WirelessWire News The Technology and Ecosystem of the IoT.

by Category

NTTが西武ドームで日本初となるモバイル向け実況解説付きマルチビュー映像配信を実施

2014.09.09

Updated by Yuko Nonoshita on 9月 9, 2014, 11:53 am JST

201409091200-1.jpg

NTTは9月8日、日本初となるスマートフォン向け実況解説付きマルチビュー映像配信「西武ドームにおけるスタジアム エンターテインメント サービス」を、9月14,15日に西武ドームで行なわれる西武ライオンズ 対 東北楽天の試合で実施すると発表した。

NTTでは2013年から西武ドームにて、無料Wi-Fi接続サービス"Lions Wi-Fi"を提供しており、そこから、選手情報やリアルタイム対戦データ、クイズ、選手がヒットを打つとクリアできるビンゴゲームなどのエンタテインメントコンテンツを提供していた。今回は、それらに加えて新たに映像を使ったマルチビュー配信を行う。

▼NTTが西武ドームで実施するマルチビュー映像配信は6つのアングルと専用の実況中継があるのが特長。
201409091200-2.jpg
201409091200-3.jpg
201409091200-4.jpg

観客がより簡単にサービスを楽しめるよう専用アプリは使わず、スマホやタブレットに最適化されたウェブサイトを構築。Lions Wi-Fiに接続すると表示されるトップ画面からマルチビュー映像メニューへ移動すると、LIVEとリプレイの2つの機能が利用できる。

▼マルチビュー映像配信のイメージ画面。アプリではなくモバイル向けに最適化されたウェブサイトを通じてアクセスするようにしている。
201409091200-5.jpg
201409091200-6.jpg

LIVEでは、一塁側、三塁側、バックネット裏の上段と下段、「パ・リーグTV」が提供するテレビ向け中継映像、そしてマルチビュー映像専用の実況・解説カメラの6つのアングルが用意されている。ユーザーは任意のアングルをタップして切り替えられ、それぞれの映像がどう見えるかについて、専用の実況解説でサポートする。解説者はライオンズのOBが担当し、プロの目線からマルチアングルに合わせた独自の解説を提供する。さらに、リプレイ映像メニューからは、各イニングを打席毎に映像を切り分けて、全てのアングルから見られるようにしている。ユーザーが見たい映像がすぐわかるよう、サムネイルには説明も付けられている。

接続できるのはドーム内のみで、配信にあたり、西武ドーム内には新たに高密度Wi-Fiアクセスポイントが約80カ所設置されている。カバーエリアを小さくすることで、数万人が密集する球場内でも、高品質で低遅延な映像が提供できる。視聴するデバイスと実際に球場にいることを考慮し、映像サイズはHD相当にしHLS形式を使用して、1アンテナあたり、約400人が安定して同時接続できるよう設定されている。一部センターでは配信制限しているエリアもあり、全体的なシステム運用については、利用状況を見ながら調整する予定だ。

▼2013年からのWi-Fiサービスに加え、マルチビュー映像用に全体で約80カ所に高密度Wi-Fi用アンテナが設置された。
201409091200-7.jpg
201409091200-8.jpg

同じような球場内でのWi-Fi接続サービスは他でも始まっており、東北楽天のホームグラウンドのコボスタ宮城でも、11ac規格で最大2万8千人以上がアクセスできる環境を提供し、同じく専用サイトを通じてパ・リーグTVのリアルタイム視聴サービスを行っている。また、夏の高校野球でも3アングルのマルチビュー映像が提供されていた。それらとの違いは、より多い数でのマルチアングルと専用の実況中継であるという。

▼国内外の球場でモバイル向けサービスがスタートしており、NTTでは映像を使った試合分析、チケットサービス、売店サービスという大きく3つのタイプがあると分析している。
201409091200-9.jpg

今回提供されるマルチアングル用の映像製作は、西武ライオンズのコンテンツを元にNTTぷららが行っており、スタジオコンテンツ制作費用はNTTが負担。「他スタジアムへの展開も含め、ICTを利用した新しいスポーツの楽しみ方を提案するためのテストケースであり、インフラ以外を含めたサービス構築のよい機会であると同時に、新しいサービス分野に向けた先行投資と位置づけている」という。

スタジアムでWi-Fiを利用したサービスとしては、国内では京セラドーム大阪が専用アプリとBeaconを使って自分の席に売り子を呼べるサービスの実証実験を行っている。アメリカでは、当日空いている座席をリアルタイムで販売するなどのサービスもあるようで、NTTもそれらについては技術的にはすでに可能であるという。

ただし、観客へのニーズがどれだけあるかは未知数であり、今回の2日間の実証実験として球場にモニターを招待し、ユーザビリティ調査を含めた利用状況についての詳細なデータを集める予定だ。その結果次第や周囲の動向も見ながら、来シーズン以降の運用サービス全体を構築していきたいとしていた。

【報道発表資料】
西武ドームにおけるスタジアム エンターテインメント サービスの拡充について

【参照情報】
埼玉西武ライオンズ オフィシャルサイト

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。