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アマゾン「スマートフォンの無料提供を検討」報道 - アマゾンが否定の声明

2013.09.09

Updated by WirelessWire News編集部 on September 9, 2013, 12:24 pm JST

アマゾン(Amazon)が進めているとされる独自スマートフォンの開発について、米国時間6日に新しい情報が出たが、同8日にはアマゾンからこの可能性を打ち消す声明が出されたという。

今年春までWall Street Journal(WSJ)に在籍したジェシカ・レッシン(Jessica Lessin)氏が6日付けのブログ記事で伝えたところによると、アマゾンが同社のサービスとの抱き合わせによる「無料での端末提供」の可能性を視野に入れているという。ただしこの記事全体は、アマゾンで「そうした動きがある」という関係者の話に終始している印象が強く、具体的な投入の可能性や、時期・条件などはまだ定まっていないなど曖昧な部分も目立つ内容となっている。

またこの記事公開を受けて、アマゾンからは「今年中のスマートフォン投入はない」「将来投入することがあっても、無料での提供はない」などとする声明が出されたという。

アマゾンでのスマートフォン関連の動きについては、同社がハイエンドモデルとローエンドモデルの2機種を開発中とする話が今年5月にWSJで報じられていた。また同社が「Kindle Fire」タブレットをほぼ原価に等しい価格で販売していることは広く報じられている通り。そのアマゾンで、スマートフォン投入が遅れている理由に関して、このブログ記事にはいくつか興味深い指摘が出ている。

障害となっているとされる課題の一つは、受託製造メーカーに対するグーグル(Google)からの圧力。中国のバイドゥ(Baidu、百度)がAndroidをベースに独自の変更を加えたOSを搭載するスマートフォンの開発・投入を計画した際、受託先のエイサー(Acer)に対してグーグルからの圧力がかかり、結局同社が製造を断念するという出来事が昨年あった。アマゾンによるスマートフォン開発でも、同様の懸念を抱くメーカーが多く、アマゾンがメーカー探しで苦戦しているという説明がこの記事にはある。

アマゾンは米国市場で提供するAmazon Prime(年間79ドル)で、買い物の送料無料化(翌日配送部ん)だけでなく、映画やテレビ番組のストリーミング配信やKindleタイトルの貸し出しなども行っており、スマートフォンの無料提供はこの延長線上に位置するものとも考えられる。ただし、現時点ではハイエンド端末の部品・製造原価(BOM)だけでも200ドル前後かそれ以上のコストがかかるとされ、無料提供を実現するにはこれを吸収できるだけの別の収益源が確保できなければならない。また通信事業者が2年契約を条件に無料もしくは安価で端末を提供するというのはすでに一般的になっているため、「ハイエンド機種を安価で」という形ではインパクトにかける可能性も考えられる。

【参照情報】
Exclusive: Amazon Wants To Offer Its Smartphone for Free. Who Will Follow? - Jessica Lessin
Amazon: No Phone Launch 'This Year' and 'Would Not Be Free' - Jessica Lessin
Amazon intends to offer long-rumored smartphone for free, according to report' - The Verge

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