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[2014年第39週]KDDIがスマホ新作、iPhone 6はソフトバンクが高速、Beaconを安否確認に活用

2014.09.29

Updated by Naohisa Iwamoto on September 29, 2014, 16:00 pm JST

秋分の日の飛び石連休があった一週間だが、ニュースは豊富にあった。KDDIは「Xperia Z3」と「GALAXY Note Edge」など、スマートフォンの新製品を発表した。Androidスマートフォンのグローバルの最新作で、端末がiPhoneだけでないことを示した。一方、発売されたばかりのiPhone 6を使った速度調査も行われている。前年よりもネットワーク高速化が進んでいることがわかる結果だ。注目されたニュースとしては、Beaconを津波避難タワーに設置してスマートフォンで簡単に安否情報を送信できるようにする実験の話題があった。

XperiaとGALAXYの新作が日本上陸、データ容量増量の動き

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まずは新端末のお披露目のトピックから。KDDIは、スマートフォンの「Xperia Z3」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)と「GALAXY Note Edge」(サムスン電子製)と、タブレットの「GALAXY Tab S」(サムスン電子製)の計3機種の新製品を発表した。Xperia Z3は最大のISO感度が12800と、従来機のXperia ZL2の2倍の超高感度撮影が可能なカメラを採用した。GALAXY Note Edgeは、端末右側に向けて曲がったディスプレイを採用。「エッジスクリーン」と呼ぶ曲面部分をにはメインの画面と独立した表示が可能という新しいコンセプトのスマートフォンだ。GALAXY Tab S SCT21は、すでにサムスン電子がWi-Fi版を国内販売している薄型軽量タブレットのLTE対応版である(関連記事:KDDI、超高感度カメラ搭載「Xperia Z3」、右サイドに情報表示可能な「GALAXY Note Edge」を市場投入)。

データ容量の増量の動きが広がる。ハイホーは、同社が提供する「hi-ho LTE typeDシリーズ」のサービス内容の改定を行う。1つは高速通信可能なバンドルチャージの増量で、9月30日まで1GBだったコースでは2GBへ、同3GBだったコースでは7GBへといずれもデータ容量を増やす。追加チャージ料金も、100MBあたり350円の料金を、200円へと値下げし、格安SIMの使い勝手を高める。同様の施策は、ハイホーの親会社であるインターネットイニシアティブ(IIJ)が同じく10月1日に実施することをアナウンス済み(報道発表資料:hi-ho、iPhone 6 SIMロックフリー版の発売開始に合わせて、「hi-ho LTE typeDシリーズ」の高速通信可能なバンドルチャージを増量、あわせて追加チャージ料金を値下げ)。

大手キャリアはキャンペーンでデータ容量を増量。ソフトバンクモバイルは、9月30日までとしていた「スマホデータ増量キャンペーン」を11月30日まで延長する。このキャンペーンは、スマ放題の「データ定額パック・標準」(5GB)以上のパックに契約しているユーザーに対して、13カ月にわたり2GBのデータ容量をプレゼントするもの。対称となるのはiPhone 6、iPhone 6 Plus、iPhone 5s、iPhone 5c、iPhone 5、SoftBankスマートフォン、ディズニー・モバイル・オン・ソフトバンク(報道発表資料:「スマホデータ増量キャンペーン」受付期間を延長)。

シニア世代に向けた基本料金の割引キャンペーンも。ソフトバンクモバイルは、難しい操作をせずに使えるシニア向け携帯電話「あんしんファミリーケータイ 204HW」に向けた、「あんしんファミリーケータイ基本料無料プログラム」を10月1日に開始する。新規契約で購入する利用者の基本使用料を、2年間にわたり無料にする。3年目以降は月額562円(報道発表資料:基本使用料が2年間無料になる「あんしんファミリーケータイ基本料無料プログラム」開始)。

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1年前より高速化が進んだiPhone 6の速度調査、PHSもMNP

iPhone 6が発売されて10日ほどが経過し、その速度調査の結果もアナウンスされた。MMD研究所は、iPhone6/iPhone6 Plusを使用して、全国の主要都市(20都市・125カ所)で「2014年9月iPhone6 全国20都市125箇所通信速度調査」を実施し、その結果を発表した。全国主要都市での通信速度は、ソフトバンクモバイルが37.03Mbpsで最速、KDDIが35.3Mbps、NTTドコモが27.07Mbpsという結果だった。

iPhone 6 20都市125箇所通信スピード
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全体では、2013年9月のiPhone5cによる速度調査と比べて、平均速度が10Mbps以上向上した。また、ダウンロード速度が30Mbps以上の調査スポット数は、2013年9月の調査よりも30%以上アップした(報道発表資料:iPhone6全国主要都市通信速度、SoftBankが37.03Mbpsで最速、auが35.3Mbps、docomoが27.07Mbpsを記録)。

