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ドコモ、六本木ヒルズなどで2Gbps以上の「5G」ミリ波通信に成功

2015.11.26

Updated by Naohisa Iwamoto on November 26, 2015, 21:56 pm JST

NTTドコモは2015年11月26日、商業施設や高速移動中の環境などの実利用環境で、2Gbpsを超える「5G」のミリ波通信実験に成功したと発表した。実利用環境での実験は、ノキアソリューションズ&ネットワークスおよびサムスン電子と共同で行ったもの。

商業施設内での実験は東京都港区の六本木ヒルズ森タワーで、ノキアソリューションズ&ネットワークス共同で実施。ミリ波の70GHz帯の周波数を用いたもので、六本木ヒルズの商業施設内の屋内通路に基地局アンテナと30m~90m離れた移動局装置の間で受信時2Gbpsを超えるデータ伝送に成功した。直進性が高く減衰が大きいミリ波帯では、屋内の商業施設のように見通しを確保しにくく電波が複雑に反射する場所では高速通信が難しい。今回の実験では、電波を特定の方向に集中して端末の動きに追従させるビームフォーミングにより高速通信を実現し、屋内利用の可能性を高めた。また、25階に設置した基地局と屋外の地上の移動局装置との間での移動通信の実験も行った。

高速移動中の実験は、韓国水原市のサムスンデジタルシティ周辺の公道で、サムスン電子と共同で実施した。利用した周波数帯は28GHz帯。自動車に搭載した移動局装置が時速約60kmで高速移動している環境で、見通しがある測定コースで受信時2.5Gbps以上の無線データ伝送ができることを確認した。96素子のアンテナを用いたビームフォーミングとビーム追従機能を使い、移動局アンテナにはスマートフォンに内蔵可能な120mm×60mmの新開発の小型アンテナを用いて実験を行った。国内でも電波免許取得後に屋外実験を開始する計画だ。

このほか、エリクソン、富士通、ファーウェイとの実験の成果も公表した。エリクソンとは、15GHz帯でマルチビームMIMOを使うことで受信時最大10Gbpsを超えるリアルタイム高速無線データ伝送に成功した。富士通とは、基地局の協調伝送技術を用いて4台の基地局が協調しながら同時に信号を送出し、4台の移動局装置が同時接続を行うマルチユーザーMIMO伝送で、4台の移動局装置の合計で11.03Gbpsのデータ伝送に成功した。ファーウェイとは、64個のアンテナ素子を搭載した基地局と、24台の移動局装置との間でマルチユーザMIMO伝送を行い、通信品質向上や周波数利用効率の向上を確認した。

【報道発表資料】
商業施設などの実利用環境で2Gbps以上の「5G」ミリ波通信実験に成功

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。