[2014年第23週]ソフトバンクがロボットや新料金、国内でGoogle Glass向けアプリ
2014.06.10
Updated by Naohisa Iwamoto on June 10, 2014, 11:00 am JST
2014.06.10
Updated by Naohisa Iwamoto on June 10, 2014, 11:00 am JST
モバイルや通信業界のメインストリームのニュースとは少し違うかもしれないが、大きく話題をさらったのがソフトバンクモバイルのロボット開発のニュース。来年の話をすると鬼が笑うというけれど、来年の春には自宅でロボットが笑っているかもしれないのだ。このほか、ソフトバンクはNTTドコモの新料金プランに対向する改訂版「スマ放題」を発表した。
ソフトバンクモバイルが発売するロボットは、人間の感情を認識するパーソナルロボット「Pepper」で、2015年2月に国内で発売する計画だ。Pepperは人型のロボットで、周囲の状況を判断して行動する自律型のアルゴリズムを搭載する。相手の声や表情などから感情を判断し、その情報に基づいて行動する。高機能ながら19万8000円と、手ごろな価格に抑えたところもポイントだ。Pepperは、2014年6月6日からソフトバンク表参道とソフトバンク銀座の両店舗でソフトバンククルーとして配備され、来店者がコミュニケーションを体験できるようになっている。今後は全国のソフトバンクショップに展開し、将来的にはグローバルでの販売を目指す(関連記事:ソフトバンク、人間の感情を理解するロボット「Pepper」を19万8000円で2015年2月発売)。
新しい料金プラン発表のニュースもあった。ソフトバンクモバイルは、新料金サービスの「スマ放題」を7月1日に開始する。サービス内容は、国内通話が定額でかけ放題、データ通信には定額のパックを設けるといったもの。料金もスマートフォン向け基本プランが月額2700円、携帯電話向けが月額2200円、パケットの定額パック「データ定額パック」が月間2GBの月額3500円〜30GBの2万2500円までと、NTTドコモの新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」と同額。使いきらなかったデータ容量を翌月に繰り越せる「データくりこし」など、少し目新しい部分も追加しているが、大筋はドコモの新料金プランに追随したプランとなった(関連記事:ソフトバンク、国内通話定額、データ通信量が翌月に繰越可能な再改訂版「スマ放題」を7月1日に開始)。
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ロボットに対抗するわけではないだろうが、米グーグルのメガネ型ウエアラブル端末「Google Glass」に向けたアプリ開発の話題もあった。jig.jpはGoogle Glass向けのニュースアプリ「kawara」を開発した。ニュースの音声読み上げや、ニュースの流し読みなどが可能という。主な機能は、ニュースのタイトルおよび本文を音声で読み上げる機能、表示するニュースを8秒ごとに自動的に切り替えるニュース流し読み機能。いずれも装着型のデバイスの特徴を活かすものとして、操作なしでニュースを確認できる(関連記事:jig.jp、Google Glassでニュースをチェックするアプリ「kawara」を開発)。
技術関連のトピックでは、NTTがOpenFlow仕様に準拠したSDNソフトウエアスイッチ「Lagopus」を、2014年7月にオープンソースソフトウエア(OSS)として公開するというニュースがあった。SDN(Software Defined Networking)/NFV(Network Functions Virtualization)が注目される中で、OSSを活用したビジネスマーケットの拡大を推進しSDN/NFVに関わる技術発展とビジネスの活性化を目指す。NTTグループでは、SDNコントローラーの「Ryu SDN Framework」を、NTT研究所のソフトウェアイノベーションセンタ(SIC)が2012年にOSSとして公開している。Ryu SDN FrameworkとLagopusをともにOSSとして公開することで、SDNのエコシステムの拡大に役立てたい考えだ(関連記事:NTT、SDNソフトウエアスイッチ「Lagopus」をオープンソースとして公開へ)。
