今週はEUとアメリカ、EU内部、アメリカ内部など各所で局地戦のような小競り合いが起きている。各ニュースの詳細については、原文のリンクを参照されたい。
法律・規制
EUと米の間ではセーフハーバーを巡って駆け引きしながら、個別では手を握り、落としどころを探っている。
EU内部でも保護に対する姿勢には差があり、英国やアイルランドがやり玉に挙げられることが多い。
アイルランドのデータ保護行政に対してEU加盟国が懸念を表明
Concern over Ireland's data protection responsibilities
ドイツ内務大臣は、多くのIT企業がアイルランドに欧州拠点を置くことで他のEU加盟国の厳しい規制をかいくぐっているとして、同国のデータ保護行政を批判した。こうした指摘に対し、アイルランド政府は否定しているが、データ保護規則の改正にあたり、企業が加盟国のひとつの規制当局との交渉のみでEU全体で事業可能なワンストップショップ導入が、必ずしも企業へのフリーハンドとならないような条件が設けられる可能性が高い。
FTCはEUなどと向かっている分、国内での立ち位置は保護側によって見えるのかもしれない。
調査・ケーススタディ
議会が情報機関による国民の傍受を認めた。今後、他の方面からどのような反応が出てくるか興味深い。
英国議会が情報機関による国民の通信傍受について報告書、監視しているがデータは適切に使用
UK says comms metadata can kill personal privacy
英国議会は、同国の情報機関による国民の通信メタデータへのアクセスに関する報告書を作成した。これによれば英国には大量の監視能力があるものの、適切に使われていることがわかった。一方で、英国情報機関が傍受によってデータ収集していることも認めており、今後も継続の予定だという。さらにレポートでは、メタデータについて3つの定義を定めており、それに従って情報機関が厳密に行動することを求めている。
これは、上手の手から水が漏れるとでもいうべきか。ただWHOISでの公開というところが、このインシデントの位置づけを迷わせる。
ビッグデータ=石油というアナロジーは、メリットについてはわかりやすいところもあるが、デメリットを見誤らせるおそれもある。
ビッグデータはデジタル経済における埋蔵された石油の様なもの、データ保護を配慮しながら活用すべき
Le big data, nouvel or noir de l'economie numerique
ビッグデータはどこにでも存在するが、まだ十分に利用されているとは言えず、この埋蔵資源は、デジタル時代の経済における石油だ。TV番組の視聴データから、より視聴者が好む番組を作ったり、健康データから病気の原因や治療法を究明したりができる。ビッグデータにおいてはデータ保護が欠かせないが、同時にイノベーションも阻害する可能性があり、保護と活用のバランスが将来の鍵となる。
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