[2014年第18〜19週]KDDIは「CA+WiMAX2+」、満足度はドコモに軍配、KDDIとソフトバンクが大幅増益
2014.05.12
Updated by Naohisa Iwamoto on May 12, 2014, 11:30 am JST
2014.05.12
Updated by Naohisa Iwamoto on May 12, 2014, 11:30 am JST
大型連休を挟んだこの2週の間に、新製品の発表や決算発表などモバイル関連では大きなニュースがあった。KDDIは夏モデルの新製品を発表、すでに発表済みのキャリアアグリゲーション(CA)による最大150Mbpsのサービスに加えて、最大110MbpsのWiMAX2+も利用できる端末を投入し、実効速度の向上を目指す。決算はKDDIとソフトバンクがともに増収増益。ソフトバンクは米スプリントの買収効果などを合わせて、NTTドコモを規模で抜き去ったことをアピールした。
KDDIは、au発表会 2014 Summerを開催し、2014年夏モデルのスマートフォン新商品や新サービスについて説明した。夏モデルの新端末の特徴は、LTE-Advancedの主要技術であるキャリアアグリゲーション(CA)による最大150Mbpsのサービスと、最大110MbpsのWiMAX2+の双方に対応したモデルが中心となること。KDDIの田中孝司社長は「ダブルで実効速度No.1を目指す」と、CAとWiMAX2+の相乗効果をアピールした。
具体的には「Xperia ZL2 SOL25」「GALAXY S5 SCL23」「AQUOS SERIE SHL25」「URBANO L03」「isai FL LGL24」の主力スマートフォン5機種と、タブレットの「Xperia Z2 Tablet SOT21」がCAとWiMAX2+の双方に対応する。このほか、米国防総省のMIL規格に対応した高耐久性スマートフォン「TORQUE G01」、カラフルな3色を用意した8インチのタブレット「Asus MEMO PAD 8」もラインアップする。サービス面での目玉となる新しい電子マネーサービス「au WALLET」は、5月21日にサービスを開始する(関連記事:KDDI、CAとWiMAX2+に対応したスマホなど夏モデルを発表、電子マネー「au WALLET」も提供開始)。
ソニーモバイルコミュニケーションズは、KDDIが発表したXperia ZL2など対応スマートフォンと連携するリストバンド型の端末「SmartBand SWR10」を5月23日に発売する。SmartBandから得られる歩数などの生体情報だけでなく、音楽、写真、通話などスマートフォンの利用記録を合わせて、ライフログを記録できる。Google Playからダウンロード可能な専用アプリ「Lifelog」と組み合わせて利用することで、ユーザーの行動パターンの発見や、未来のコミュニケーションや行動のきっかけになる情報を提供する。価格はオープンだが、Xperia Store、ソニーストアでの販売価格は9800円(税抜き)(報道発表資料:リストバンド型『SmartBand SWR10』を5月23日に発売)。
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キャリアごとの通信事情を評価する調査は数多くあり、それぞれに異なる結果が得られることが多い。そうした中で日経BPコンサルティングは2014年4月に、全国5万5000人という大規模なユーザー層を対象とした「スマートフォンユーザーのネットワーク利用実感に関する満足度調査」を実施し、結果を公表した。それによると、「エリア」「通話品質」「通信品質」の3項目と、5つの利用シーンのすべてで全国におけるネットワーク利用実感満足度はNTTドコモがトップという結果だった。また都道府県別で見ても、NTTドコモが「エリア」で46都道府県、「通話品質」で43都道府県、「通信品質」で45都道府県でトップという圧倒的な強さが見られた(報道発表資料:全国大規模5.5万人「スマートフォンユーザーのネットワーク利用実感に関する満足度調査」)。
そのNTTドコモは、さらに2歩先とも言える第5世代移動通信方式(5G)の開発に前進する。世界の主要ベンダーと第5世代移動通信方式に関する実験で協力することに合意したとドコモが発表したのだ。アルカテル-ルーセント、エリクソン、富士通株、NEC、ノキア、サムスンの6社と個別の実験に向けた検討をするとともに、その他ベンダーとの協力も含めた幅広い検討を進める。
