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[2014年第44週]格安SIMに新潮流、スマホとNTT東西とのセット割、au冬モデルにVoLTE対応機種

2014.11.04

Updated by Naohisa Iwamoto on November 4, 2014, 12:00 pm UTC

10月の最終週だった第44週は、多方面のニュースが飛び交った。格安SIM、格安スマホ関連では、U-NEXTや楽天グループから使い勝手と料金の両面で魅力的な新サービスが発表された。NTT東日本、NTT西日本の光回線サービス卸に事実上のゴーサインが出たことから、NTTドコモとソフトバンクモバイルがセット割引サービスの提供をアナウンスしたニュースもあった。KDDIは冬モデルで「au VoLTE」に対応する2機種の新製品を発表。3GからLTEへの本格的な移行に駒を進めた。

安いだけではない──格安&便利な新サービスたち

料金の安さで認知度を高めてきた、いわゆる「格安SIM」「格安スマホ」に新しい潮流が生まれようとしている。安くても我慢しなくていいという、利便性も兼ね備えたサービスが登場している。

プランとして画期的なのは、U-NEXTが提供を開始したデータ通信使い放題のサービスだ。同社が提供するモバイル通信サービス「U-mobile」に追加した「LTE使い放題プラン」がそれ。料金はデータ通信専用の「データ専用」が月額2480円、音声通話が可能な「通話プラス」が月額2980円。NTTドコモのネットワークを利用したサービスで、下り最大150Mbps/上り最大50Mbpsの高速通信をデータ量の制限なく利用できる。これまで、大手キャリアは月間7GBといった大容量のデータ通信を提供する代わりにやや高めの料金設定をし、MVNOの格安SIMや格安スマホは低料金だが月間1GBといった制限があるという住み分けをしてきた。今回の「LTE使い放題プラン」は大手キャリアの2GBのパケットプランよりも低料金で、基本料金から容量無制限のデータ通信料金までを含む。スマートフォンのヘビーユーザーにとって理想的なサービスとも言える。実際のサービスでどの程度のスループットが得られるのかは、注目したいところだ(関連記事:U-NEXT、高速データ通信の容量制限がないLTE対応SIMを月額2480円から提供)。

もう1つの注目が、楽天グループの通信子会社であるフュージョン・コミュニケーションズが提供を開始した音声通話機能付きの格安SIMサービス「楽天モバイル」。最も安い「ベーシック」プランは月額1250円で、音声通話と最大200kbpsのデータ通信が可能。このほか、月額1600円の「2.1GBパック」、月額2150円の「4GBパック」、月額2960円の「7GBパック」を提供する。新サービスに対応するSIMロックフリー端末の第一弾として、「ZenFone 5」(ASUS JAPAN)を採用したこともアナウンスした。楽天モバイルも、大手キャリアとデータ通信を中心としたサービス面で遜色なく、月額料金は安い設定になっている。大きな顧客基盤を持つ楽天の本格参入で、話題が先行しながらもなかなか広まらなかったMVNOのサービスへのシフトが始まる可能性がありそうだ(関連記事:楽天グループ、音声付きの格安SIMが月額1250円からの「楽天モバイル」を開始)。

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ドコモとソフトバンク、NTT東西とのセット割引を提供へ

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NTT東日本、NTT西日本(以下NTT東西)の光回線サービス卸を利用した、スマートフォンなどとのセット割引サービスのニュース。まずNTTドコモは10月31日に、自社の契約者向けに固定回線とのセット販売「ドコモ光パック」を2015年2月から提供すると発表した。NTT東西の光回線サービス卸を利用し、ドコモの新料金プラン(通話定額+シェアパック)の契約者を対象とした割引サービスだ。シェアパックの上位プランの契約者ほど光回線の割引率が高くなる(安く利用できる)料金体系を想定している。また、ISPについては複数の事業者から利用者が選択できるようにするが、料金体系は回線と一体型とすることで、モバイル、ISP、光回線をドコモがワンストップで提供する(関連記事:モバイルと固定のセット販売「ドコモ光パック」、2015年2月から開始)。

ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBBも、ドコモと同じ10月31日に光回線サービスとのセット割引の提供についてアナウンスした。ソフトバンクBBは、NTT東西が提供する光回線サービスを使って、独自の光ブロードバンドサービスを提供。さらにソフトバンクモバイルは、ソフトバンクBBが提供する光回線サービスを取り扱い、一緒に契約することでソフトバンクモバイルのスマートフォンなどの通信料金から一定金額を割り引くセット割引サービスを提供する予定だという(報道発表資料:光回線サービスとのセット割引の提供について)。

KDDIがauスマートバリューで光回線サービスとスマートフォンサービスの囲い込みに成功している中、他の2社も対抗策が講じられるようになる。

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KDDIの冬モデルはVoLTE対応へ、UQはWiMAX 2+を220Mbps化

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新機種や新サービスのニュースもあった。KDDIは、LTEを使った音声通話サービス「au VoLTE」の提供と、対応スマートフォン2機種の発売を発表した。対応スマートフォンは「isai VL LGV31」(LG Electronics製)「URBANO V01」(京セラ製)の2機種で、2014年12月初旬以降に順次発売を予定している。au VoLTEに対応する機種では、3GのCDMAによる通信機能を搭載せず、国内のキャリアとしては初めてデータ通信も音声通話もau 4G LTEでまかなう。国際ローミングの必要性からUMTS(W-CDMA)の通信機能は搭載するが、国内での通信はデータ通信も音声通話もすべてau 4G LTEがカバーすることになる(関連記事:KDDI、CDMA非搭載のLTE専用スマホでVoLTEを本格導入、冬モデル2機種から)。

