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[2014年第43週]日本通信が10GBの低料金SIM、ビッグローブも容量増量、デザインされた地図をGPS対応に

2014.10.27

Updated by Naohisa Iwamoto on October 27, 2014, 12:00 pm JST

新型のiPadが発売され、データ通信サービスにもiPadを意識したバリエーションが増えた。格安SIMで10GBといった大容量のプランがリーズナブルな料金で提供されることで、SIMロックフリー端末とのセットの利用がしやすくなる。また、遊園地や商店街などのデザインされた地図をWebマップにできるサービスや、FeliCaのタッチで情報を取得できる「トルカ」にBluetoothやICタグの機能を追加するといった法人向けの話題もあった。

大容量格安SIMなどiPad需要をにらんだデータ通信サービスが登場

Platinum Data SIM(プラチナ データ シム) | b-mobile
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まず、データ通信サービスの動向から。日本通信は、月間10GBの大容量データLTE通信を月額2980円(税抜)で使えるSIM「Platinum Data SIM」を発売する。10GBの大容量があるため、ほぼ使い放題の感覚でiPadを活用できるという。音声通話には対応しないが、nanoSIM対応のiPhone 6 Plusなどでも利用は可能。また、3日間で1GBまでといった制限や、最低利用期間、解約金などの縛りもないため、低コストで自由な使い方ができるとしている。発売は10月30日(報道発表資料:日本通信、iPadユーザー向け大容量データSIM、新発売)。

ビッグローブは、同社が提供するSIMサービス「BIGLOBE LTE・3G」の月間通信容量を11月1日以降に増量して提供する。月額900円(税別、以下同)の「エントリープラン」は現行の1GBが2GBに、月額1505円の「ライトSプラン」は現行の2GBが5GBに、月額2838円の「ライトMプラン」は現行の3GBが8GBに、そして月額3790円の「スタンダードプラン」は現行の7GBが10GBへとそれぞれ増量される。格安SIMではインターネットイニシアティブ(IIJ)やハイホー、NTTコミュニケーションズの「OCN モバイル ONE」などが通信容量の増加を実施している。ビッグローブの今回の改定では、月額1505円のプランが2GBから5GBへと大幅に増量されており、他社の同水準の料金のプランが4GBへの増量であるのに対してお得度合いが高い(報道発表資料:「BIGLOBE LTE・3G」の月間通信容量を拡大 月額900円で2GB、1,505円で5GBの高速通信が可能に)。

一方でキャリアの施策も発表されている。KDDIは4G LTEタブレットや4G LTE対応パソコンに向けた新料金サービス「LTEデータプリペイド」を11月4日に提供開始する。月額基本料が不要のプリペイド方式のサービスで、購入の単位は1GBごととなり、料金は1500円 (税抜)。データチャージサイトで購入でき、購入時点から31日間の利用が可能だ。また、2014年12月から開始予定の「データシェア」にも対応する。このため、手持ちのスマートフォンとデータ容量をシェアすることで、低いランニングコストでタブレットのモバイルデータ通信を活用できる(報道発表資料:プリペイド方式で手軽にタブレットが利用できる新料金サービス「LTEデータプリペイド」の提供開始について)。

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デザイン地図の活用、Bluetoothで情報配信など、法人向けソリューション

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次に、法人向けのソリューションの話題を紹介する。インクリメントPは、紙の地図で利用しているデザインをそのまま生かして、Webサービスなどで利用できる地図に仕立てるサービス「MapFanイラストマップサービス」の提供を開始した。遊園地や観光地などで配布している紙の地図をオリジナルのデザインの世界観を壊すことなくWeb地図に転用でき、スマートフォン上でGPSによる追従も可能にする。観光地や遊園地のほか、野外フェスティバルやキャンプ場、アウトレットモール、大規模商店街などでの利用を想定している(関連記事:インクリメントP、紙地図のデザインをGPS対応のWebにできる「MapFanイラストマップサービス」)。

NTTドコモは、クーポンや情報を読み取り機にタッチするだけで取得できる「トルカ」に、Bluetoothによる取得機能を追加する。Bluetooth機器を設置した店舗の前を通り過ぎようとする人や店舗内を回遊する人に向けて、自動的にクーポンや情報を配信できるようになった。店舗への誘導手段などとしての利用が考えられる。また今回、トルカにはBluetooth機能のほかに、ICタグからの取得機能を追加した(関連記事:ドコモの「トルカ」がBluetoothに対応、クーポンや情報をワイヤレスで取得)。

