どこの国でもお役所のインターネット施策はお世辞にも洗練されているとは言えないものが多いが、ユタ州の取り組みは進んでいるらしい。すでにアメリカのインターネット利用ではスマートフォンやタブレットが多数派になっているが、政府系サイトのほとんどはパソコン向けに作られている。
ユタ州は2009年、全米の州で初めてiPhone用アプリを作ったことで知られるそうだ。資格が必要なさまざまな職種について、ステータスを調べることができるアプリで、その後も列車の運行状況などを知らせるアプリや、市民の位置情報に応じた情報提供アプリ、モバイル・ペイメントのアプリなど、モバイル向けのアプリを次々に提供してきた。iPhoneの指紋認証を使ったサービスも開発しているという。
なぜユタ州がモバイル・フレンドリーなのかというと、平均年齢が低いためらしい。州政府とのやり取りがなかった若年層とは、新たな関係を構築しなければならない。その際に、パソコンを念頭に置いたウェブ中心の情報流通ではダメだというのがユタ州の考え方のようだ。実際、州のウェブサイトへの訪問数はモバイル政策の推進により増えている。また、州の予算が厳しい中、州の業務をICTに肩代わりさせていく必要もあるようだ。
もちろんそのためには新技術をキャッチアップし、開発会社を管理して、セキュリティ対策を万全にするなど、多くの課題があるが、それに見合う効果があると見られている。お役所は前例主義と言われるが、ユタ州の取り組みが他の州にとって、モバイル対応に関する試金石に使われることは間違いなさそうだ。
ちなみにユタ州は2年ごとに行われている「2014年・州政府デジタル化調査(Digital States Survey)」という民間調査で、ミシガン州、ミズーリ州と共にグレードAを獲得している。ミシガン州は2010年以来3回、ユタ州は2008年以来4回連続の受賞となっている。
【参照情報】
・Utah leads state governments in mobile-friendly strategy
・Utah Leading the Mobile-Friendly Government Movement
・The Apps That Connect Utah with Its On-The-Go Citizens
・Utah Receives "A" Grade in Government Technology Survey
おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)
登録はこちらNTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来」