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アメリカのスマートフォン市場:販売台数でSprintを抜いたT-Mobile US

2014.05.30

Updated by Hitoshi Sato on May 30, 2014, 13:13 pm UTC

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John Legere - Introducing JUMP!(Image by T-mobile US)

アメリカの調査会社Counterpointがアメリカ市場における2014年第1四半期(2014年1月~3月)における各通信事業者のスマートフォン販売を公表した。

それによると、2014年Q1におけるアメリカ4位のT-Mobile USのスマートフォン販売が690万台で、アメリカ3位のSprintは500万台以下だった。

以下が2014年第1四半期(2014年1月~3月)のアメリカにおけるスマートフォン市場の特徴である。

  • アメリカ市場で、同時期に販売されたスマートフォンは3,300万台。前年比7%成長で、携帯電話出荷の87%がスマートフォンだった。
  • メーカー別出荷は、スマートフォンはAppleが1位、携帯電話全体ではサムスンが1位。この2社でスマートフォン市場全体の3分の2を占める。
  • TCL-Alcatelがアメリカのスマートフォン市場で5位になる。
  • Android OSのシェアは59%、iOSが36%、Windows Phoneは4%以下。
  • 4台のうち3台はLTE対応スマートフォン。Appleとサムスンのスマートフォンのうち70%はLTE対応。

▼2014年第1四半期(2014年1月~3月)における各通信事業者のスマートフォン販売(メーカー別シェア)
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(Counterpoint発表資料を元に作成)

Apple(iPhone)が圧倒的に強いことがわかる。特に上位2社では、スマートフォン販売の半数以上がAppleである。

好調なT-Mobile US

今回、T-Mobile USがスマートフォン販売でソフトバンク傘下のSprintを抜いた。T-Mobile USが順調な理由として以下の2点があげられる。

(1)iPhone販売開始
2013年4月からT-Mobile USはiPhoneの販売を開始した。NPDの2013年第4四半期の調査によると、Appleのアメリカでのスマートフォンシェアは42%でトップであり、アメリカでiPhoneの人気が非常に高いことがわかる。iPhoneの販売によって加入者が拡大することは、AT&TやVerizonなどでみられたものであり、iPhoneの取り扱い開始によって同社が勢いづいたことが考えられる。

(2)新たな販売戦略: Un-carrier、JUMP!
iPhoneを取り扱ったからといって、それだけで業績が伸びるほど、アメリカの通信市場も甘くはない。業績好調の背景には、販売時の施策としてT-Mobile USが導入した施策に「アンキャリア戦略」があり、これが功を奏したと考えられる。アメリカでは2年契約を結んだ他社の顧客がT-Mobile USへ乗り換えようとすると、多額の解約料を請求される。そこで、T-Mobile USは顧客に代わって、この解約料を全額負担する「Un-carrier」プランの提供を2013年3月から導入した。このプランでは契約期間の縛りがないため、顧客は「T-Mobile USのサービスが気に入らなければ、いつでも他社へ乗り換えできる」ということから安心してT-Mobile USで契約ができる。

他にも、月額10ドル(追加料金)で、2年間のうち3回までスマートフォンの買い替えができる「JUMP!」プランなどT-Mobile USへ乗り換える顧客に有利なサービスが提供されている。

また、2014年1月から導入された新プラン「Un-carrier 4.0」では、T-Mobile USへ乗り換えた他社の顧客が使用中の携帯端末を下取りに出すと、最大で300ドル(他社での契約期間の経過月数により減額)、合計で最大650ドルのキャッシュバック受けることができる。

このような効果もあり、2014年Q1でT-Mobile USは純増者数を大きく増加した。

(表2)アメリカ通信事業者の2014年第1四半期決算比較
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(公開情報を元に筆者作成)

【参考動画】Uncarrier 4: Contract Freedom!

【参照情報】
Market Monitor : Q1 2014 : Smartphone Brands Market Share By US Carriers - Counterpoint Technology Market Research
Report: T-Mobile overtakes Sprint in Q1 as No. 3 U.S. smartphone buyer - FierceWireless

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。