犬 鼻 イメージ

呼気で病気を嗅ぎ分けるナノテク鼻

2017.09.20

Updated by WirelessWire News編集部 on 9月 20, 2017, 07:00 am JST

「ナノーズ(Na-Nose)」という技術は、「Nano Artificial Nose」ーーつまり、「ナノ人工鼻」から作った造語だ。数々の科学賞を受賞してきたイスラエル工科大学(テクニオン)の有名教授、ホッサム・ハイク氏(ナノテクノロジー、化学工学)が開発を進めている。この人工のナノテク鼻は、鼻の形はしていないが、人の病気を呼気(吐く息)から嗅ぎ分けることができるという。

人が癌などの病気にかかると、患部で正常時には存在しない分子が微量ながら形成される。この分子は血管を通じて肺に至り、呼気の中にかすかに混入するという。人や犬が嗅いでも全く分からないので、ナノテクノロジーで作り出したセンサーを並べたナノーズで検出する。

この方法であれば、非侵襲、つまり体を傷つけることなく診断を下すことができる。研究は2007年から始まっており、当初からすでに、肺癌の進行した患者の呼気から、異分子を検出することに成功していたが、後期癌が診断できても仕方がない。その後、研究の中心は、より困難な早期癌の発見に向けられ、成果を上げている。

さらに、検出する分子を、つまりはナノセンサーを増やして、検出可能な病気の種類を増やす努力も続けられている。犬の鼻も人の鼻も、嗅覚器官はレセプター(受容器官)と脳の組み合わせだ。極めて微量な分子をレセプターで捉えて、それが何かを脳で判別することになる。脳の部分は揮発性分子により導体に生じる電流の変化を分析する。

ナノーズの研究もこの両輪で進められていて、癌の他、パーキンソン病、アルツハイマー病や、胃の疾患など17種類の疾患にも適用が進んできたようだ。検出精度は、病気の種類などによるものの、64%から100%の間だという。ガスクロマトグラフィーや質量分析など、他の方法と組み合わせて結果を絞り込む。

病気の早期発見は治療や進行抑制の基本であり、X線や放射線、針やメスを用いない方法は画期的といえる。研究の方向性としては、将来、癌などを発症するリスクを呼気から判定すること、良性と悪性を判別することに向かっているという。

商用化され、さらに機器の低価格化ーー目標は数万円程度ーーが進めば、大病院だけでなく、近くのクリニックや薬局でも日常的に検査ができるようになるかもしれない。肺活量を計測するような感覚で病気の早期発見やリスク判定が可能になれば、人々の暮らしに大きな影響を与えてくれることは間違いなさそうだ。

【参考情報】
Nano Artificial Nose (NA-NOSE) and Cancer
https://www.youtube.com/watch?time_continue=118&v=b47phYuNVf4

Technion’s artificial nose inventor makes ‘Good Guy’ list
https://www.timesofisrael.com/technions-artificial-nose-inventor-makes-good-guy-list/

Israeli scientist has Nanose for sniffing out diseases
http://jewishjournal.com/culture/science_and_technology/223179/israeli-scientist-nanose-sniffing-diseases/

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