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[2014年第24週]「ポータブルSIM」開発、LINEとセールスフォースの協業、「Pepper」欲しい人は?

2014.06.17

Updated by Naohisa Iwamoto on June 17, 2014, 11:30 am JST

モバイル通信サービスのあり方を変える可能性がある「機器」が開発された。それはNTTドコモが開発した「ポータブルSIM」。ポータブルSIMでタッチした端末が、自分の通信契約で使えるようになる。複数の機器を1つの契約で自在に利用できるようになる可能性が出てきた。このほか、LINEとセールスフォースの協業など、ビジネスでのモバイル活用のソリューションがさらに広がるニュース、先週に続いてソフトバンクとロボットの話題もあった。

かざして回線認証がOK、ケータイでも「パック」

201406171130-1.jpg最初にNTTドコモが開発した、小型認証デバイス「ポータブルSIM」のニュースから。SIMカードが入っていないスマートフォンやタブレットなどの端末にポータブルSIMかざすことで、回線認証が完了して通話やデータ通信が可能になる。NTTドコモは、世界で同種の機能を持つ装置の開発は、世界で初めてと言う。ポータブルSIMは、SIMカードを内蔵し、BluetoothとNFCによる近距離無線通信機能を備える装置。ポータブルSIMをスマートフォンなどの端末にかざすことで、ネットワーク接続が可能になる。利用シーンとしては、回線認証としての利用と、ID認証としての利用が考えられている(関連記事:ドコモ、端末にかざして回線認証できる「ポータブルSIM」を開発)。

キャリアの話題を続ける。KDDIは、auケータイに向けたパックサービスの「セレクトパック」を6月19日に開始する。コンテンツサービス、クーポンの提供、携帯電話の修理代金サービスを含み、月額300円で利用できる。スマートフォン向けには「auスマートパス」でアプリ使い放題やクーポン提供といったお得感の高いサービスを提供してきたが、根強い利用者がいるフィーチャーフォン向けにもパックサービスの提供を広げた形だ(関連記事:KDDI、auケータイ向けにパックサービス、有料コンテンツ利用から修理代金サポートまで)。

MVNOのニュース。ハイホーが運営するインターネットサービスプロバイダー hi-ho(ハイホー)は、Androidタブレット「ASUS Fonepad 7 LTE」とSIMカードのセットコース「hi-ho LTE typeD ミニマムスタート with Fonepad 7 【LTE】」を2014年7月1日に提供する。7インチディスプレイを搭載したAndroid 4.3タブレットで、LTEも含めた通信がSIMロックフリーで利用できる。端末料金を含む月額利用料金は当初2年間で、データ通信専用SIMの場合で2280円、音声通話対応SIMの場合で3280円となる(報道発表資料:hi-ho、LTE通信・音声通話対応SIMフリーのAndroidタブレット「ASUS Fonepad 7 LTE」と「hi-ho LTE typeD」のセットコースを7月1日より提供開始)。

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LINEとセールスフォース、NTTデータMSEとSAPなどビジネスソリューション

ビジネス関連のニュースを3本紹介する。

まずLINE関連の話題。LINEは、大手顧客管理(CRM)ソフトウエアベンダーの米セールスフォース・ドットコムとパートナーシップを締結したことを発表した。企業がLINEの特定ユーザーに最適化したメッセージ送信や双方向コミュニケーションができる「LINE ビジネスコネクト」と、セールスフォース・ドットコムのCRMサービス「Salesforce ExactTarget Marketing Cloud」を連携させた機能を提供する。企業は「Salesforce ExactTarget Marketing Cloud」で管理および最適化したユーザーに対して、適したタイミングでLINEへのメッセージ配信ができるようになる。両者の連携サービスはまず日本から提供し、今後は世界の国・地域での展開も視野に入れている(報道発表資料:世界シェアトップCRMソフトウェアベンダー「セールスフォース・ドットコム」とパートナーシップを締結)。

次に、NTTデータMSEとSAPジャパンの協業について。両社はSAPのモバイルアプリケーション開発基盤「SAP Mobile Platform」に関するOEMライセンスのグローバル契約を締結したと発表した。この協業に基づきNTTデータMSEは、顧客ごとのビジネス要件に合致したモバイルアプリケーションを同プラットフォーム上で開発するサービス「BizMONOLIS」の提供を開始する。スマートフォンやタブレットを使ったリモートアクセス環境を構築するだけでなく、NTTデータMSEの技術やノウハウを活用し、屋内位置測位技術を使った社内業務の効率化、音声・画像認識や近距離無線通信技術を活用したウエアラブルデバイスなどとの連携、ソーシャルメディアを活用したビッグデータ分析技術などの提案を行う(関連記事:NTTデータMSE、SAPのプラットフォーム上でモバイルアプリを開発する「BizMONOLIS」を提供)。

