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サムスン、バングラディッシュでTizenスマホ「Samsung Z1」販売開始

2015.03.02

Updated by Hitoshi Sato on March 2, 2015, 13:27 pm JST

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サムスンは2015年2月、Tizen OSのスマートフォン「Samsung Z1」をバングラディッシュで販売開始した。「Samsung Z1」は2015年1月にインドでリリースされたTizen OSを搭載した初のスマートフォン端末で、インドでは5,700インドルピー(約90ドル)で販売している。

新興国ではお馴染みのデュアルSIM対応端末で、4インチのWVGA(解像度は480×800ドット)PLS液晶ディスプレー、310万画素のメインカメラを搭載。動作周波数1.2GHzのデュアルコアプロセッサ、768MバイトのRAM、4Gバイトのストレージを搭載。バッテリー容量は1500mAh、連続駆動時間は動画視聴なら7時間、通話なら8時間可能。電力消費を最小限におさえる「Ultra Power Saving Mode」機能を搭載している。FMラジオも搭載。またインドの多言語社会に対応して14か国語に対応していることは興味深い。

Tizen OS対応のアプリケーション配信および販売ストアでの売上(アプリ内購入も含む)の開発者へのレベニューシェアを1年間100%にする。つまりTizen OS向けに開発したアプリの売上の全てが開発者の収入になるが、インドやバングラディッシュのような新興国で有料アプリのダウンロードやアイテム課金は決して多くない。また利用者から見たら、OSがAndroidであれTizenであれ、スマートフォンで利用しているのは通話、SMS(ショートメッセージ)以外はTwitterやFacebookなどのSNS、WhatsAppなどのメッセンジャー、YouTubeなどの動画であるから、OSに対する大きな拘りはない。

最近の新興国の新機種スマートフォンは100ドル以下であることから「Samsung Z1」も価格的にも機能的にも特別大きな差別化がある端末ではない。バングラディッシュにはWaltonやSymphonyといった地場メーカーから低価格なスマートフォンが大量に流通している。サムスンとはいえ全く安泰ではない。

サムスンは2015年1月29日に2014年の連結決算を発表した。売上高は206兆2100億ウォン(前年比約10%減)、営業利益が同32%減の25兆300億ウォン(約2兆7,120億円)。2011年以来3年ぶりの低水準だった。新興国では地場メーカーと激しい価格競争を繰り広げなければならないことから、非常に厳しい市場である。また新興国市場向けの低価格端末は粗利が小さいので、薄利多売となってしまうことから、特にサムスンのようなグローバルメーカーとしては決して「美味しい市場」ではない。

【参考動画】
インドでの「Samsung Z1」CM Samsung Z1 Official TV Commercial (India)

▼Tizen OSのスマートフォン「Samsung Z1」

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▼インドの多言語社会に対応して14か国語に対応しているUI

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(出典:サムスン)

【参照情報】
Samsung Z1 Makes Strong Statement in Indian Market

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。