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ブラック企業は非民主主義国家と同じ

2013.06.17

Updated by Mayumi Tanimoto on June 17, 2013, 20:17 pm JST

日本では昨年ぐらいからブラック企業が話題になることが少なくありません。ブラック企業とは皆さんご存知の通り、過労死するレベルのサービス残業があったり、デスマーチが当たり前だったり、上司にグーで殴られる様な会社です。

日本ではなぜかブラック企業が放置されており、一応法律はあるものの、事実上野放しになっているような状況です。ブラック企業に対する懲罰的な制裁は緩いので、酷い目にあった人がブラック企業を訴えても、賠償金は雀の涙。訴えられても痛くも痒くもないので、ブラック企業は益々のさばることになります。

ワタクシはこのような状況の放置はヨロシクない、と書籍で何度も訴えて来たのですが、訴えて来たのは従業員の方々が可哀想という理由の他に、「このままだと日本企業ヤバいんじゃない?」という危機感があるためです。海外にいるとはいっても、なんだかんだいって母国のビジネスには頑張って欲しいし、母国が貧乏になっていくのは辛いものがあります。

さて、なぜ「このままだと日本企業ヤバいんじゃない?」と思っているかでありますが、ブラック企業というのは、そもそも経営の仕組みに問題があるからではないか、と考えるからです。

会社はなぜブラック企業になってしまうのか、そして、なぜその様な状況が改善されないのか。

それは、その様な会社には「悪い状況をオープンに議論し改善していく文化や仕組みがない」からなのです。従業員や経営サイドが自由闊達に議論する文化がなく、物事は意思決定権を持った一部の人のみで決定されてそれらが強制されるのです。こういう組織では、奇抜なアイディアを採用する様な土壌はないでしょうし、効率の悪さを前向きに改善したり、不正が起こらない様な仕組みを話し合うこともないでしょう。当然、職場の環境の悪さを話しあうこともありません。

これを読んでどこかで似た様なことを聞いたことがあるなあ〜と思った方、いらっしゃらないでしょうか?そうです、ブラック企業とは、非民主主義国家、と似ているのです。

非民主主義国家では、権力が一部の人に独裁され、意思決定のプロセスに様々な人が関わることがありません.情報は公開されず、独裁者を恐れる人々は意見を自由に交換することができません。不透明な仕組みが物事を動かすので不正が起こりまくります。そんな環境なので、活気的なビジネスや芸術は起こらず、国全体が停滞していきます。その結果、その国は全体的に貧乏になります。

今現在、地球上で反映している国の多くは、民主主義国家です。民主主義国家では意思決定に様々な人々が参加する仕組みがあり、政治や行政は透明で、活発に議論する土壌があります。そして、その様な環境では様々なアイディアが生まれ、ビジネスも芸術も活性化します。

社会全体に活気があるのです。

シリアやスダーンの人々がなぜイギリスやアメリカやオランダに移民していくのでしょうか?中国の親はなぜ高いお金を払って子供をアメリカに留学させるのでしょうか?なぜナイジェリアの金融専門家が天気の悪いロンドンのシティに移住するのでしょうか?なぜトルコの若者は政府に反対するデモをやっているんでしょうか?

誰だって活気のある土地に住んで、公平な環境で仕事をし、自由を楽しみたいからです。

ブラック企業の対になるのはホワイト企業です。ホワイト企業とは民主主義の仕組みを会社に取り入れた組織です。組織内の意思決定の仕組みが明確で、活発に意見を交換する土壌があります。情報はオープンであり、働く人は公平に扱われます。ホワイト企業はブラック企業よりも業績が良い場合があり、業務に持続性があります。なぜなら、従業員の満足度が高く、画期的な商品やサービスが生まれる可能性が高く、物事が透明化されガバナンスが機能しているからです。つまりホワイト企業というのは、ミニ民主主義国家なわけです。

例えばgreatplacetoworkの調査によれば、ホワイト企業の1997年から2012年の間の株によるリターンは10%を越えています。これは、市場の平均の2倍以上です。

日本は民主主義国家のはずですが、日本の中に存在する企業の中には非民主主義国家状態の組織が少なくなくありません。

つまりこの様な組織を放置しておくということは、国の中にわざわざ経済が停滞する仕組みを放置するということなのです。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。