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海外プライバシー・パーソナルデータ関連情報(2015/03/27号)

2015.03.27

Updated by WirelessWire News編集部 on March 27, 2015, 12:00 pm JST

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Image by Steven StraitonCC BY

今週はEUとアメリカ、EU内部、アメリカ内部など各所で局地戦のような小競り合いが起きている。各ニュースの詳細については、原文のリンクを参照されたい。

法律・規制

EUと米の間ではセーフハーバーを巡って駆け引きしながら、個別では手を握り、落としどころを探っている。

米FTCがオランダデータ保護局と協力を強化、欧州での米系企業への締め付けの緩和が狙いか
Netherlands' DPA and US FTC sign Memorandum of Understanding
3月9日、オランダのデータ保護局と米国の連邦取引委員会(FTC)は、情報共有とプライバシーに関しての協力関係強化のための覚え書きを交わした。すでにFTCは、アイルランドと英国のデータ保護機関と同様の調印しているが、これら3カ国はすべて過去にグーグルとフェイスブックのプライバシーの扱いに関して何らかのアクションを取っている。

EU内部でも保護に対する姿勢には差があり、英国やアイルランドがやり玉に挙げられることが多い。

アイルランドのデータ保護行政に対してEU加盟国が懸念を表明
Concern over Ireland's data protection responsibilities
ドイツ内務大臣は、多くのIT企業がアイルランドに欧州拠点を置くことで他のEU加盟国の厳しい規制をかいくぐっているとして、同国のデータ保護行政を批判した。こうした指摘に対し、アイルランド政府は否定しているが、データ保護規則の改正にあたり、企業が加盟国のひとつの規制当局との交渉のみでEU全体で事業可能なワンストップショップ導入が、必ずしも企業へのフリーハンドとならないような条件が設けられる可能性が高い。

FTCはEUなどと向かっている分、国内での立ち位置は保護側によって見えるのかもしれない。

FTCの消費者保護担当官がプライバシー権利章典を強く批判、多くの面で保護が後退しているという
Consumer Protection Official Blasts White House Privacy Proposal
ホワイトハウスが2月に公表した消費者プライバシー権利章典に対して、連邦取引委員会(FTC)の消費者保護担当官が「保護が後退している」と批判した。権利章典は企業による消費者データ収集の抑制を狙ったものだが、条文があいまいで企業に自由を与えすぎているほか、創業から18カ月以内の企業は罰金が免除される、データを販売する際に消費者に通知義務がないなど、問題が多いという。

調査・ケーススタディ

議会が情報機関による国民の傍受を認めた。今後、他の方面からどのような反応が出てくるか興味深い。

英国議会が情報機関による国民の通信傍受について報告書、監視しているがデータは適切に使用
UK says comms metadata can kill personal privacy
英国議会は、同国の情報機関による国民の通信メタデータへのアクセスに関する報告書を作成した。これによれば英国には大量の監視能力があるものの、適切に使われていることがわかった。一方で、英国情報機関が傍受によってデータ収集していることも認めており、今後も継続の予定だという。さらにレポートでは、メタデータについて3つの定義を定めており、それに従って情報機関が厳密に行動することを求めている。

これは、上手の手から水が漏れるとでもいうべきか。ただWHOISでの公開というところが、このインシデントの位置づけを迷わせる。

Googleがシステム上の欠陥によって、28万2000件のドメイン利用者の個人情報を漏えい
Google : une grosse fuite de 282 000 donnees personnelles
Googleのサービス上の欠陥によって、Googleでドメインを運用していたユーザーの個人情報が、本人が非開示を望んでいたにもかかわらず、WHOISで公開されていた。この欠陥は2014年5月頃に発生し、28万2000件のユーザーの住所、氏名、メールアドレス、電話番号などが公開されていた。

ビッグデータ=石油というアナロジーは、メリットについてはわかりやすいところもあるが、デメリットを見誤らせるおそれもある。

ビッグデータはデジタル経済における埋蔵された石油の様なもの、データ保護を配慮しながら活用すべき
Le big data, nouvel or noir de l'economie numerique
ビッグデータはどこにでも存在するが、まだ十分に利用されているとは言えず、この埋蔵資源は、デジタル時代の経済における石油だ。TV番組の視聴データから、より視聴者が好む番組を作ったり、健康データから病気の原因や治療法を究明したりができる。ビッグデータにおいてはデータ保護が欠かせないが、同時にイノベーションも阻害する可能性があり、保護と活用のバランスが将来の鍵となる。

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