法人需要に向けたタブレット端末の発売のニュースもあった。NEが発売したAndroidタブレット「LaVie Tab S ビジネス向けモデル」がそれ。暗号化機能などのセキュリティー機能を標準で搭載し、ビジネス用途での導入を促す。LaVie Tab Sは、8インチ(1920×1200ドット)のIPS液晶を搭載したAndroidタブレット。製品は「LaVie Tab S ビジネス向けモデル(無線LAN)」と、SIMロックフリーで使える「LaVie Tab S ビジネス向けモデル(LTE)」の2モデルを用意する(関連記事:NEC、セキュリティー機能を備えた法人向け「LaVie Tab S」発売、SIMフリーモデルも)。

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高いiPhoneのリピート意向、駅ではソフトバンクの下りが高速

調査、統計のトピックを2つ紹介する。J.D.パワー アジア・パシフィックは「2014年日本携帯電話サービス顧客満足度調査<利用実態編>」の結果を公表した。それによると、スマートフォン市場では、アップルユーザーのリピート意向が7割超と他社よりも格段に高く、今後もアップルの高シェアが続くと予想されるという。一方、現在フィーチャフォンを利用しているユーザーのうち、次回の買い替えでスマートフォンを選ぶとの回答は40%にとどまり、今後のスマートフォンシフトが容易には進まないことが予想される(関連記事:次回購入時のリピート意向はアップルユーザーが73%とダントツ--J.D.パワー)。

もう1つは速度調査のトピック。日経BPコンサルティングは、全国の乗降者数上位500駅を対象にした「全国主要500駅 LTE/4G通信速度調査」を実施し、その結果をまとめた。利用した端末は、9月に発売されたばかりの各キャリアの「iPhone 6」と、Android端末として「GALAXY S5 SC-04F」(NTTドコモ)、「Xperia ZL2 SOL25」(KDDI)、「AQUOS CRYSTAL」(ソフトバンクモバイル)を加えた計6機種。調査の結果、iPhone 6、Android端末とも、データ通信のダウンロード速度はソフトバンクモバイルが1位で、アップロード速度はiPhone 6、Android端末ともにNTTドコモが1位だった(報道発表資料:iPhone 6/Androidともダウンロード速度No.1はソフトバンクモバイル)。

CATV、ゲーム、セキュリティー、KDDIが施策を続々

KDDIからエンドユーザーにかかわる発表が矢継ぎ早になされている。1つは放送通信連携アプリの提供の話題。AndroidをOSに採用し、ケーブルテレビ(CATV)事業者向けに開発したセットトップボックス「Smart TV Box」で、放送通信連携アプリの「テレWeb」の提供を10月27日から順次開始する。テレビ番組を視聴しながら、関連するWebサイトを同時に閲覧できるサービス。スポーツ番組を見ながら競技ルールを確認したり、TVショッピングを視聴しながら商品の詳細情報をチェックしたりといったことが可能になる。当初は「QVCショッピング」「ゴルフネットワーク」「J SPORTS」「ムービープラス」「チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた」「女性チャンネル♪LaLa TV」「キッズステーション」「釣りビジョン」「旅チャンネル」でテレWebを提供する(報道発表資料:「Smart TV Box」において、放送通信連携アプリ「テレWeb」を提供開始)。

また、アプリ取り放題などのサービスを提供する有料会員制サービス「auスマートパス」に、ゲームタイトルをそろえた「auゲーム」を追加した。auスマートパス会員限定の取り放題ゲーム約500アプリを用意するほか、スマートフォンゲームとして人気の高いアイテム課金型ゲームを提供する。アイテム課金型ゲームのラインアップ第1弾として「モンスターストライク」や「魔法使いと黒猫のウィズ」など17タイトルをそろえた。auゲームが提供するアイテム課金型ゲームでアイテムを購入した場合は、購入金額の10%に相当する「WALLETポイント」をau WALLETに還元する(報道発表資料:「auスマートパス」に人気のスマホゲームがおトクに遊べる「auゲーム」が登場!)。

セキュリティー対策への取り組みのトピックもあった。KDDIとKDDI研究所は、スマートフォンのアプリによる位置情報や電話帳などの利用者情報へのアクセスを制御できる「プライバシーデータ設定」機能を提供する。2014年10月以降に発売するauのAndroidスマートフォンが対象になる。スマートフォンのアプリの中には、利用者が意図しないにもかかわらず位置情報や電話帳情報といった利用者情報を外部に送信する機能を備えるものがある。「プライバシーデータ設定」機能では、アプリが利用者情報にアクセスしようとするような場合に警告するなどして、情報の流出を防ぐ(関連記事:アプリによる位置情報や電話帳へのアクセスを防止、KDDIがAndroidスマホに対策機能を搭載)。

昨年の第43週のできごと

・ドコモの決算発表、クッキングのABCと資本提携
・iPad Airなど新iPad発表、KDDIとソフトバンクが発売へ
・スマホECの主役は女性? KDDIが「スマパス」に新サービス

[2013年第43週]ドコモは上期決算は減収減益、薄く軽い新iPad発表で購入意向は?

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。