NTT、スマホをテレビ会議のワイヤレスマイクにして聞き取りやすくする技術を開発
2014.01.29
Updated by Naohisa Iwamoto on January 29, 2014, 19:04 pm JST
2014.01.29
Updated by Naohisa Iwamoto on January 29, 2014, 19:04 pm JST
NTTは2014年1月29日、テレビ電話やテレビ会議の拡張マイクとしてスマートフォンのマイクを活用できるようにする技術を開発したと発表した。「振幅スペクトルビームフォーマ技術」と呼ぶもので、遅延の異なる音声信号を適当に混合して、相手に聞き取りやすい音声を提供する。
テレビ電話やテレビ会議では、話し手が本体のマイクから離れて話すと音が小さくなり聞こえにくくなる。これを解決するためには話し手の近くに拡張マイクを設置するといいのだが、有線マイクは配線がわずらわしく、ワイヤレスマイクはコスト面で導入が難しいといった課題があった。今回開発した技術では、テレビ会議システムなどとWi-Fiで接続したスマートフォンのマイクを拡張マイクとして使い、音声を聞き取りやすくすることに成功した。
Wi-Fi接続したスマートフォンのマイクの音声は、そのままテレビ会議本体のマイクの音声に重ねると、音が二重に聞こえる、音質が劣化する--といった問題があった。「振幅スペクトルビームフォーマ技術」では、複数の話し手の音源を分離するために、従来使われていた「時間差」ではなく「音量差」の情報を抽出する。通話中の発話から自動的に話し手の切り替わりを検出し、それぞれの話し手の音量差情報を自動的に獲得。この仕組みを使って音源を分離することで、遅延やサンプリング周波数の違いを受けやすい「時間差」情報による音源分離よりも自然な音声を再現できるという。
開発した新技術の導入も容易になるようにソフトウエアライブラリ化を進めた。テレビ会議システムやスマートフォンのアプリに対して、それぞれに対応するソフトウエアライブラリを使うことで簡単に新技術を組み込める。NTTはまず、2014年中にNTTグループ企業を通じて、既存のテレビ会議やテレビ電話システムにソフトウエアアップデートの形で提供する。今後は、専用端末を使わずに複数台のスマートフォンだけで運用できる音声会議や、遠くの人の声を収録するビデオ撮影などへの応用も検討している。
【報道発表資料】
・手持ちのスマホでワイヤレスマイク機能を簡単に実現
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登録はこちら日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。