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心拍数を測りたい

2013.10.30

Updated by Kenji Nobukuni on October 30, 2013, 08:00 am JST

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(cc) Image by Toby Lewis

ジョージア医科大学(ジョージア州オーガスタ)のJoe Tsien博士率いるチームがスマートフォンのカメラやウェブカメラを使って人や動物の心拍数や呼吸数を計測する技術を開発した。心臓の鼓動に応じて血管が収縮し、血流の速さが変わる。撮影する場所の血管が太くなって血液の量が変われば光の吸収が増える。これをカメラで捉えて心拍数を計測する。呼吸すると胸や肩が動き、光の反射が変化するので、それをカメラで捉えて呼吸数を計測する。この技術は赤外線や白黒カメラでも使えるので、夜間に入院患者の呼吸や心拍をモニタリングすることもできるようになる。

病院や介護の現場で手軽に計測できるようになるほか、途上国や過疎地など医療面の環境が良くない地域での活用も期待されている。

【参照情報】
Cell phone camera measures vital signs in low-cost solution
Technique Lets Doctors Measure Vital Signs with Just a Cell Phone Camera

【類似技術】
今年発表されたマイクとソフトのXbox OneのKinectは、カメラ感度が向上し、人の顔の色の変化から心拍数を読み取ることができる。
Watch Your Heartbeat on Xbox One's New Kinect

オランダのフィリップスのiOS用アプリは、iPhoneやiPadのカメラで人の顔がわずかに赤くなる変化を捉えて心拍数を算出したり、身体のかすかな動きから呼吸数を算出したりすることができる。
Vital Signs Camera (1.99ドル)

ウースター工科大学の研究者が開発したスマートフォン用アプリもビデオカメラ機能を使って心拍数や呼吸数を計測する。カメラに指を押し付けることで心拍数や呼吸数を測るので、ジョージア医科大学の技術に最も近いと思われる。
スマートフォンのビデオカメラ機能で心拍数や呼吸数を測る技術

指をカメラに押しつけて心拍数を測るアプリとしては、Instant Heart Rateの人気が高い。iOS版とAndroid版がある(無料)。
Instant Heart Rate(Google Play)

【類似ではない技術】
ソニーはデジタルカメラで写真を撮影した際に、同時にカメラ筐体に装着したセンサーで、撮影者のバイタルサイン(体温や心拍数、血圧、血中酸素濃度、呼吸数、皮膚コンダクタンスなど)を記録する技術の特許を出願したそうだ。これまでも日時のほか、GPSの座標やカメラの向きなどのデータが画像と一緒に保存されているが、バイタルサインを記録することで医療に役立てるということらしい。
Sony Looking to Develop Camera That Records Vital Signs

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来