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T-Mobile USの「Un-Carrier7.0」はWi-Fi callingとWi-Fi texting

2014.09.24

Updated by Hitoshi Sato on September 24, 2014, 17:41 pm UTC

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ソフトバンクの子会社でアメリカのSprintが買収しようとしていたが、買収できなかったアメリカ4位の通信事業者T-Mobile USは「Un-Carrier(アンキャリア)」戦略という、新たな顧客向けおよびT-Mobile USユーザー向けに様々な施策を提供してきた。2013年3月に最初の「Un-Carrier」を提供してから、2014年6月には「Un-Carrier 6.0」まで提供してきた。 (参考:進化するT-Mobile USの「Un-carrier 戦略」)。

そして2014年9月10日、「Un-Carrier 7.0」の発表を行った。「Un-Carrier 7.0」ではWi-Fi callingとWi-Fi textingが無料で提供される。これはT-Mobile USの通信ネットワーク(3GやLTE)でなくとも、Wi-Fi(無線LAN)に接続されたところでは、無料で音声通話(Calling)およびショートメッセージ(Texting)が利用できる。但し、毎月50~80ドルのプランへの加入は必要で、そのプランに入っている人がWi-Fi callingとWi-Fi textingを無料で利用できる。Wi-FiはT-Mobile USの提供するWi-Fiでなくとも良い。専用のアプリなどをインストールする必要はない。また、別の電話番号も不要である。T-Mobile USが提供するスマートフォンで利用可能となり、9月17日から利用開始した。

今回の「Un-Carrier 7.0」提供にあたって、T-Mobile USのCEO、John Legere氏は「これは競争の在り方を変える。ネットワークのアンテナが何百本も1日で構築されたようなものだ」("Wi-Fi Un-leashed is a game changer. This is like adding millions of towers to our network in a single day")とコメントした。

同社によるとアメリカでの携帯電話利用者のうち57%が自宅で、通話中に切れてしまう経験があるとのこと。今回のT-Mobile USの「Un-Carrier 7.0」では、Wi-Fiに接続されているところであれば、スマートフォンを利用しているT-Mobile USユーザーであれば、無料で音声通話、メッセージ送信ができる。また、T-Mobile USではASUS製のWi-Fiルーター(Personal CellSpot)を25ドルのデポジット(返却時に戻ってくる)で貸し出しを行っている。さらにアメリカ国内のフライトで提供されているWi-Fiサービス「Gogo」でも利用が可能である。

たしかにWi-Fiに接続されているところでも、音声通話とショートメッセージが利用できるようになることで、いっきにカバレッジは拡大したといえるかもしれない。しかし、裏を返すと今までの通信ネットワークではカバレッジが弱すぎたのではないだろうか。

いずれにせよ、これからは特定プランに加入していれば、Wi-Fi上でも音声通話、ショートメッセージが利用できるようになったことは、CEOのJohn Legere氏が述べるように「競争のゲームチェンジャー」ではあるかもしれない。一方で、アメリカにおいてもWi-Fiでもネットワーク(3GやLTE)でもインターネットに接続された環境ではWhatsAppやViber、Facebookメッセンジャーなどのアプリでの通話、テキスト送受信を行う人が多くなってきている。果たして、T-Mobile USが提供する「Un-Carrier 7.0」のWi-Fi callingとWi-Fi textingの施策がどこまでユーザーに響くだろうか。

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【参考動画】
▼Uncarrier 7.0広告動画

▼Uncarrier 7.0説明会動画

【参照情報】
T-Mobile Launches Un-carrier 7.0 Un-leashes Wi-Fi Worldwide
T-Mobile Wi-Fi Calling

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。