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国境を越えるサイバー脅威にカスペルスキーとインターポールが対応

2013.12.03

Updated by Yuko Nonoshita on December 3, 2013, 14:26 pm JST

国境を越えて世界に拡がるインターネットでの犯罪。今まで日本は日本語というバリアーに守られてきたが、最近では明確に日本を狙ったサイバー犯罪行為が増えており、もはや安全だとは言えなくなってきた。

201312031500-5.jpgそうした状況について、情報セキュリティソリューションを提供するカスペルスキーは、11月28日に「最新のサイバー脅威についてのプレスセミナー」を開催。CEOのユージン・カスペルスキー氏をはじめ、同社の専門家やインターポールのサイバー犯罪対策組織である「INTERPOL Global Complex for Innovation (IGCI)」の中谷昇総局氏を招き、現状報告を行うと共に今後の取り組みについて語った。

カスペルスキー日本代表取締役の川合林太郎社長(写真右)は冒頭のあいさつで「就任した8年前から今もサイバー犯罪に対する一般の意識は低く、対して犯罪や攻撃は増えており、他人事ではなくなりつつある」とコメントした。

ちなみに、カスペルスキーの研究機関であるカスペルスキー・ラボは今年3月19日、IGCIに対してセキュリティに関する最新情報の提供やエキスパートの派遣、人材教育などの幅広い範囲で協力を行うことを正式発表している。「サイバー犯罪撲滅に向けたインターポールとカスペルスキーの連携」と題されたパネルディスカッションでは、そうした経緯についても話が及んだ。

▼パネルディスカッションでは、世界のサイバー犯罪の現状とそれに対する具体的な取り組みが紹介された。
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自身のコンピュータがウィルスに感染したことからセキュリティ研究の道に進んだというカスペルスキー氏は、サイバー犯罪に対する最初の驚異は25年前に始まったという。その後、インターネットの登場により犯罪は国境を越えて世界に拡がり、オンラインバンキングやプライバシー、パーソナル情報など様々な財産がターゲットとなり、犯罪も組織化が進んでいると指摘。状況も刻一刻と変化し、Windowsに比べて安心だと言われていたMacも今やそうではなく、驚異はAndroidなどのスマートフォンにも拡がり、被害は広範囲に及ぶ可能性が高まっている。対策としては、「まずは緑の箱のアンチウィルスキットを使ってもらうこと」というユーモアも交えつつ、マルウェアに対する問題を認識すること。そして、国際的な犯罪対策を進めることが重要だとしている。

IGCIはまさしくそうしたサイバー犯罪対策の国際組織として設立されるもので、世界190カ国の刑事警察機構が参加し、個々の法律では対処しきれない問題に対しても国境を越えて、新しい手法にも取り組んでいくことを目的としている。しかし、インターポールではルパン三世の銭形警部のように実際に捕物を行うことはなく、あくまでも犯罪者を捕まえるための情報を各警察機関に提供するのみであると説明。そのための方法としてIGCIの代表を務める中谷氏は、国際ルールの整備やデジタルエビデンス収集のための手法の獲得、さらに関係者らの情報共有と協力体制が必要であると強調した。

具体的に、2014年9月の完成に向けてシンガポールで建設中のIGCIの拠点は、世界の警察機関向けのインターネットサービスプロバイダーという位置付けであり、情報サーバーなどの提供や技術的な教育サポートを民間企業に近い形で提供するという。2つの局があり、インターポール・デジタル・クライム・センターではカスペルスキーがオペレーションをサポートし、犯罪に関する情報を使いやすいよう編集なども手掛ける。もう一つのサイバーイノベーション&アウトリーチでは、捜査スキルを高めるトレーニングやデータ分析を行うフォレンジックの教育を行うが、その対象は大臣や警察機関のトップなども含まれている。特に多くの国には専用の犯罪対策機関がないため、その組織作りについても指導するという。

▼ユージン・カスペルスキー氏は公式ブログでシンガポールで建設中のIGCIを"サイバー・ポール"と称している。すでに各国の警察機関へのアドバイスを行っており、本セミナーの前に大阪府警でセミナーを開催している。
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▼IGCIは写真のような映画に出てくるようなサイバー・オフィスになる予定で「銭形警部のように犯罪捜査権はなく、拳銃の代わりにブラックベリーを持って戦う」とエグゼクティブディレクターの中谷昇氏は説明する。
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運営面ではNECなど様々な企業が協力しており、カスペルスキー・ラボではマルウェアデータの構築を含め、教育スタッフの派遣なども全ては無料で行うという。その理由として中谷氏は「セキュリティトップ企業全てに協力を依頼した結果、反応が最も早く、その内容も素晴らしいものだった」からと説明。カスペルスキー氏も「サイバー犯罪の対策は私の使命であり、IGCIのような特別な機関と共に活動することは相互のメリットになる」としている。

将来的には日本の警察機関もIGCIの協力を求めるようになるかもしれない。最近では世界中でサイバー犯罪のプラットフォームが構築され、お金を払えばアフターサービスも付けるというようなクライムウェアも普及し、日本語への応用も簡単になっているからだ。実際、カスペルスキー氏が大阪府警で行ったセミナーでは犯罪が確実に増えていることがわかったという。サイバー犯罪を防ぐには、逮捕者や有罪例を増やして割にあわない犯罪にしていくしかない。これまで企業は、被害があっても警察も対応してくれないという理由から報告しない例が多かったが、IGCIのような専門組織が出来れば状況を変えられるのではないかと期待されている。

インターネット上でも通常の生活と同じく安全は自分で守るしかない。「もし、サイバー犯罪を見つけたら、見逃さず必ず報告してほしい」というカスペルスキー氏のコメントでパネルディスカッションはしめくくられた。

【関連情報】
カスペルスキー
プレスリリース
ユージン・カスペルスキー 公式ブログ

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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。