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NICT、被災地の通信確保に役立つメッシュ接続型の無線ルーターを開発

2013.05.28

Updated by WirelessWire News編集部 on May 28, 2013, 19:12 pm JST

情報通信研究機構(NICT)は2013年5月28日、無線ルーター同士が自律的に通信経路を設定して通信網を構築できる新しい無線ルーターを開発したと発表した。複数の無線ルーターがメッシュ接続してネットワークを自動的に構成するため、被災地などで既存の通信網が利用できない状況でも広域な通信エリアを確保できる。

NICTが開発したのは、「メッシュ接続対応 コグニティブ無線ルータ」。通信速度や安定性を判断して最適な無線システムを自動で選んで接続するコグニティブ無線機能を備えたルーターに、今回は新しくメッシュ接続に対応する機能を加えた。メッシュ接続とは、通信ノードを網の目状に相互接続したネットワークの構成。新しい無線ルーターでは、無線ルーター同士が相互に無線で網の目状に接続してネットワークを構築する。

新しい無線ルーターは、コグニティブ無線を使ったインターネット接続機能と、メッシュ接続による無線ルーター間の相互接続機能、無線LANアクセスポイント--の3つの機能を持つ。コグニティブ無線の機能としては、LTE、HSPA、WiMAXの各商用ネットワークから、通信速度や接続安定性の観点で最適なネットワークを選んで接続する。相互接続機能では、IEEE802.11a/b/g/nの無線LANを使って、自動的に無線ルーター間でネットワークを構築する。各無線ルーターは、無線LAN機器に対してIEEE802.11a/b/g/nのアクセスポイントとして機能する。

この3段構成がこのシステムのポイントだ。無線ルーターがメッシュ型のネットワークを構成するため、メッシュ型ネットワーク内にあるいずれかの無線ルーターがインターネット接続できれば、すべての無線ルーター配下の無線LAN機器がインターネットにアクセス可能になる。被災地などで既存の無線ネットワークが利用できない地域があった場合に、通信可能な地域から無線ルーターを点在させて通信エリアを広げることが可能になる。

無線ルーターは、電源を入れるだけで自動的にメッシュ接続のネットワークを構築するため、技術者の派遣の必要がなく被災地などで迅速に通信インフラの構築ができる。メッシュ接続で構築した通信インフラにIP-BPXを接続すれば、無線ルーター配下の無線LAN端末と固定電話や携帯電話の間での通話も可能になる。

【報道発表資料】
"メッシュ接続対応 コグニティブ無線ルータ" を用いた無線通信インフラを構築

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