筑波大学の人工衛星開発プロジェクト「結」:大学クラウドファンディングでプロジェクト開始
2015.11.05
Updated by Hitoshi Sato on November 5, 2015, 18:45 pm JST
2015.11.05
Updated by Hitoshi Sato on November 5, 2015, 18:45 pm JST
筑波大学出身経営者の会「筑波みらいの会」が運営している一般社団法人 筑波フューチャーファンディングは 2015年11月1日から大学クラウドファンディングプラットフォームTFFにて、 人工衛星の開発を行う「結」のプロジェクトを開始した。
「結」は筑波大学の研究室から始まった人工衛星開発プロジェクト。従来の人工衛星は国や企業、研究機関が巨額のお金を投資して、自分たちに必要な研究やビジネスを行うために使われ、 一般の市民はそこで得られた写真や情報を享受することはあっても、 そこで情報を生み出し・発信することにはなかなか参加することができなかった。
そこで「結」は宇宙に憧れを抱く一般市民が自由に電波を受信できるような人工衛星、 および情報発信のプラットフォームの開発を行ってきた。今回TFFで募集するのはその2号機「ITF-2」の備品とテスト費用。 過酷な宇宙空間に耐えられる機体をつくりテストには相当の費用がかかるため、 今回TFFで募集することになった。
2016年度上半期にITF-2は打ち上げられ、 国際宇宙ステーション「きぼう」からの放出が予定されている。
アメリカでは大学の卒業生らが大学の研究や開発を支援することが多いが、日本ではこのような取組みはまだ多くない。大学の研究室が企画しているプロジェクトに在校生や卒業生、もちろん一般からも参加して、大学での研究成果を形にして社会に還元していく仕組みは、これからもっと日本で広がることが期待される。
▼「ITF-2」は宇宙空間から電波を送受信し、 地球上の方も電波の受信体験ができる「誰もが使える人工衛星」であり、この人工衛星を使って多くの人がつながり、生み出される宇宙コミュニケーションネットワークを「結」ネットワークと名付けている。(TFF「結」プロジェクト紹介ページより)
▼茨城県つくば市は、 エキスポセンターのH-IIロケットがランドマークの1つとして認知され、 JAXAのつくば宇宙センターが位置する「宇宙の街」でもある。( Image by On-chan(CC-BY) from Wikimedia Commons)
【参照】
・大学クラウドファンディングプラットフォームTFF
・「結」公式ホームページ
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登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。