マレーシアで2014年上期(1月~6月)において販売されたタブレットの台数が、前年同期比18%増の62万5,000台だったことが、GfKの調査結果によって2014年8月に明らかになった。約2億100万ドル規模である。
出荷のうち81%が8-9インチのモデルだった。昨年同期には8-9インチモデルは59%だったから、大きく伸びた。またタブレット1台あたりの平均単価は昨年同期には410ドルから322ドルになった。なお、上期の中で一番売れたのが1月の114,000台である。
またマレーシアではLTEが拡大してきており、LTE対応のタブレットは98,000台出荷され、全体の約16%を占めている。ただし、LTE対応のタブレットをLTE網で利用しているとは限らない。マレーシアでは「バーガーキング」や空港などあらゆるところで、無料でWi-Fiが快適に利用できるため、多くの人がWi-Fiでタブレットを利用していることが多い。
マレーシアでは国内外の48ベンダーから179モデルのタブレットが出荷されている。最近では、手頃な価格で性能が良いことから中国Lenovoや台湾ASUSの端末の人気が高い。これら以外にも中国や周辺諸国からの中古タブレットも多く流通している。タブレット販売の53%がクアラルンプールを中心とする中心部である。クアラルンプールでは、ほとんどの人がスマートフォンを利用しており、そのような人がタブレットも購入している傾向が目立っている。
まだマレーシアでのタブレット販売競争は始まったばかりである。これからも多くのベンダーが安価で高機能なタブレットを投入してくるであろう。一方で地方や外国人労働者は未だにフィーチャーフォンを利用していたり、タブレットやスマートフォンを利用できない環境にいる人もまだ多い。タブレットの端末は年々安価になっているが、平均322ドルのタブレットは地方や外国人労働者にとっては、まだ「高嶺の花」である。更なる低価格化による普及の拡大が期待される。
【参考動画】マレーシアでのサムスンのGalaxy Tabの発表会
【参照情報】
・Malaysians prefer smaller tablets
・GfK: 625,000 Tablets Sold In Malaysia In 1H
おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)
登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。