イギリスではインドの携帯メーカーであるKarbonn Mobiles が発売しているA50Sが£20(約4,420円)で購入できることが話題になっています。3.5インチのタッチスクリーン、OSはAndroid 2.3、 Wifi、Simカードスロット、デュアルコア1.2Ghz、256MB RAM、512MB、3メガピクセルのカメラというスペックのこの機種、しかしながらイギリスの店舗では販売されていません。Karbonn社に一旦インドの住所に送ってもらい、転送サービスを使ってイギリスに輸入する必要があります。送料は£20(約4,420円)程度の様ですが、送料を支払っても合計£40(約8,840円)という価格は、同スペックの機種と比較して破格の値段です。
イギリスでは昨年から激安スマホが話題を集めています。まず昨年から特に話題になっているのが、HTCの元従業員が設立したフランスの携帯電話メーカーであるKazamです。同社のOzzyは£60(約10,200円)の破格値で販売され、大きな話題となりました。また現在も購入可能な上位機種であるKazam Trooper X3.5はAmazon UKで購入すると£74.52(約12,668円)というお得価格です。
キャリアも独自の激安スマホの販売を始めています。ローカルのキャリアであるEEがHuaweiに製造を委託しているKestrel は4G対応で5メガピクセルのカメラを搭載していますが、£99(約16,800円)とSamsung Galaxyの中位機種と同程度の値段です。
なおNokia Lumia 630 は£109.95(約18,691円)Samsung Galaxy Aceは£109.95(約18,691円)であり、Kestrel と同じ市場が対象であることがわかります。
Androidは欧州におけるスマートフォンOS市場のトップを独占しており、72.4% のシェアを獲得していますが、 iOSは17.5%、Windowsは8.4%にとどまっています。一方、欧州市場とはいっても大陸とイギリスでは若干事情は異なり、イギリスにおけるAndroidのシェアは58.2% 、iOS 30.2%、Windowsは9.5%です。欧州大陸に比べると、Androidのシェアが52%、 iOS が42 %、Windows が3%というアメリカ市場に若干近くなっています。
OS市場がアメリカに近いことからわかるように、イギリスではスマホがまだまだライフスタイルを象徴するガジェットとしての地位を絞めています。また、SIMフリーが当たり前ですが、キャリアと月極契約を結び、スマホを購入した方が得な場合が多いため、あえて月極契約を結ぶ消費者が少なくありません。消費者はデバイス価格の安い激安携帯を購入する動機が薄くなるわけです。欧州大陸の場合は、イギリスに比べて月極契約に機種代金が含まれる割合が低く、機種自体の価格が高いため、激安スマホを購入する動機付けが強くなるわけです。
イギリスでは低価格機種がSIMフリー市場で人気を獲得して行く傾向が強まるでしょうが、月極契約市場ではまだまだハイエンド機種の人気が衰えそうにありません。一方で、アップフロントコストが通信費用で吸収されない欧州大陸では、低価格機種の存在がハイエンド機種の市場を奪って行くでしょう。
IDCの予測によれば2014年以後はローエンド機種がスマホ市場を牽引し、市場全体が急速に失速していくと予測していますが、欧州市場でも傾向が出始めています。
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