「iOS8、iPhone 6 & 6 plus の登場でどうなる?モバイルライフ」討論&勉強会リポート
2014.10.07
Updated by MobileLab on October 7, 2014, 18:30 pm JST
2014.10.07
Updated by MobileLab on October 7, 2014, 18:30 pm JST
9月26日に、「iOS8、iPhone 6 & 6 plus の登場でどうなる?モバイルライフ」と題した討論&勉強会が、株式会社ドーモで行われました。約2時間の熱い討論会でしたが、特に盛り上がったテーマをピックアップしてリポートします。
パネラー:萩原智啓氏(株式会社アクアビットスパイラルズ 代表取締役CEO)
大賀匠竜氏(株式会社ドーモ CTO/UI・UXデザイナー)
モデレーター:占部雅一(株式会社ドーモ 代表取締役)
▼iPhoneのディスプレイ:親指で届く範囲の変遷
まず、Steve Hoober氏のリサーチ結果(How Do Users Really Hold Mobile Devices?)が報告されました。スマホ本体の下半分を右手で支える人が多いという結果のもと、右手親指のみでスマホを操作する場合の「タッチ可動範囲」を分析し、図にしたものが上記です。グリーンが自然に届く範囲、オレンジが頑張って指を伸ばせば届く範囲、レッドが手全体の位置を変えたり左手を使わないとタッチが難しい範囲です。
iPhone 6、およびiPhone 6 Plusのスクリーンサイズは、片手での操作が難しい範囲が多くなっています。そこでAppleは、iOS8の機能として、「Reachability」という機能を搭載しました。これは、ホームボタンを2度押しすると、画面が下方向にスライドするもので、タッチしやすい位置にボタンが収まる、というギミックです。つまり、そんなギミックを入れてまで、大画面化を行ったのです。
「スクリーンサイズが大きくなると、UIを考え直さないといけなくなります」と萩原氏。「アプリのボタンが上に並ぶとタッチしづらいため、今後はボタンの位置を考え直す必要があるでしょう。メニューボタンも上部の角にあることが多いのですが、それも片手だと届かない、ということになってしまいますので、考え直すべきです」
WEBサイトやアプリは、まだこの大画面に対応していないものが多く、ただ拡大して表示されているため、「高齢者向けのらくらくフォンと同じ」と揶揄されることもあります。しかし、最適に表示させる対応が進んでいけば、「1画面に入る情報が増えていき、使いやすくなるはずです」と、萩原氏は語っていました。
「あのAppleが、あのGoogleの調査で『モバイルコマースの障壁』として出てきた上位2つを、iPhone 6できっちり潰してきているんですよ」(萩原氏)
上位2つとは、「画面サイズが小さすぎる」「モバイルデバイスでのクレジットカード利用の安全性に不安がある」。今回のiPhone6は、それをどちらもクリアした、ということなのです。
iPhone6は "Apple Pay"という独自の決済機能を搭載しました。Androidのスマホの多くに搭載されている"おサイフケータイ"と同じように、端末をタッチするだけで支払ができる、というもの。ただし、まずは米国のみで利用できるサービスとなっており、日本展開が待たれるところです。
「Fericaを搭載した"おさいふケータイ"ではなく、iPhoneの"Apple Pay"は、似て非なるもの。現在のおさいふケータイと同じ仕様として使えるようになるかといえば、それはないでしょう」と荻原氏。とはいえ、日本ではiPhone人気がとても高いため、"Apple Pay"で支払いができるお店が増えていく可能性は高い、とも語っています。
iPhone 6、およびiPhone 6 PlusはOSもバージョンアップ、iOS8となりました。スマホサイトを作る場合には、画面サイズだけでなく、新しいOSにも対応していかなければなりません。「ユーザーの利用率がどのくらいなのか、というのがベースの考えにはなりますが、大画面で見る人が増えていけば、そこが基準になっていくと思います」と大賀氏。
とはいえ、ユーザーにとっては、大きく美しい画像を表示させることで、デメリットもあります。画像が重いため、表示スピードが遅くなる可能性があります。パケット使い放題プランを契約していたとしても、上限に達して回線速度が遅くなる場合もあります。
「iPhone自体のパフォーマンスが上がったからといって、どれだけ容量のあるモバイルサイトを作っていいのか、それがユーザーのためになるのか、という問題もある。どこを基準にするかが大事になってきます」(大賀氏)
ブランディングのための「見栄え」なのか、「表示スピード」なのか。WEBサイト制作者は、しっかり考えて作っていく必要がある、ということなのです。
最後に、大賀氏が、注目しているiOS8の新機能を紹介しました。
クレジットカード番号を入力するフォームをタップすると、カメラが起動。そのカメラで実際のクレジットカードを撮影します。すると、カード番号が自動入力される、という優れモノ。あくまでフォームの入力補助機能として使われるものですが、「こういったユーザビリティを重視したUIは重要ですよね」(大賀氏)
まず一つが、「CSS Shapes」。任意の形状(Sahpe)に合わせて、レイアウトできます。丸い画像や星形の画像に沿って、隙間なくテキストを回り込ませることができるのです。もう一つが、「Compositing & Blending」。スクリーンやオーバーレイなど、Photoshopのようなイメージ処理が可能になりました。「まだiOS8でしか使えませんが、CSSでこれを調整できるようになったのは大きい。ブラウザ上でデザインして、すぐ公開できるので、制作スタイルも変わってくるのでは。容量も削減できるはずです」(大賀氏)
現状ではiPhone6やiOS8独自の仕様が多いですが、Apple人気の高い日本では、それがベースとなる可能性もあります。進化していくiPhone、iOSに、これからも注目していきましょう。
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