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「必須標準特許」関連の新ルール案をめぐってIT・通信業界の大手各社が対立

2015.02.04

Updated by WirelessWire News編集部 on February 4, 2015, 13:31 pm JST

電気通信関連の技術標準を扱うIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)で進められている必須標準特許(FRAND特許)の扱いをめぐる新ルール策定の動きに対して、関係業界各社などから大きな注目が集まっているようだ。

GigaOMによると、IEEEが検討を進めているのはいわゆるパテントトロールなどによる必須標準特許の濫用を抑制するためのルール案で、主な内容としては、必須標準特許のライセンス料算定の基準を、当該技術が使われた製品(端末など)の価格ではなく、Wi-Fiチップなどの部品の価格とすることなどが盛り込まれているという。またIEEEの理事会では来週にもこのルール案をめぐる投票を行う予定とされている。

この案が正式採用となった場合、当該技術のライセンスを受ける最終製品のメーカーなどは、特許権の侵害で法外な額の損害賠償を要求されるおそれが減る一方、特許を取得・保有する企業では潜在的な収入減少が見込まれることから、クアルコム(Qualcomm)のような無線通信関連技術の開発に力を入れる企業がこの新案に反対。それに対して、アップル(Apple)やHP、マイクロソフト(Microsoft)、ベライゾン(Verizon)、サムスン(Samsung)などが、新ルール案の支持に回り、またクアルコムと直接競合するインテル(Intel)やブロードコム(Broadcom)でも新ルールを支持する姿勢を示していると、この話題を採り上げたBloombergは記している。

GigaoOMによると、米国時間2日には、アップルやシスコシステムズ(Cisco Systems)など21社の関係者がつくるグループが、IEEEの新ルール案を支持する書簡を公開し、IEEEに対して、この件をめぐる誤った議論に屈せぬよう求めたという。

いっぽうで、この新案に反対するグループからは、新案が採用された場合、イノベーションの停滞につながるなどとする批判の声が上がっている。Innovation Allianceというこのグループの代表者をつとめるブライアン・ポンパー(Brian Pomper)なる人物は、アルカテル・ルーセント(Alcatel-Lucent)、エリクソン(Ericsson)、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)、インターデジタル(InterDigital)、ノキア(Nokia)、クアルコム(Qualcomm)といった各社の幹部から新案に対する懸念の声が上がっていること、これが採用されればWi-Fiをはじめとする無線通信分野での特許保有者と特許利用者との力のバランスが崩れ、その結果技術開発の停滞につながるおそれがあること、などを指摘。それとは別に、有力な政治系ニュースサイトのThe Hillでは1月半ばに、この問題をめぐってクアルコムらの考えを支持するリー・テリー元連邦下院議員(共和党)の寄稿記事が掲載されてもいた。

【参照情報】
Engineers, tech firms battle patent trolls on standard setting - GigaOM
Wi-Fi Inventors' Cut of IPhone 6 Sales to Shrink in Vote - Bloomberg
Qualcomm Wireless Grip Risked as Intel, Microsoft Seek New Rules -
DOJ should not approve IEEE patent policy weakening WiFi patents - IP Watchdog
Don't turn off Wi-Fi - The Hill

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