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データビジネスの将来性や有用性と、プライバシーという権利の意味を認めた上で、バランスを模索する記事が相次いでいる。各ニュースの詳細については、原文のリンクを参照されたい。

法律・規制

FCCは、今年2月にインターネットプロバイダを「情報サービス(Title I)」ではなく、より規制が厳しい「公益通信サービス(Title II)」に分類し、ネット中立性の保護を義務づけていた。

米連邦通信委員会、数ヶ月以内にインターネットネットのプライバシールール策定に取り組むことを明らかに
FCC to tackle broadband privacy in 'next several months'
連邦通信委員会(FCC)のTom Wheeler議長はインタビューで、「今後数か月以内にインターネットプロバイダのプライバシー取り扱いと、各社がどのように顧客の情報を保護しているのかを検討する」と語った。今年5月、FCCは、インターネットに合わせたプライバシールールが作られるまでは、従来の通信法に準拠するとしていたが、インターネットサービスプロバイダ各社は、この中間勧告があいまいすぎると不満を表明していた。

コペンハーゲンの事例でも、そもそもプライバシーは人権だという観点を関係者が共有し、そこから議論がスタートしている。

スマートシティ化と同時にプライバシー保護を進めるコペンハーゲン、プライバシー保護を示すマークを検討
Privacy Debate Flares in Smart City
コペンハーゲン市議会議員のMia Nyegaardは、スマートシティ化を進める同市にたいして、プライバシー・バイ・デザインによる計画を求めている。彼女はエドワード・スノーデンの件を挙げながら「隠すことはないからプライバシーを気にしないというのは、何も言うことがないから言論の自由に反対するようなもの」と語る。彼女の活動を受け、プロジェクト関係者はデータプライバシー憲章を起草を約束し「データマネジメントブランドをプライバシーの電子機器の安全基準のCEマークのような形で実現させたい」と語った。

オピニオン

TPPは知財などで多くの問題が指摘されているが、その中にも評価すべき部分がなくはない、という論考。

デジタル分野で批判が多いTPP、加盟国でネット中立性が促進されるとの前向きな分析も
Controversial Trade Deal May Actually Help Net Neutrality
TPPによって市民の権利が制限されると批判は多いが、逆にTPPによってネット中立性が促進される可能性がある。協定では加盟国が他の加盟国の企業に公共通信サービスへの公平なアクセスを保証することを義務付けている。これは通信を監督する当局が、プロバイダが自社のネットワークで、データの優先度に応じた扱いをすることを禁止する権限を持つことを意味し、すなわちネット中立性の促進を意味している。ただし、TPPにはメリットよりデメリットが大きい多いという声は依然として小さくない。

EUの政策系メディアに、自動車から収集できるデータについての現況をまとめたリポートが掲載。

ソフトウェアで高度化する自動車は、同時にプライバシーへの配慮が求められている
Special report: Should we expect some privacy in our cars?
IoT技術による自動車からのデータ収集は進んでおり、8月にドイツの自動車メーカーがノキアの地図ソフト事業を買収。一方、収集したデータをプライバシーとして扱うことが求められている。第29条作業部会は位置データはパターンから個人を特定できるためパーソナルデータだとしており、自動車メーカーに「プライバシー・バイ・デザイン」を採用するよう促している。現在、データの扱いついては過渡期にあり、消費者側も注意深く利用する必要がある。

EUの政策系メディアに掲載された、個人の健康情報とビッグデータビジネスとのジレンマについてのリポート。

ビッグデータは寿命を延ばすが、一方で患者の生活の質を損ねるかもしれない
Special report: Health data poses promise and plenty of peril
医療分野におけるビッグデータの成果と期待はめざましく、高齢化を迎える社会にとっては必要不可欠なもの。しかし、健康情報はもっともセンシティブな情報であり、その利用と提供に際して消費者は慎重になる。だが、事業者側は「もしがんを直せるのなら、データを共有するか」という倫理的な踏み絵を迫ることがあり、それによって信用を損ねている。社会全体で、個人情報の利用をどこまで許すべきか議論し、事業者が短期的利益よりも消費者の信頼を優先することを奨励しなければならない。

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