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「JKT48計算機アプリ」とインドネシアの若者スマホ事情

2014.12.16

Updated by Hitoshi Sato on December 16, 2014, 18:50 pm JST

▼2014年11月30日にはJKT48のFacebookページの「いいね」が333万3,333人を超えた。(©JKT48 Project)
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日本のアイドルグループAKB48の海外姉妹グループでインドネシアのジャカルタを拠点に大活躍しているJKT48の計算機アプリが2014年11月末にリリースされた。2014年11月28日からGoogle Playで、12月10日からiTunes Storeでダウンロードが可能となった。JKT48のスマートフォン向け公式アプリとしては「JKT48 カートバトル」、「JKT48 目覚まし時計」に次ぐ3弾目となる。

無料ダウンロードの場合、メンバー3人(メロディー、キナル、ナオミ)の声がランダムに出るが、99円で1人のメンバーを指定することができる。3人の声を全て「指定」で聞きたい場合は、99円×3回になっている。

現地のテレビCMや音楽番組に多数出演しているJKT48はインドネシアで若者を中心に大人気である。2014年には3周年を迎えたJKT48は、インドネシアの「国民的アイドル」にまで成長したと言っても過言ではないだろう。

そのインドネシアでは、スマートフォンの普及も著しい。ジャカルタのような大都市ではほとんどの若者がスマートフォンを利用している。

インドネシアの若者らのスマホ利用

インドネシアでは中古のスマートフォンも多いが、最近では中国製やMitoやPixcom、Polytronといった地場メーカーのスマートフォンも台頭している。安価でデザイン性の良いスマートフォンを若者でも簡単に入手できるようになったことから、スマートフォンが急速に普及している。

スマートフォンの普及にともなって、アプリのダウンロードも増加している。特に「WhatsApp」や「LINE」のようなメッセンジャーアプリが大人気である。利用者からしてみれば、どのメッセンジャーアプリでも基本的には同じであることから、1人で複数のメッセンジャーアプリをダウンロードして、相手によって使い分けている。日本ではメッセンジャーアプリはほとんどが「LINE」であるが、現在、インドネシアでは多くのメッセンジャーアプリが顧客獲得競争に躍起になっている。JKT48もインドネシアで「カカオトーク」のCMに出演していた。

FacebookやTwitter、Instagramのようなソーシャルメディアも大人気である。2014年11月30日にはJKT48のFacebookページの「いいね」が333万3,333人を超えた。インドネシアでは若者のほとんどがソーシャルメディアを利用しており、様々な情報を発信したり、受信している。情報のほとんどはソーシャルメディアで友人や企業、有名人らの発信を見たり、友人の「いいね」した情報、ツイートしているニュースなどを読むことによって得ている。

JKT48のメンバーの多くもTwitterで情報発信を行っている。例えば、日本のAKB48からJKT48に移籍した仲川さんは、2014年12月現在でフォロワーが88万人を超えており、インドネシア語と日本語で情報発信を行っている。

また、インドネシアではWi-Fiの普及も著しい。カフェやコンビニなどでは無料または安価にWi-Fi接続が可能であることから、そのような場所に若者らが集まり、スマートフォンでインターネットにアクセスをしている。動画などのダウンロードや閲覧は無料Wi-Fiスポットに行ってからやることが多い。

▼インドネシア大学でWi-Fiに接続してスマートフォンからインターネットにアクセスしている学生たち(暑い国なので、涼しい床に寝そべっている)
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▼バス乗り場ではほとんど全員がスマートフォンをいじっている。この風景は日本とほぼ同じである。
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▼ジャカルタのバーガーキング。無料でWi-Fiが利用可能であることから、それを目的に行く若者が多い。
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このようにインドネシアではスマートフォンが拡大してきており、無料や安価によるWi-Fi接続が町中で可能になってきた。現在でも既に多くのアプリが存在し、それらは差別化やアピールが難しくなってきている。そのように様々なアプリが乱立しているインドネシアのような地域で重要になるのがコンテンツである。つまり、ただの「計算機アプリ」や「目覚ましアプリ」では、誰もダウンロードしてくれない。若者に大人気の「JKT48の計算機アプリ」であることが重要なアピールポイントであり、差別化要素なのだ。

JKT48の公式アプリはこれで3作目だが、ファンが作成したと思われる非公式アプリは大量にある。Google Playで「JKT48」で検索すると大量のアプリが出てくる。それだけ現地で人気が高く、コンテンツとして価値が高いことの証であろう。これからもインドネシアでのJKT48の活躍に期待したい。

【参考動画】
JKT48が出演するカカオトークのCM(2014年4月)

【参照情報】
JKT48 Facebookページ
JKT48 Calculator
JKT48計算機アプリのご案内
JKT48 カートバトル
JKT48 目覚まし時計

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。