ACCESS Beacon Framework (ABF)
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最後にBeacon関連のトピック。ACCESSは、Beaconを使った位置連動型コンテンツ配信ソリューション「ACCESS Beacon Framework」(ABF)のBeaconに3種類のラインアップを追加した。温湿度センサー、加速度センサーを搭載した2種類は、Beaconが設置された場所・物の温湿度や機械の稼働状況などのデータを、Bluetooth Low Energy(BLE)を介してPCやスマートデバイスに転送し、クラウド経由のM2Mソリューションを実現できる。単三電池を利用できるBeaconは、電池の耐用年数が約1年半から3年半と既存のボタン電池型Beaconのより大幅に伸びることで用途が広がる。ACCESSは、新しい3種類のBeaconに対応した「ABF」を、7月上旬に提供を始める(関連記事:ACCESSの位置連動型コンテンツ配信ソリューション 「ACCESS Beacon Framework」に、 温湿度センサー、加速度センサー、単三電池型と、3種類のBeaconが追加)。

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Wi-Fiサービスの多言語対応、WiMAX 2+対応の新Wi-Fiルーター

Wi-Fi利用画面イメージ
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Wi-Fiに関連するニュースを3つまとめた。まず、Wi-Fiサービスの国際化対応の話題。NTTメディアサプライが運営する店舗などに向けたWi-Fiサービス「DoSPOT」で、多国語化対応が進んだというニュースがあった。従来の日本語、英語に加え、新たに中国語(簡体字、繁体字)、韓国語、タイ語に対応。アジ化からの観光客の増加に対応できるように、Wi-Fiサービスの表示画面の国際化を進める(報道発表資料:店舗向けWi-Fiサービス「DoSPOT」 の多国語化対応について)。

次にWi-Fiルーターの新製品。UQコミュニケーションズは、NECアクセステクニカ製のモバイルルーター「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ NAD11」を6月20日から順次発売する。WiMAX 2+に対応した2製品目のモバイルルーターで、従来型のWiMAXが繋がりやすい「WiMAXハイパワー」にも対応する。休止状態からWi-Fiの利用開始までが約8秒と短い「クイック起動」機能を備える。スマートフォンから専用アプリの操作で、バッグなどにモバイルルーターを入れたままWi-Fiの利用開始ができる「リモート起動」も備えた。付属の専用クレードルを利用することで、充電しながらホームルーターとしての利用も可能。クレードルには有線LANポートも用意する(関連記事:UQ、WiMAX 2+とWiMAXハイパワーに対応した「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ NAD11」を発売)。

また、UQコミュニケーションズは、WiMAX 2+を契約するユーザー向けの公衆無線LANサービス「UQ Wi-Fi プレミアム」の提供を7月25日に始めるとアナウンスしている。UQ Wi-Fiプレミアムでは、UQ Wi-Fiエリアに加え、ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2)が提供する国内の公衆無線LANエリアを利用できるようになる。サービス開始と同時に、専用接続アプリ「UQ Wi-Fiコネクト」も新版を提供、Wi2エリアでのログインにも対応する(報道発表資料:公衆無線LANサービス「UQ Wi-Fi プレミアム」の提供開始について)。

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「Pepperくん」購入意向は約15%、ソフトバンクグループでロボットOSも

6月5日に衝撃的な登場をしたソフトバンクモバイルのロボット「Pepper」。Pepperについて、一般の人がどう感じているかの調査結果がMMD研究所から発表されている。20歳以上の男女(有効回答442)に尋ねたところ、「Pepper」に「興味がある」が17.4%、「やや興味がある」が34.4%で、合計で過半数の51.8%の人が興味を持っていることがわかった。また、「Pepper」の購入意向は14.9%だった。Pepperに興味があると回答した人に、ロボットに対して求めることを尋ねたところ、最も多かった回答は「防犯・警備」で54.1%、次に「癒し」が49.1%、「話し相手(友達)」が39.2%だった。将来、日本でPepperのようなロボットが普及するかを尋ねたところ、「普及すると思う」が5.2%、「まぁまぁ普及すると思う」が20.8%で、普及に前向きな考えを持つ人はおよそ回答者の4分の1だった(報道発表資料:)。

ASRA C1コンセプトイメージ図
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そうした中、ソフトバンクとロボットの関係は一層深まっていきそうだ。ソフトバンクグループのアスラテックは、さまざまなロボットを動かせる汎用性の高いロボット制御ソフトウエア「V-Sido OS」(ブシドー・オーエス)の提供とロボット開発支援を開始し、ロボット・ソフトウエア事業に本格的に参入する。V-Sido OSの特徴は、汎用性が高く、大きさや形状、用途を問わず、多様なロボットを制御できることで、ロボットの開発を目指す企業などは短期間で低いコストでの開発が可能になるという(報道発表資料:ロボット制御ソフトウエア「V-Sido OS」で、 ロボット・ソフトウエア事業へ本格参入)。

昨年の第24週のできごと

・2013年1Qの携帯出荷は前年比マイナス、スマホは微増
・Eye-Fiの新モデル、NFCタッチのルーター、Surface RT値下げ
・KDDIがトラブルの原因・対策を公表、日本通信がルーターを自主的に出荷停止

[2013年第24週]2013年1Qのスマホ出荷は前年比微増、スマホに飛ばすEye-FiやNFCで設定するルーター登場

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。