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浜辺で三日間、お金を使わない日々を過ごす

2014.09.16

Updated by Ryo Shimizu on September 16, 2014, 06:46 am UTC

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 先週末は南房総で開催された「バーニングジャパン」というイベントに参加してきました。

 このイベントは、もともとネバダ州のブラックロックという砂漠で一週間過ごす「バーニングマン」というイベントの日本版を目指して開催されているものです。

 行くかどうかギリギリまで迷っていたのですが、本家バーニングマンほどの徹底さはないものの、日本でバーニングマンをやるとどうなるのか、ということを知りたくて様子を見に行ってみました。

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 会場はとても美しい、九月に入ったとは思えないほどに澄んだ海と砂浜です。
 なるほど、ブラックロックとは根本的に違いますが、こういう雰囲気もいいかもしれません。

 このイベント、なぜかIT関係の参加者が多く、どうもこういう界隈には特有の雰囲気があるのかもしれない、と思ったのでした。

 ひとつITとの共通点でいえば、貨幣とは情報であるということが挙げられると思います。
 情報であるからには、排除することが可能なはずです。

 というのも、情報の取り扱いそのものは物理的な法則に支配されないからです。

 ならば仮説として、貨幣という情報をいったん除外してみよう、という発想はIT的なのかもしれません。

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 会場には沢山のテーマキャンプが設置されています。

 テーマキャンプとは、テーマに沿ったものを展示、またはサービスを提供しているキャンプで、肩もみなどのマッサージや、バー、クラブ、ハーフパイプなんかもあります。テーマキャンプは大掛かりなものは事前に申請が必要ですが、小規模なものは掲示板にポストイットを貼付けて宣伝する場合もあります。

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 この「バーニングジャパン」ではお金のやりとりは一切禁止、しかも物々交換ですらありません。
 つまり全てのテーマキャンプは無料です。

 これってちょっと日本では珍しい形態のイベントかもしれません。

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 とはいえもう九月なので、日が落ちるのがとても早いです。
 日が落ちるとバーニングジャパンの象徴であるフェニックスに灯りがともります。

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 この辺はふつうのキャンプと同じ。
 夕飯の支度をします。

 今回の三日間でつくったものは、焼肉、焼き鳥、ローストビーフ、BBQスペアリブ、BBQプルドポーク、すね肉のビーフシチュー、カップラーメンなどでした。一日ぼーっとしてるので、手の込んだ料理を作るのも苦になりません。個人的にはクーラーボックスがちゃんと持ったところが良かったです。

 日が落ちると辛いのでローソクなどで光源を確保します。

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 夜になると、クラブの時間です。
 
 ズンドコズンドコいいながら、泡パーティや謎のウクレレ演奏など、様々な催し物が行われます。

 天体観測をしているキャンプもありました。

 南房総には初めて来たのですが、確かに夜はまわりに光源がなにもなくて天体観測にはうってつけの場所です。

 最終日にはフェニックスに火が灯されます。

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 幻想的で、感動的ですらあるクライマックスでした。

 チケットの申し込みページではさんざん「ギフテッドコミュニティに慣れよう」と書いてあったので、誰かが何かを求めにくるのかとおもってビクビクしていたのですが、そんなことはなく、プライバシーを適度に保ったまま、気が向いた時にテーマキャンプにでかけていって、踊ったり、音楽を楽しんだりといったことができる快適な場所でした。

 カップルよりは友達大勢で行ってワイワイやるほうが向いてるイベントかもしれません。
 家族連れもけっこういて、子供とベーゴマをして遊んだり、半裸のお父さんがギターを弾いて歌ったりする場面も見られました。

 実際、三日間でどの程度お金を使ったかというと、キャンプ用品はもともともっていたので無料として、食材が1万円、お酒が3千円くらいで、あとは燃料が9kgの木炭が1000円、着火剤が100円×3つで300円、これと別にバーニングジャパンの参加費が7000円くらいで、合計2万円ちょっとでした。

 ただ、食材は1万円はちょっと買い過ぎで、実際には「念のため」買っておいた缶詰などには全く手をつけなかったので、実質は半分くらいの値段で済みました。

 二泊三日はちょうどいいかなという気もしますが、飢餓状態になってどうしても隣の人と物々交換しないとダメなレベルまで追い込まれないのはちょっぴり寂しい気もします。

 ですが、手軽にそういう気分を楽しめる、という点ではとてもいいイベントなのではないかと思います。
 夜中に絶えずズンドコ音がする環境がダメな人は仕方がないですが、端っこの方にテントを張ればそこまで五月蝿くないです。

 本来は貨幣経済の否定、というか、貨幣経済からの一時的な避難を指向するイベントなわけですが、結局は外の部分でお金がかかってしまうという部分はどうにもなりません。それはバーニングマンも同様で、そこにたどり着くまでにお金が必要になるわけです。

 とはいえ三日ではなく一週間ともなると根本的に発想が変わる気がするのですが。

 そういう意味では、やはり本家バーニングマンにも参加してみたいなあ、という思いを強くするのでした。

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清水 亮(しみず・りょう)

新潟県長岡市生まれ。プログラマーとして世界を放浪した末、 '17年にソニーCSLとWiL LLC.とともにギリア株式会社を設立し、「ヒトとAIの共生環境」の構築に情熱を捧げる。 '17年より東京大学先端科学技術研究センター客員研究員を兼務。著書として「教養としてのプログラミング入門(中央公論社)」「よくわかる人工知能 (KADOKAWA)」「プログラミングバカ一代(晶文社)」など。

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