UQコミュニケーションズ(以下UQ)は、来春からWiMAX 2+にキャリアアグリゲーション(CA)の導入を開始する。具体的な時期および当初の導入エリアは未定だが、順次全国に拡大する。これにより下り最大速度が現在の110Mbpsから最大220Mbpsとなる。現在WiMAXで提供している周波数帯域30MHzのうち、20MHzをWiMAX 2+に順次切り替えるとともに、現行の20MHzと合わせてCAを導入する。これに伴い、CAを提供するエリアでのWiMAXの下り最大速度は現在の40Mbpsから13.3Mbpsに切り替わる(関連記事:UQがWiMAX 2+にキャリアアグリゲーションを導入 来春から順次下り最大速度220Mbpsの提供へ)。

ソフトバンクモバイルは、初めての人でも簡単に操作ができるようなわかりやすさを追求したスマートフォン「シンプルスマホ2」を11月下旬に発売する。4.5インチの画面にサイズを選んで見やすい文字を表示できるだけでなく、大きなボタンを採用し、「メール」「電話」などは専用ボタンを用意するようにシニア層が初めてスマートフォンを使うときの使いやすさや見やすさを追求した。メニュー画面は上下のスクロールだけですべての機能が使える「シンプルラインホーム」や、画面を自由に拡大できる「かんたんズーム」も採用した。2400mAhのバッテリーで3日間以上の利用が可能。800万画素のカメラ、ワンセグ、赤外線通信、防水などの機能を備える。「LINE」や「Yahoo!地図」「Yahoo!天気」「乗換案内」といった便利なアプリケーションをプリインストールする。ただし、Google Playなどのアプリストアからアプリを追加ダウンロードすることはできない(報道発表資料:初めてでも簡単に使える「シンプルスマホ2」を開発)。

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携帯、スマホとも出荷減少、手軽なM2M、災害時には気球から電波

その他の主なトピックを紹介する。MM総研は、2014年度上期の国内携帯電話端末の出荷状況の調査結果を発表した。2014年上期の携帯電話出荷台数は1578万台。2000年に統計調査を始めて以来、過去最低だった前年同期の1645万台を下回り、過去最低の記録を更新した。前年同期比では4.1%の減少となる。スマートフォンの出荷台数は1050万台と、前年同期比で13.7%の大幅な減少。また端末出荷に占めるスマートフォンの出荷比率も66.5%にとどまり、前年同期から7.4ポイントの減少となった(関連記事:2014年度上期の携帯電話出荷は過去最低、スマホ出荷も減少──MM総研)。

KDDIは、法人の顧客が手軽に「M2M」をビジネスで活用できるようにするクラウドサービス「KDDI M2Mクラウドサービス」の提供を開始する。KDDIのセキュアな閉域網の利用と、通信機器からのデータ収集や蓄積、データのレポート表示といったM2M向けの機能をワンストップで提供する。これらの一連の機能を含んで、料金は月額2000円。M2Mの導入障壁となっている多額の初期投資や煩雑なシステム構築が不要となり、低料金かつ短期間でM2Mの導入が可能になる(報道発表資料:手軽にM2Mを活用できる「KDDI M2Mクラウドサービス」を開始)。

ソフトバンクモバイルは、LTEおよびW-CDMAに対応した「臨時気球無線中継システム」(以下、新型気球システム)を開発し、フィールド実証評価を行うための実験試験局の本免許を取得した。災害などで通信障害が発生しているサービスエリアを迅速に復旧させるために開発されたもの。無人で運用が可能で、10月27日から宮城県南三陸町周辺で性能評価のための実験を行う。新型気球システムは、LTE(FDD-LTE)に対応するほか、船上からの気球係留や車載係留システムへの対応、ソーラーパネルによる電源供給などの特徴を備えている(報道発表資料:無人での運用可能なLTE/W-CDMA対応の新型係留気球無線中継システムの実証実験を開始)。

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ノキア ソリューションズ&ネットワークス(以下、ノキア)は、日本市場における事業方針の説明会を開催した。ノキアでは日本でのビジネスのキーワードとして、「ガラパゴスからの脱却」「1日1人1GB」を掲げ、国内キャリアの海外進出支援と、増え続けるデータ量へのテクノロジー面からのサポートに注力する。海外進出のサポートに対しては、ノキアがグローバルで得たノウハウや最新情報が力になるという。またノキアでは、2020年には1日に1人が1GBのデータが必要と試算し、データ通信量の増加に耐えるネットワークを国内キャリアに提供していく(関連記事:「ガラパゴスからの脱却を」、ノキアが国内事業方針としてキャリアの海外進出サポート)。

昨年の第44週のできごと

・両者とも増収増益、充実のKDDI、拡大のソフトバンク
・WiMAX 2+が提供開始、iPad Airも発売
・足りなくなる周波数、足りなくなった電話番号
・世界で「iD」タッチ決済、Nexus 5がイー・アクセスから

[2013年第44週]KDDI、ソフトバンクとも大幅な増収増益決算、WiMAX 2+開始、iPad Air発売

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。