WirelessWire News The Technology and Ecosystem of the IoT.

by Category

海外でうまくやれているあの子は褒めて褒めて褒めまくっている

2014.01.18

Updated by Mayumi Tanimoto on January 18, 2014, 02:10 am UTC

海外で日本人マネージャや日本の組織を観察していて「あいたたたたたた」と思う場は多々あるわけですが、その一つは、人様の育て方であります。

日本のやり方というのは、基本的に「キレ芸」であります。

ダメな子がいたら「お前なにやってんねん!!」「お前はここがダメだな」と愛の鞭をふるって厳しく指導するあれです。いっている方には悪気はありません。期待値が高く、もっとできる、ここをこうしろと単刀直入に言っているだけでありまして、単刀直入な分、極めて効率が良いのでありますね。嫌われる可能性もあるけども愛の鞭を振るう。星一徹的な指導方法であります。

ワタクシは星一徹方式に反対なわけではなく、ワタクシのスタンスはどちらかというとこれです。厳しい、言い方がきついと思われてしまうわけですが、さっさと向上して欲しいので、ついそうなってしまいます。Twitterでもネトウヨの皆さんや、自宅警備員的な方に厳しいのはそういう理由です。

やる気がある人、潜在能力の高い人、文脈が読める人、心の強い人にはこの方法は有効ではないかと思っております。そういう人は「なにくそ」と思って頑張りますから、大変効率が良い方法であります。

が、その反対の人、やる気がなく、潜在能力や基礎学力があまり高くはなく、効率が悪く、文脈が読めず、心が弱い人に取っては、星一徹方式は逆効果です。萎縮してやる気がなくなるばかりか、俺はダメなんだと自分を責めて、負のスパイラルに突入です。挑戦する心がなくなってしまいます。

元学校の先生による以下の様なツイートを発見しました。この先生は、日本で学校の先生を経験し、フィリピンで海外駐在員のお子さんに勉強を教えている方です。

海外駐在員のお子さんに勉強を教えて感じたこと。

---------------
引用
---------------

セブの駐在員のお子さんに勉強を教えたら、けっこうな確率で自分の頭を悪いと思ってる子がいてびっくり。親の期待値がかなり高いから家でダメだしばかりされているよう。僕から見たら、この日本語使わない環境でよくそこまで育ったと思うんだけど。親の言葉が最大の-環境になりうるんだなと。

これは声を大にして言いたいんだけど、当該学年の平均的な子供の能力と比べて、仮に自分の子供に至らない所があったとしても、それを指摘して得することは1つもありません。ただ、本人が自信をなくすだけ。でも、これすごい確率でお母さんたちやってると思う。

ここで僕が言う、耕された土壌、深くて太い根というのは、「自分には学ぶ力があるんだ、学ぶことはとても面白いことだ、もっともっといろいろな事をたくさん学びたい」と心の底からそう思えるようにする事です。

---------------
引用終わり
---------------

つまり、イチローや本田的な能力はないが、能力がそこそこある子供にダメ出しをしていると、萎縮して学ぶ意欲さえなくなってしまう、というわけです。

大人であってもこれは同じで、スーパースターではなく、心がそれほど強靭でもない人がダメだしばかりされると萎縮してしまいます。

日本の職場や、海外でビジネスをやっている日本の組織の多くは星一徹方式であります。恐らく、日本では経営者やマネージメント側が働く人間への期待値が高いからなのですね。やればできる、もっと頑張れ、能力を伸ばしてくれ、と期待している。期待しているからこそ厳しいわけです。

日本の親も子供に期待しているからこそ厳しい。多分日本の場合は幼少時から星一徹方式に慣れている人が多いので、多少厳しい事を言われても心が折れないわけです。しかし、平均かそれ以下の人々中には萎縮し、意欲や挑戦する心を失ってしまうひとが確実にいるわけです。

管理者と働く人間双方の役割が明確なイギリスや北米、大陸欧州では星一徹方式はマレであります。イジメだなんだと訴訟を起こされるのが怖いというのもありますが、そもそも、経営者や管理者側が、働く方にあまり期待をしていないわけです。最初から「こいつらアホウだからダメだわ」と諦めている。

日本に比べると、全体的な能力ややる気というのは遥かに落ちますし、多種多様な人々がいる上、イギリスや北米の場合は、経済格差が凄まじく、公教育の予算はバンバンカットされてますので、教育レベルも均一ではありません。また、子供の頃からバカでも褒めるというやり方が一般的でありますので、厳しいやり方への 免疫がありません。

従って、星一徹方式に耐えられる人が多くはないわけです。

そういうわけで、イギリスや北米、大陸欧州で、現地の人をうまく操っている経営者や管理者を観察していると、褒めて褒めて褒めまくり、であります。褒められた方は勘違いして頑張ってみる。日本人だと「ああ、これ建前じゃねえか」と見抜いてしまったりするわけですが、わりと単純な人が多いので気がつかないわけです。

星一徹方式と、褒めて褒めて褒めまくり方式のどっちがいいか悪いかというわけではありませんが、日本の外ではキレ芸はむしろ逆効果だということは心得ておいた方が良いかもしれません。

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。