普通なわけです。ノマドの方が海外転々とする理由も、日本の意識高い若者みたいに「世界をみたいから!」という青臭い理由ではなく「税金が安い」「不動産で得したい」等々そういう身も蓋もない理由です。金がないと世界もみれませんからね、至極まともですね。

ですから日本のノマド議論で、「どうしたら節税になるか」「どこの不動産を買うといいか」みたいな話がすっぽり抜けているのが、ワタクシとしては不思議でしょうがないわけです。

国内で会社に勤めないとか、どこのカフェで仕事するとお得とか、会社は社員をノマド化しようとしているどうしよう困ったの!、というお話は、はっきり言って付加価値がないというか、どうでもいいこというか、よくわかりませんね。

自分の軸とか、強みを紙に書くとか、どう考えても意味不明というか、そんなことを言っている前に営業にいけという感じでありますが。