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「子供の命か、スマホ・ユーザーのプライバシーか」:米司法長官、アップルやグーグルの動きを憂慮

2014.10.01

Updated by WirelessWire News編集部 on October 1, 2014, 13:23 pm JST

モバイル端末内のユーザーデータ暗号化を進めるアップル(Apple)やグーグル(Google)の動きに対し、米の警察・司法関係者の間で懸念や批判の声が高まっているようだ。

米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コメイ(James Comey)長官が、アップルやグーグルの打ちだしたユーザープライバシー保護策に対し、誘拐やテロ行為など人命に関わるケースで捜査の妨げになるおそれがあるとして懸念を表明していたことは先に報じた通りだが、Reutersなどによると、この件で米国時間30日にはエリック・ホルダー(Eric Holder)司法長官も「(ユーザーの)プライバシーを適切に保護しつつ、警察当局が任務を遂行できるようにすることは十分に可能」などと両社の動きを憂慮する発言をしたという。

同長官の発言は、ワシントンDCで開かれた、オンラインでの幼児虐待の防止などを話し合う会合(「Global Alliance Against Child Sexual Abuse Online」)のなかでのもの。同長官は「(児童の)誘拐犯や性的虐待犯などを捕まえる際、捜査当局が法廷の認めた手続きを経て合法的に情報を取得できるようにしておく必要がある。そのためにテクノロジー系企業が積極的に協力してくれることを希望する」などと述べ、さらに「子供が危険にさらされている場合には、捜査当局が子供の救出・保護をすみやかに行い、虐待を食い止められるよう、あらゆる合法的な手段をとれるようにしておくことが必要だが、一部の企業でそれを妨げるような動きがあるのが心配」などと発言したという。

アップルは9月半ばにリリースした「iOS 8」で、ユーザー自身による指紋認証もしくはパスコード入力がなければ、データにまったくアクセスできないように仕組みを変更していた。それに続いてグーグルも同様の保護策を次期バージョンの「Android L」で導入する考えを明らかにしていた。いずれの動きも、プライバシー保護策の強化を求めるユーザーの声を受けたもので、その背景には米国家安全保障局(NSA)などの広汎な情報収集活動の実態が明らかになって以来の懸念の高まりがあるとされている。

この話題を採り上げたBusinessweekでは、麻薬関連の犯罪を担当する米麻薬取締局(Drug Enforcement Administration)の幹部や、昨年までFBIに在籍していたニューヨーク大学法学部教授(弁護士)などのコメントも紹介しているが、いずれもスマートフォンなどの通信端末がブラックボックス化することに強い警戒感を抱いていることが明らかな内容となっている。

なお、先ごろ退任の意向を明らかにしたホルダー長官自身がこの件にどこまでコミットするのか等は不明だが、司法当局トップによる発言はすなわち現政権の意向を反映したものとも解釈できる。そのことから今後この問題をめぐるワシントンとシリコンバレーとの軋轢がさらに高まる可能性も十分に考えられそうだ。

【参照情報】
U.S. attorney general criticizes Apple, Google data encryption - Reuters
Holder Says Apple's iPhone Encryption Will Thwart Child Abuse Investigations - TIME
Holder Challenges Apple-Google Moves to Lock Mobile Data - Businessweek
Remarks by Attorney General Holder at the Biannual Global Alliance Conference Against Child Sexual Abuse Online - DoJ

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