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日本の書店には愛国ポルノが並ぶがイギリスでは「全然愛されてない場所を巡るイギリスの旅」という本が並ぶ

2014.02.27

Updated by Mayumi Tanimoto on February 27, 2014, 18:12 pm JST

売れるから「嫌中憎韓」 書店に専用棚/週刊誌、何度も扱う

「『反ヘイトスピーチコーナー』作りませんか」という提案に対する書店員の方の反応

という記事とTwitterのまとめが、がちょっと前に日本で話題になっておりました。確かに最近日本では韓国や中国を揶揄する書籍の出版が目立っており、雑誌には韓国や中国をたたき、愛国心を煽る様な記事が目立つ様になりました。リベラル本はなかなか売れず、ただでさえ経営が苦しい書店は「愛国ポルノ」を売らざる得ないのでしょう。

ワタクシこの記事やTwitterのまとめ、日本の大手書店の店頭の写真をイギリス人やカナダ人、ドイツ人、フランス人に見せたんですけど、「はああ??」とびっくりしておりました。

そして、下の様なコメントをくれました。

「あの、大手の出版社がこういう本を出してしまって、大手のブックチェーンが店頭でこういうフェアやっちゃうの??日本のエスニックマイノリティーって確かコリアンジャパニーズやチャイニーズジャパニーズだよね。日本の大手企業の社長やエンターテイナーにも彼らは多いけど、色々困らないのかね」

「こういう企業はエスニックマイノリティの顧客を失うことや、裕福なリベラル派のお客さんを失うことが怖くないのかなあ?自社になんとなく特別なイメージがついてしまうでしょ。チャリティやる場合のスポンサー探すのも大変になりそうね。リチャード・ブランソンみたいな篤志家から協力は得られないだろうなあ。貴族も嫌がるだろうね。あ、日本には貴族はいない?でもCSRのKPIが下がっちゃって、担当者が叩かれそうだよねえ。」

「内容によっては、著者や出版社が訴えられちゃうかもね。だって特定の人種や特定の国の人を攻撃しているからね。本を書く前に全責任は著者が被るって契約書結ばないのかな、出版社と。訴訟起こされたら嫌だからこっちなら攻撃されそうな本は書かないかも」

「自分の会社にそのエスニックマイノリティの人がいたら、『こんなものを私に売らせて嫌がらせをしている!差別だ!!』と職場を訴えるかもしれないから、怖くてこういう本は出せないよね。。。人種差別訴訟は証拠があったら一発だからなあ。最近仕事が欲しくてしょうがない弁護士事務所がおおいだろう。会社が倒産しちゃうよ。損害賠償額がでかいからなあ。こういう出版社や書店には法務とかリスク管理部はないのかね?まあ日本はEUに加盟してないからいいけど、こっちはEUがあるからね。EUまで訴えられちゃうとねえ。大変だよ。ははは」

「トーキョーはロンドンよりはるかに大きな首都だけど、出版社や書店にエスニックマイノリティーや外国人はいないのかな。。。」

こういう「愛国ポルノ本」がイギリスで売られていたらと仮定すると、こんな題名の本が並ぶことになるでしょう

・呆アイルランド論
・ウソだらけの近代イギリスーバングラデシュ史
・なぜ反英フランスには未来はないのか
・どうしょもないインド
・そして生き残るのはイギリスだけ
・イギリス人はいつからイギリスが好きになったのか
・南アフリカの人はなぜイギリスを尊敬するのか
・英米再逆転
・イギリス女子と愛国
・反英メディアの正体
・ドイツに舐められないために

イギリスは落ちぶれた元帝国ですので、世界中に敵とか、恨まれている国が大量にあります。隣国とは100年以上も戦争をやっていましたから、今更昔のことを掘り返して大喧嘩はしたくありません。しかも、70年ぐらい前には隣国に全方向包囲された上、空襲で酷い目にあいました。

もしこういう本が並ぶとしたら、書店の棚が崩壊することでしょう。ジェイミー・オリバーの料理本なんておくスペースはなくなるに違いありません。

ちなみに、イギリスではこういう本のかわりに、大手書店の店頭には以下の様な本が並んでいます。店頭にバンバンならんでたので思わず買ってしまいましたが。仕事が嫌いな人が多いので、キャリアポルノとか政治経済本は店頭に並ばないんですよね。こういう本ばっかりで。

イギリスのクソゴミな町

あんたって最低 でもあんたが好きよ:全然愛されてない場所を巡るイギリスの旅

イギリスのクソ村

ギャングスターラッパー塗り絵

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。