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闘会議雑感とそろそろ参加型とかいうのやめようぜ

2015.02.27

Updated by Satoshi Watanabe on February 27, 2015, 17:31 pm JST

少し前の話になるが、闘会議に少しだけお邪魔して覗いてきたので、中の人とも少々議論をしたのも合わせて雑感をまとめておきたい。
まず、端的な結論から出すと、言わずもがなであるが闘会議は超会議からの派生であり、「会議というスタイルの獲得と展開(の第一弾?)」と理解される。
2日目の参加だったので、お邪魔する前に、中の人に「どんな感じ?」と聞いてみると、ゲームショーみたい、とのコメント反応であった。との事前補助線を得つつ、現地に向かってみると、確かにメーカーごとにブースがあり、ブースごとにイベントをやっており人気のところは1時間2時間待ちになり、というゲームショーっぽい作りはあった。
あったのではあるが、やはりよくよく見ると各所の雰囲気が微妙に違う。超会議ほどのごった煮カオス感はないものの、文化祭っぽい雰囲気というか、キャンペーンイベントに来ました、というよりもテーマパークに遊びに来ました的な感じを会場及び参加者の各所から見て取れる。
ちょうど、超会議のプレ記事が出始めており、再びやってくる大相撲ブース(ブース?)の紹介記事にこのような相撲協会側からの反応が出ている。
 2日間で10万人を超える来場者とネット視聴者の前で相撲を取る――数のインパクトはもちろんだが、普段のお客さんとまったく層に届けられること、若い人の目に触れる機会になることが何よりも大きな魅力だったという。
ここだけを見ると、ユーザー層の違いや、商業コンテンツの新しいアプローチでの届け方、みたいな話に思えてしますが、毎度のコスプレコーナーに行き、アナログゲームのコーナーで対戦している人を見、ふるーいパソコンやハードが並んだ(PC88とか置いてましたよ先生)レトロゲームのコーナーで博物館気分を味わい、自作ゲームのフリマ感溢れるコーナーに迷い込んだあたりでだんだん何がなんだか分からなくなってくる。
気づけばマインクラフトの実況を眺め、落ちものゲームの参加者対戦道場に紛れ込み、ポケモンの対戦コーナーを脇目に見つつ遠くの方にマックスむらい氏のイベントが開催されているぼんやり眺めとしているうちに思い出す。ああ、ここはフェスであり縁日であった。ニコニコの会議ってのはそういうものだった。やっぱりここは超会議の兄弟だった。
そんな会場の雰囲気のごくごくごく一部を切り取ったまとめはこちら。
ふと今見ると、中の人二人目の伊予柑氏作成のまとめですね。
■ メディアとコンテンツの自分ごと化
メディアやコンテンツが変化している、揺らいでいる、みたいな話は各所いろんな角度で為されており紋切り型に言われるのが4マスからネットへの移行、あるいは最近だとスマートフォン化というフレーズであるが、どうもそういう枠的な捉え方をするのはズレて来てるのではなかろうか、との仮説を前から持っている。
特に若年層になるほど傾向としては出やすく見えているが、自分に関わりのないものには興味を示さない、自分ごと化してるか否かで手を出す出さないの軸として出てきている。
ニコニコ界隈の会議には、この自分ごと感を強く感じる。何に端を発してそうなっているのかは中の人ともたまに議論して意見は尽きず、いまだにはっきりとした結論は出ていないがとりあえず、「誰から大人や偉い人の主催した場所」ではなく「自分達の遊び場」とのスタンスが参加者側に強く感じられる。気兼ねなく分かったもの同士でどんどこ遊べる、というのはそれだけで結構な貴重品なのかもしれない。
もう一つ、一つの会場にどっといろんなものが集まってるというのはやはりいいもので、自分のまったく知らない世界が10メートル先に楽しそうな人の賑わいとともに示されているというのは面白い。商売の側からしても、新しいユーザーに来て欲しい、ユーザーの側から見ると新しい面白いものに触れたいという願望はあるものの、新しいものを誰の手助けもなく探索し、えいやとトライしてみるというのはやっぱりハードルが高い。そんなことよりも、あっちの方でどっと盛り上がっているのをみて「なにあれ楽しそう」となる方が初期ハードルを乗り越えるための力としては強い。
ゲームにしても、プロモーションコンテンツや紹介記事経由と合わせて、実況コンテンツなどプレイコンテンツ経由で見聞きして興味が湧く機会が増えている。ゲームは、特に実況コンテンツが合うのは、素直に遊んでいる面白さが伝わりやすいからであろう。プレイの上手い下手だけではなく、楽しそうにプレイをする実況者に人気が集まってるケースが少なくないのが何よりの証左である。同じく、超会議の相撲再び参加の記事より、
 「コスプレ姿で土俵際に座っていた女の子が、正座して真剣な顔で取り組みを見つめていた光景が目に焼き付いている。異文化だなと思うと同時にすごく感動した。こちらから歩み寄れば楽しんでくれるんだ、攻めていけばまだまだ魅力は届くんだ、といい意味で予想が裏切られた。『この子たちはどうせ興味なんてない』と決めつけていたのはこっちだった」(尾車親方)
という訳で、最後に話がいきなり飛ぶが(その実飛んでるようで本当は飛んではいないのだが)、全メディアをフラットに使えるようにグループ全部を組み替えて統合し、ユーザーを巻き込んで自分ごと化を推し進めるドワンゴも一緒になったというのは、分野的な相性も含めて実に必然の流れであったように思える。
戦略とかモデルとかフレームとか、そんなんで読み解いても必ずしも答えが入ってないように見えるのですよね、このあたり。昨日まとめたパターンランゲージとユーザーイノベーション/オープンイノベーションが近傍で語られているという話も、きっと近しい地平のはず。

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渡辺 聡(わたなべ・さとし)

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任助教。神戸大学法学部(行政学・法社会学専攻)卒。NECソフトを経てインターネットビジネスの世界へ。独立後、個人事務所を設立を経て、08年にクロサカタツヤ氏と共同で株式会社企(くわだて)を設立。大手事業会社からインターネット企業までの事業戦略、経営の立て直し、テクノロジー課題の解決、マーケティング全般の見直しなど幅広くコンサルティングサービスを提供している。主な著書・監修に『マーケティング2.0』『アルファブロガー』(ともに翔泳社)など多数。