キャリア横断の話題としては、MNP(番号ポータビリティ)の話題もあった。NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー電話、ソフトバンクモバイル、ワイモバイルの各社は,携帯電話で提供しているMNPをPHSとの間でも10月1日に開始する。また同時に、携帯電話とPHSの間でショートメッセージサービス(SMS)のやり取りも可能になる。PHS、携帯電話の区別は、番号ではつかなくなることになる(関連記事:PHSと携帯電話の番号ポータビリティが10月1日に開始)。

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Beaconで安否確認をサポート、「KDDI∞Labo」 7期がスタート

そのほか、この週の注目したいトピックを紹介する。

Beaconを使って災害時の避難者の安否情報を確認できる仕組みの実証実験が、高知県南国市内の津波避難タワーで開始される。実証実験を行うのは、高知工業高等専門学校 電気情報工学科 今井研究室の研究グループ。アプリックスIPホールディングスの防水型Beacon「MyBeacon Pro 防水防塵型MB004 HDc」を利用して実施する。災害で避難した際に津波避難タワーに上ると、Beaconが避難者のタワー到着を検知し、自動的にアプリが起動して簡単に自治体や家族などに安否情報を送れる仕組みだ(関連記事:Beaconで津波避難時の安否確認、高知工業高専がアプリックスのBeaconを使って実証実験)。

バスとO2Oの組み合わせのトライアルも始まる。NTTドコモと沖縄県企画部交通政策課は、県内の国道58号を走行する路線バスにO2Oサービス「ショッぷらっと」を導入して「IC乗車券誕生&バスレーン延長記念「バス通キャンペーン」」を実施する。無料アプリをダウンロードしたスマートフォンを持ってバスに乗車するとスタンプやポイントが貯まる。バスを利用した通勤、通学を総称した「バス通」を促進する取り組みの1つとなる(関連記事:バスの利用でポイント蓄積、ドコモと沖縄県が「ショッぷらっと」の利用キャンペーン)。

グローバルに便利に。NTTドコモは、海外でもLTEによる高速パケット通信サービスを利用できる「LTE国際ローミングアウト」の対象国・地域を9月25日に台湾、イギリス、スペイン、カナリア諸島、スペイン領北アフリカへ拡大した。また、海外の携帯電話事業者との契約者が来日した際に、ドコモのLTE国際ローミングインのサービスを使える対象国・地域に、同日から香港、シンガポール、ドイツ、トルコ、ルーマニアを追加した。今回の施策で、LTE国際ローミングアウトは合計20の国・地域で、LTE国際ローミングインは合計27の国・地域でサービスを提供することになった(情報サイト:LTE国際ローミングサービスローミングパートナー)。

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未来のサービスを開拓。KDDIのインキュベーションプログラム「KDDI∞Labo」第7期参加チームに関する説明会が開催された。今期からは7月に発表された「パートナー連合プログラム」による支援も開始される。これまでは各チームに対してKDDI社員のメンターがサポートしていたが、今季はチームごとにメンタリング企業1社がサポートする。今回選ばれたのは、Dr.JOY(Dr.JOY株式会社)、ポッサムボッサム(株式会社meleap)、BooksOnDemand(BooksOnDemand)、Fem(株式会社Add Quality)、sakaseru(株式会社goal)--の5チーム(関連記事:パートナー連合プログラムも開始 KDDI ∞ Labo第7期5チームがお披露目)。

昨年の第39週のできごと

・パナのスマホ撤退、新ブラウザ技術、LINEで青少年保護
・iPhone 5cではソフトバンクが最速、iPhoneで電子マネーチャージ
・中部、関西でも地下鉄のエリア化が充実
・新ビジネス支援、防災対策、法人向けプランなどが発表

[2013年第39週]パナがスマホ開発休止、iPhoneでEdyチャージ、名阪で地下鉄エリア化進展

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。