2020年のサービス提供を目指す5Gは、10Gbpsを超える通信速度、現在の1000倍を超えるキャパシティ、M2Mを前提とした端末数増加への対応のため、6GHzを超える周波数を有効活用するための技術、単位面積あたりの容量を増大させる技術、M2Mや様々なアプリケーションに適した無線伝送方法など、様々な移動通信技術を検証する必要がある(関連記事:ドコモ、世界の主要ベンダーと5Gに関する実験協力に合意)。
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連休前に売上高は横ばいで減益となった決算を発表したNTTドコモに続き、KDDI、ソフトバンクが2013年度の通期連結決算を発表した。決算の数値を見ていくと、NTTドコモが圧倒的な強さを誇っていた過去から、3大キャリアが拮抗したビジネスを展開する状況に移り変わってきたことが見て取れる。
KDDIの連結決算では、売上高は前年同期比18.3%増の4兆3336億円、営業利益は同29.4%増の6632億円の増収増益となった。売上高、営業利益とも過去最高の大幅な増収増益となった。2014年度の連結業績予想は、売上高が前年同期比6%増の4兆6000億円、営業利益が同10%増の7300億円。NTTドコモの2014年度の業績予想は、売上高が4兆5900億円、営業利益が7500億円であり、KDDIもドコモに匹敵する業績を予測している(報道発表資料:2014年3月期決算について)。
一方のソフトバンクは、米スプリントの買収やガンホー、ウィルコムの子会社化に伴う一時益の効果などにより、営業利益が1兆円を突破するなど飛躍した決算となった。連結の売上高は前年度から倍増の6兆6667億円、営業利益は同36%増の1兆854億円、当期純利益は41.5%増の5270億円。2014年度の連結業績予想は、売上高が7兆円、償却前営業利益(EBITDA)が2兆円、一時益を含まない営業利益が1兆円と、NTTドコモ、KDDIを引き離す大きな成長を目指す(報道発表資料:ソフトバンク 2014年3月期 決算説明会)。
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連休を挟んだ2週間のそのほかのトピックを見ていこう。NTTと三菱重工は、NTTのICT分野の研究開発成果を、三菱重工のエネルギー・環境、交通・輸送などの社会インフラ関連製品などに適用して新しい価値創造を目指すため、研究開発連携の基本契約に合意したと発表した。具体的には、光ファイバー・センサー分野の計測技術の活用、三菱重工の製品や顧客の声などに対するビッグデータ処理・分析技術の適用、AR(拡張現実)やメディア処理技術を活用した遠隔コミュニケーションなどの実現--を検討テーマとして、共同開発や共同実験を推進する(関連記事:NTTと三菱重工、ICTの社会インフラへの活用を連携して研究開発)。
NTTドコモは、公衆無線LANサービスの「docomo Wi-Fi」に、2台目利用プランの「docomo Wi-Fi 月額300円プラン」を追加すると発表した。文字通り月額300円のプランで、6月1日に提供を始める。docomo Wi-Fiは、全国約15万のアクセスポイントで送受信最大72.2Mbpsのインターネットアクセスが可能な公衆無線LANサービス。月額300円プランは、Xi/FOMAの回線契約があるスマートフォンに加えて、ノートパソコンやWi-Fi専用タブレットでもdocomo Wi-Fiを使うケースに適用するものだ(関連記事:docomo Wi-Fi、ノートPCやWi-Fi専用タブレット向けの2台目プランを月額300円で提供)。
遊び心のあるグッズのご紹介。ラナは、デジタルガジェットを展開する新ブランドとして「imp.」を発表した。同時に「imp.」第一弾商品として、映画「スター・ウォーズ」に登場するドロイド「R2-D2」をモチーフにしたバーチャルキーボードの受注を開始した。「R2-D2 バーチャルキーボード」が商品名で、R2-D2から投影されたキーボードに手を触れることで文字の入力が可能になる。スマートフォンやタブレットなど入力を受け付ける機器との間はBluetoothで接続する。首の部分をひねる電源のオン/オフや、文字の入力時には、R2-D2の独特の"音声"が効果音として鳴る(関連記事:気分はスター・ウォーズ! 「R2-D2」が投影するバーチャルキーボード)。
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