中国の家電メーカーHaierが2014年中にインドネシアにおいて携帯電話の工場を設立し、同国で携帯電話の生産を行っていくことが報じられた。Haierは西ジャワのCikarangにある同社の敷地内に80万ドルを投資して設立する予定である。
Haierは中国を代表する家電メーカーで、主要製品は冷蔵庫や洗濯機などの白物家電、テレビ、エアコン、ラップトップパソコンなどで、世界165ヵ国以上で生産・販売している。インドネシアでも有名である。
しかし、インドネシアでHaierは自社のブランドでスマートフォン、携帯電話の販売は行っていない。Haierはインドネシアの通信事業者Smartfrenと提携して、同社が提供している最新スマートフォン「Andromax」シリーズを提供している。いわゆるOEM(Original Equipment Manufacturer)である。
Haierは新たに建設する工場でSmartfrenに提供しているスマートフォン生産の拡充を目指していく。「Andromax」シリーズは150ドル~200ドルのミドルエンドのスマートフォンで、スマートフォンが急速に普及してきているインドネシア市場において「Andromax」シリーズは入手しやすい手頃なスマートフォンとして人気が高い。
インドネシア市場においてのスマートフォンはこれからも普及が拡大していくことであろう。2013年にはインドネシアでは6,000万台の携帯電話が輸入されている。日本で1年間に販売される携帯電話が4,000万台弱であることから、輸入台数だけで6,000万台のインドネシアの市場規模の大きさがうかがえる。特に中国、台湾で製造された携帯電話の輸入が多い。それらは輸入分コストが上乗せされるから高くなってしまう。現地で製造したものを現地で販売した方が効率的である。またインドネシアにとっては地元に工場を設立されることは、雇用創出にもつながる。一方で、今まで生産していた中国の工場は新たな市場に向けた生産体制の確立が必要である。
Smartfrenの「Andromax」シリーズは、日本人は知らない人が多いが、インドネシアでは有名である。他にもインドネシアには地場の様々なメーカーが存在している。ますます競争が厳しくなっていくインドネシアのスマートフォン市場を制するのはどこだろうか。
【参考動画】
インドネシアの通信事業者Smartfrenが提供しているスマートフォン「Andromax」シリーズ
【参照情報】
・Haier to open cellular phone facilities in RI this year
・Smartfren Andromax
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登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。