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綾子さんに仮想デスクトップを使ってもらおう

2013.09.18

Updated by Mayumi Tanimoto on September 18, 2013, 20:04 pm JST

「出産したらお辞めなさい」という曽野綾子さんの主張が話題になっています。日本での反応はどんな感じなのだろうと暫く放置していたのですが、予想通り激怒している方が多数のようでありました。

さて、ワタクシはこれを読んでいつもの様に「オウベイガー」と思ったわけですが(だって皆さん、労働基準法とか母性保護とか、残念ですけど西欧州は日本より遥かに進んでいるんです。これ事実ですから)、それ以上に「うーん、この方は仮想ソリューションを使ったこともないし、働き方がえらく変わっているということがわかっていないんだなあ」と、哀れみを感じたのでありました。

日本で論争が怒った直後、ワタクシはアメリカで働くある友人と、通信業界の動向についてまったりと語る機会がありました。友人はある欧州系の大手通信事業者で活躍しており、欧州、北米、日本を飛び回って働いております。一応チームはありますが、そもそもチームが対面で会うことはありません。上司は他の大陸におります。業務連絡はどうしているかというと、仮想環境上のアプリケーションでやり取りして、電話して終了です。

同じオフィスに物理的にいるチームメンバーはそもそも週に数回しか会社に来ません。来ても短パンにサンダルです。いつ家で仕事をするか。そんなものは自分で決めるのです。

繰り返します。ここはお固い業界と付き合いがある超大手企業です。

上司も社長も株主も、どういう結果を出したかしか興味がないので、家で飲んだくれていようが、勝手に休もうが、子供いようが、痔だろうが、そんなことはどうでもいいのです。

会社としては、会社に毎日来る無能な男よりも、数億円の売り上げを建てられたり、きちんとデータベースを設計できる女性の方がいいわけです。いや、女性である必要もない。タヌキだろうが、女装マニアだろうが、インド人だろうが、パンクロッカーだろうが何でもいい。会社に来ることだけに熱心な能無しにしたら物凄く辛い環境です。

ちなみに、この会社は大手ですが、この大手がつき合っている会社には、ある技術に特化した社員3−5人の超零細企業も含まれています。事業がデカイのでつき合う会社も多いわけですが、そういう小さい会社も、この大手の会社の様なノリです。技術的にどこから仕事しようが、休み休みやろうが、仕事になるので、会社に来たり、中長期休んだりしながら仕事してるのです。結果さえ出せば良いのですから。

産休とか有給もありますけど、元々柔軟性がある仕事のやり方をするので、子供産んだ女性でも、親を介護している人でも、長時間オフィスにいるのが苦手な人でも、仕事になるわけです。

20世紀風のガチガチな仕事の仕方は苦手だけど、ある分野には物凄い才能を発揮する、という人もいます。通信やITの世界ではそれが顕著でありますので、こういう環境を整えると、はっとする様な才能のある人にも来てもらいやすいという利点もあるわけです。

そう、日本の外では、もう働き方がどうとか、福利厚生がどうだとか、産休がどうだとか、という次元の4歩先に行っているんです。10年ぐらい前から。

そしてこういう働き方が、先進国だけの話だけかというと、新興国でもすでにこうやって働いている組織が結構あるわけです。プロジェクトもオペレーションも繋がっていますので。

恐らく綾子さんは原稿を万年筆と紙でお書きになっているのでしょう。こういう前時代的な言論をぶり撒くと、日本が原始人国家と呼ばれて恥ずかしい思いをするので、仮想デスクトップなり、ファイル共有ソリューションなり、グループウェアなりを使っていただいて、タイムワープしていただきましょう。どこかの通信ベンダなりソリューションプロバイダがやったら、面白いキャンペーンになるかもしれませんね。

綾子さんの周囲のおじさん達にも、一緒に使ってもらいましょう。でもそういうおじさん達は、家で怪しい動画ばかり見てしまって仕事にならないかもしれませんね。だって仕事するには同僚の目が必要なんですから。

ああ、でもオンラインでの行動は全部監視されてるって教えてあげて下さいね。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。