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インドネシア、モバイルだけでなく固定ブロードバンドも国産部品使用の義務付けを検討

India started to rebuilding its economy

2015.08.14

Updated by Hitoshi Sato on August 14, 2015, 15:35 pm JST

インドネシアでは4G(LTE)対応スマートフォンは国産部品使用率を2017年1月までには30%にするように設定しており、国産部品を使用していない端末はインドネシアでの販売を認めない方向である。インドネシア電気通信規制庁長官(BRTI)のMuhammad Imam Nashiruddin氏は、そのモバイルでの規則を固定ブロードバンドにまで拡大しようとしている。またさらに国産部品の使用率を40%以上にまで引き上げることも検討している。

インドネシアではジョコ大統領が経済成長率を7%に押し上げることを目標にしている。だが2015年上期の成長率は5%を下回り、景気が減速傾向にあり、国民の不満が強まっている。

そこでジョコ大統領は2015年8月、主要な経済閣僚を交代させ、体制を刷新することで経済改革を推し進めようとしている。ソフィアン・ジャリル経済調整相、ラフマット・ゴーベル貿易相ら6人が交代させられた。事実上の更迭である。ゴーベル氏は中央大学を卒業し、パナソニックとの合弁会社の社長も経験しており、インドネシア日本友好協会の理事長を務め、日本の財界でも有名な人だ。新たな経済調整相には元中央銀行総裁のダルミン・ナスティオン氏を起用する。経済と金融に強い新大臣らの起用によって「投資の促進」や「ルピア安への対策」を積極的に推進することを目指しており、国民へも経済立て直しを図る印象を強く与えている。

インドネシアでは資源価格の低迷で輸出が減速している。さらに企業の業績悪化や物価上昇で消費が落ち込んでいる。それでもスマートフォンの販売は拡大しているのだが、そのほとんどが中国や台湾で生産されたものばかりである。

またインドネシアでは2017年までには年間携帯電話機需要の50%を国産品(国内生産)とすることを目標としている(関連記事)。インドネシアで販売されるスマートフォンに国産部品の使用を義務付けることによってインドネシア経済立て直しの1つの策にしたいのだろう。インドネシアの部品を使わなくてはいけないのであれば、インドネシアに工場を設立してそこで製造した方がコストもかからずにすむのでメーカーの進出が期待される。既に多くの中国メーカーやサムスンなどがインドネシアにスマートフォン製造工場を設置しようとしている。さらにインドネシア人の雇用創出の貢献も期待できる。そのようなスパイラルを目論んでいるのだろう。

政府としては、この国産部品使用の義務付けの範囲をモバイルだけでなく、固定ブロードバンドの方にまで拡大していきたいのだ。

 

【参照情報】
Selain 4G LTE, Jaringan Serat Optik Bakal Kena TKDN 

 

 

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。

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