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KDDIと両備ホールディングス、バスロケーションシステム・デジタルサイネージ・スマートフォンを連動したO2Oサービスの実証実験を開始

2013.10.30

Updated by Asako Itagaki on October 30, 2013, 21:38 pm JST

10月30日、KDDIと両備ホールディングスは、岡山市内でバスロケーションシステム・デジタルサイネージ・スマートフォンを連動したO2Oサービスの実証実験を開始することを発表した。バス車内に設置したデジタルサイネージと、連動するスマートフォンアプリ「まゆせチャンネル」への情報配信を行う。実施路線は岡山駅から西大寺線(13.7km・所要時間約30分、1日運行本数約200本、1日乗車客数5000人)。実施期間は2013年11月15日から2014年5月31日まで。実験参加者は2万人を見込んでいる。

▼両備ホールディングス両備ホールディングス CEO 小嶋光信氏(左)と、KDDI 執行役員ソリューション事業本部長 東海林 崇氏
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リアルタイムにバスロケーションサービス・デジタルサイネージ・スマートフォンを連動させるサービスは国内初とのこと。両備ホールディングスのグループ会社である株式会社リオスが2000年から運用しているバスロケーションサービスにKDDIのネットワークが利用されており、今回の実証実験につながった。

▼システムの全体像と役割(報道発表資料より)
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31両のバスに13インチサイズのデジタルサイネージを1両あたり1~5台設置し、バスロケーションシステムによる到着予想時刻などの運行状況案内と地域情報を表示する。表示される地域情報は、1枠15秒程度で、実証実験参加店舗によるおすすめ情報や割引クーポン情報の他、岡山市役所、岡山県警なども情報提供する。バックボーンネットワークにはWiMAXを使用する。

▼サイネージが設置されたバス車内の様子。左の列はバスロケーションシステムによる交通情報、右の列には参加店舗などから提供される地域情報を表示する。
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▼表示される情報画面のイメージ。
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スマートフォンアプリでは2013年春から両備グループの「バーチャル社員」として活躍する七瀬院まゆせが情報を発信する。バスロケーションサービスによるバス運行情報配信と「お得情報」として参加店舗が提供するクーポン情報が表示され、バスのサイネージで表示されているクーポンをスマートフォンアプリで表示する機能もある。auだけでなく他社のスマートフォンでも利用できる。アプリはまゆせチャンネル(http://mayuse.ch)で11月中旬以降ダウンロードできるようになる。

本実証実験では、デジタルサイネージとスマートフォンアプリにクーポン配信をリアルタイムで行えるのが特徴。実験参加店舗が写真やコメントなどをiPadアプリから登録すると、即時に車内のデジタルサイネージとスマートフォンアプリに配信される。「雨が降ってきたから今からタイムセールを実施」など、臨機応変なクーポン発行が可能になる。

クーポン利用時にはアプリ上でクーポンを保存し、店頭で提示して「もぎる」動作をする。これによりクーポンを利用した場所と時刻の情報が得られるため、店舗は発行したクーポンが「いつ」「どれだけ」利用されたかを定量的に把握できる。

▼(左)デジタルサイネージに表示されているクーポン情報が表示される。(右)店頭でクーポン利用時に画面を下にスワイプして「もぎる」ことで、クーポンが利用されたことが記録される。
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KDDI 執行役員ソリューション事業本部長 東海林崇氏は「従来の交通広告のポスターや看板の延長だったデジタルサイネージに、画像圧縮技術やモバイルブロードバンド技術を活用することでリアルタイム情報を提供し、新しい街づくりや地域活性化モデルを岡山から世界に発信していくことになる」と述べた。KDDIは、デジタルサイネージとスマートフォンの連動により、リアルタイムに情報が取得できるO2Oサービスの提供を通して街づくりや地域活性化をサポートするとともに、将来の商用化に向けたモデルケースを目指す。2014年1月を目標に、基地局の電波を使用した位置指紋技術(ロケーション・フィンガープリント)を使用した位置情報導入を検討するなど、O2Oへの位置情報活用についても実験を行う意向だ。

両備ホールディングス CEO 小嶋光信氏は、「まもなく大型商業施設ができる岡山駅前と伝統ある表町商店街に回遊性をもたせるためには、お客様が移動しながらいかに情報を持つかが大事。情報がないと人は動かない」と述べた。グループの目指す「歩いて楽しいまちづくり」実現に向け、移動中の生活者に情報をタイムリーに提供することで回遊性を高め、街の活性化を目指す。

【報道発表資料】
岡山市において国内初の路線バスとスマートフォンの連携による「地域密着型O2Oサービス」のトライアルを開始

【関連サイト】
まゆせチャンネル

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。