また、Beacon利用のソリューション構築を容易にするニュースがACCESSから発表された。同社のBeaconを利用した位置連動型コンテンツ配信ソリューション「ACCESS Beacon Framework」(略称、ABF)の機能を強化し、Android OSに対応したバージョンを提供開始するというもの。ABFは2014年2月にiBeaconに対応したiOS対応版の提供を始めていたが、今回はAndroid OS対応の機能を追加した。これにより、iPhoneなどのiOS端末だけでなく、Androidスマートフォンも含めたO2Oサービスやプロモーションの展開が容易になる。製品の提供に先立ち、6月16日に「評価キット」を提供する(関連記事:ACCESS、Androidに対応したBeacon利用の位置連動型コンテンツ配信ソリューション)。
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キャリアのニュースをチェックしておこう。まず6月1日に、イー・アクセスとウィルコムが合併を完了した。新会社はイー・アクセスの無線事業と固定通信事業、ウィルコムのPHS事業を引き続き発展させ、スマートフォン分野により注力していくという。ヤフーによる新会社の買収といった話題も振り撒いたが、新会社は今後「ワイモバイル」と名称を変更し、ヤフーとの協業で「Y!mobile」ブランドを展開する(報道発表資料:合併完了に関するお知らせ)。
ソフトバンクモバイルは、会員制のオンラインモール「得するモール」を6月30日に提供開始すると発表した。得するモールの最大の特徴は、利用に応じて携帯電話利用料金の支払いに使える金額が貯まることである。同モールでのネットショッピングや、アプリのインストールなどのサービスを利用すると、利用に応じて「値引額」が貯まる。「My SoftBank」で手続きすることで、値引額が携帯電話利用料金から割り引かれる(関連記事:ソフトバンク、ショッピングで携帯料金が安くなる「得するモール」を6月30日オープン)。
au WALLETの発表で携帯電話利用料金に変換できるポイントとリアルの購買とを一歩先に結びつけたKDDIは、ハンドメイドマーケットプレイス「Creema」(クリーマ)を運営するクリーマと資本業務提携を開始したとアナウンスしている。グローバル・ブレインが運営する「KDDI Open Innovation Fund」を通じて1億円の資本提携を行ったもの。Creemaは、消費者とクリエイターがWeb上で直接オリジナル作品を売買できるソーシャルコマースサイト。KDDIは、「auスマートパス」などのauサービス内でCreemaの訴求を行うとともに、Creema上でauかんたん決済やau WALLETカード決済を導入することで、au WALLET経済圏や顧客接点の拡大を目指す(報道発表資料:ハンドメイドマーケットプレイスCreema (クリーマ) を運営するクリーマとKDDI 資本業務提携を開始)。
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5月28日〜30日に開催された「ワイヤレスジャパン2014」「ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2014」では、今後のワイヤレス通信を支える技術が数多く出展、披露された。NTTドコモのブースでは、2020年の実用化を目指す5G(第5世代)の移動体通信向けの技術コンセプトを展示、KDDIブースでは次世代LTE基地局向けのトラフィック圧縮技術や今後3.5GHz帯の利用への取り組みなどが紹介された(関連記事:5G通信、3.5GHz、次世代LTEへの取り組みなど、将来をにらんだ技術が並ぶ──ワイヤレスジャパン2014)。
例年にも増して機器同士の通信の「M2M」(Machine to Machine)やモノのインターネットの「IoT」(Internet of Things)の展示が多く見られた。M2Mソリューションを提供するベンダーの取り組みや、M2Mが普及した際のネットワークのあり方を研究する技術展示まで、ソリューション側とソリューションを支えるネットワーク側の両面からの展示があった。会場からはM2MやIoTが地に足が着いた存在になりつつある様子が見えてきた(関連記事:M2Mの普及、IoT時代の到来を展示から実感──ワイヤレスジャパン2014)。
また、非接触の電力供給や通信のソリューションについての展示も数多くあった。スマートフォンの「おくだけ充電」など、非接触のソリューションは一部で実用化されているが、一層の広がりを感じさせる展示や講演があった(関連記事:電力供給や高速通信もケーブルレスで、非接触のソリューションの広がり──ワイヤレスジャパン2014)。
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