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アップル(Apple)とサムスン(Samsung)がスマートフォンの知的財産権侵害を巡って争っていた裁判で、米連邦控訴裁判所は現地時間17日、サムスン側の特許侵害が認められた機能について、アップルがサムスンに対して使用禁止を命じることができるとする判断を下した。

この訴訟では、文字入力時のオートコンプリート機能、「スライド式ロック解除(slide-to-unlock)」機能、メッセージ内のデータを発見しクリック可能なリンクに変換する機能など、アップルの保有する特許権5件のうち3件について、サムスン製品による侵害が認められたとし、サムスンに対して1億1960万ドルの損害賠償支払いを求める判断が下されていた。またアップルは、自社の特許を侵害しているサムスン製品の販売が続けば修復不可能な損害を被る可能性があるとして、当該製品の販売差し止めを請求していたが、連邦地裁では当該のサムスン製品販売によりアップルが損害を受けたという証拠が不十分だとしてこの請求を却下していた。

この訴訟で対象とされているのは、サムスンの「Galaxy S 2」「Galaxy S3」「Galaxy Nexus」など、いずれもリリースから数年が経つ旧型の端末で、サムスンはこれらの製品の販売を終了している。そのため、今回の判断がサムスンの経営に直接的な影響を及ぼす可能性は少ないとされている。ただし、当該機能と同様の機能を持つものがあれば、比較的新たな端末でもアップルが販売差し止めを請求できる可能性があるとWSJでは指摘している。

今回の裁判所による判断は、販売差し止めに関するこれまでの判断を覆すもので、この話題に触れたWSJでは、アップルが特許訴訟に関して、今後は金銭以外の成果を得られるようになるという意味で重要なものとしている。また、Bloombergでは、この判断について「製品の差別化要素を守りたいアップルやほかの企業にとって大きな前例となる」とする法律専門家のコメントを紹介されている。

【参照情報】
Apple Wins Ruling in Patent Case Against Samsung - WSJ
Apple Wins Ruling to Force Samsung to Change Products - Bloomberg
Apple appeal win could force changes to four-year-old Samsung phones - The Verge

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