2014年4月4日のインドのThe Economic Timesによると、2013年第3四半期(2013年10月~12月)のインドでのスマートフォン市場におけるブランドで、ソニーがアップルを抜いて2位になったそうだ。1位はサムスンでシェア43%と圧倒的な知名度を誇っている。続いてソニーが9.1%、アップルが7%であった。その他が41%である。
ソニーは10,000ルピーから20,000ルピー(17,000~34,000円)のミドルエンドのスマートフォン端末がよく売れて今回アップルを抜いてインド市場のブランドとして2位に浮上した。販売キャンペーンとして33億ルピー(約56億円)という多額の投資を行った。
IDCによると2013年第3四半期によく売れたソニーの端末は「Xperia M Dual」と「Xperia C」とのこと。一方でIDCは2014年1月~3月期はインドでブランド力があるNokiaがAndroid搭載のスマートフォンを販売したことや、地元で人気のMicromaxの新機種がリリースされたことなどから、ソニーのブランド力の好調が続くとは限らないと述べている。ソニーも今期にリリース予定の「Xperia Z2」で立ち向かっていく。
まだフィーチャーフォンの方が人気が高く、売れているインドの2013年第3四半期のスマートフォンの出荷ではサムスンが38%、Micromaxが2位で16%、ソニーは5%、Appleは 2%である。、ソニーもAppleもスマートフォン頼みである一方で、携帯電話全体の総出荷でも圧倒的な1位であるサムスンのインドにおける強さが垣間見られる結果となった。
インド市場では、サムスン、ノキア、ソニーといった老舗のグローバルメーカー以外にも、地元のMicromax、Karbonn、Lavaといったブランドも大人気で多くのテレビCMやビルボードを見かける。さらにインド市場には中国メーカーやHP、Panasonicなども進出している。同時期のスマートフォン出荷台数ではソニーはサムスン、Mivromax、Karbonnに続き4位で地元メーカーの方が出荷台数は多い。
Sony Indiaはインドでのスマートフォンでの収益は同国でのフラグシップモデルのテレビ事業と同じくらいになったと述べている。テレビとスマートフォンがSony Indiaの売上1,000億ルピーのうち70%を占めているとのことであり、同社にとってスマートフォンはインドにおける稼ぎ頭の1つに成長していることが伺える。ソニーにとってもインドは、中国、アメリカ、日本などと並んで重要な市場である。
ブランド力で短期的に上位に来ても、それが収益に直結していなくては意味がない。多額のマーケティング費用を投資しても回収できなくてはどうしようもない。ブランド力は販売において非常に重要な要素の1つではあるが、ブランド力で上位に来るよりもビジネス(収益)で成功することがなによりも重要なのは言うまでもない。
インドはこれからもまだまだスマートフォンをめぐる激しい競争を繰り広げていく。ブランド力の更なる向上による販売台数の増加と収益拡大に期待したい。
▼インド市場における携帯電話出荷総数とスマートフォンの内訳
(IDC発表資料を元に筆者作成)
▼2013年第4四半期のインド市場でのスマートフォン出荷メーカー別ランキング
(IDC発表資料を元に筆者作成)
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【参照情報】
・Sony overtakes Apple to emerge second largest smartphone brand in India
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登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。