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手すりがベタベタなイギリスと5分おきに掃除しているオーストリア

2013.07.11

Updated by Mayumi Tanimoto on July 11, 2013, 10:30 am JST

3週間ほどイギリスを離れてフランス、ハンガリー、オーストリアに滞在しておりました。

さて、日本ではいわゆる「有識者」という皆様も「欧米、欧米」とおっしゃり、ハンバーガーが主食で週末はガンショーで銃撃しているアメリカンと、ヨーロッパの人々を混ぜこぜにしておられ、「じゃあ、お前日本人はアフガニスタン人と同じアジア人だよな」と言われると激怒するという状態なのでありますが、ヨーロッパと一口にいっても、地域によって、人々の性質と言うか正確は、随分違うのであります。

ワタクシはこの島国イギリスをでる度に「ああ、そうだよ、違うんだよな」と実感するのです。

さて、その良い例の一つは「掃除が好きか嫌いか」であります。ワタクシはそれを「エスカレーターの手すりのベタベタ度」ではかるのです。

「は?何を言っているんだ貴様は」

と思われるかもしれませんが、違うんです。ベタベタ度が。土地によって。

まず、ワタクシが住んでいるイギリスの住民というのは、すべてにおいて投げやりであり、掃除など些細なことよりも、
海外に船で行って何か略奪したいとか、仕事は一分一秒でも早く終わらせて飲んだくれていたいという、人々が生息する土地であります。従って、掃除は大嫌いであり、エスカレーターはおろか、床はベタベタ、路上はゴミ捨て場、バスではフライドチキンを食っては食いカスをその辺に投げ捨てる、という土地であります。しかし、そういう些細なことには目もくれず、金儲けのことは熱心に考えている故、ヨーロッパにおいては、この不景気の中、まあ仕事はそこそこある方で、世界中から金儲けの大好きな人とか、金のある人がよってくるという状態になっています。しかし、食い物は最悪で、アルプス興業の制服としか思えないジャンパーを、鼻毛を処理していないうら若き女性が着て歩き回っているのです。

お隣おフランスも、同じく掃除は嫌いです。エスカレーターはおろか、床はベタベタでネットリでありますが、路上にはお犬様の排泄物が鎮座しております。ワタクシはパリにいく度にそれを踏んでしまって、ご自慢のドクターマーチンが排泄物まみれではないか、とアイアンメイデンのギグでの雄叫びの様に激怒するのですが、さらに、パリジャンがバンバン投げ捨てた吸い殻も踏んでしまうのです。おフランスにおいては、しかし、エスカレーターの手すりを磨くよりも、うまいものを食う、良い服を着る、奇麗なメイクをする、タバコをかっこ良く吸う、かっこ良くバイクに乗る、良い不倫をする、といったことが優先であるため、郵便は遅延し銀行もちょっとあれなわけですが、何を食ってもうまいわけです。

イタリア、いえ、ヘタリアはおフランスと大体同じです。掃除は自分の家の中しかやらず、ゴミとか汚水はベランダより投げ捨てるのです。

オーストリアとドイツにおいては、手すりはツルツルで、道路さえも舐められるほど清潔です。清掃車が30分おきに爆走し、ゴミを落としたか落としていないか、常に周囲より監視されています。ゴミをどこに捨てるかは厳格に計画されています。飛行機の手荷物が企画より2センチ大きいと「ナイン!!ナイン!!」と激怒されますが、その中に危険物があるかどうかはあまり重要ではないわけです。あくまで大きさがルールに沿っているかどうかです。

そういうわけで、エスカレーターの手すりを触ると、なぜイギリスは戦争に強くて、なぜフランスとイタリアは食べ物はうまくて、なぜドイツはイギリスとフランスを怒らせるのかがよくわかるわけです。

でも日本では有識者でも、「欧米」と言ってしまうわけなのですよ。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。